「最近、口臭が気になって人と話すのが抵抗あるんです」
「デートのときに、自分の息が臭くないか不安で仕方ない」
「会議で発言するたびに、周りの人が顔をしかめている気がして…」
みたいな感じで、なぜだか最近立て続けに口臭に関する相談を受けることが多かったので、ここらでまとめておきます。実際、口臭ってのはかなり一般的な症状で、人口の最大50%が経験すると報告されていたりもするんですよね。別に決して意外な話ではないでしょうが、口臭は社会的交流の妨げとなり、不安感や自尊心の低下を引き起こすことも複数報告されています。
例えば、サウジアラビアのキング・サウド大学が2023年に医学雑誌Cureusに発表したレビュー論文(1)によると、口臭は個人の生活に様々な負の影響を及ぼすことを明らかにしてます。具体的には、社会的、職業的、感情的な制約が生じ、自信、自発性、自己価値が低下するとのこと。つまり、口臭は「人と話すのが嫌になる」レベルじゃなくて、もっと根深いダメージを与える可能性があるってことですな。
さらに、中国の最近の研究では、口臭のある人は口臭のない人よりも心理状態が悪く、この負の影響は口臭の重症度とは関係がなかったと報告されています(2)。つまり、軽度の口臭でも、本人が気にしている限り、心理的な負担は大きいってことっすね。そのほか若年層を対象としたシステマティックレビューでも、口臭を経験した思春期や若年成人は、より不安や抑うつを感じやすいなんて報告もあったりとか(3)。
こうしたデータを見ていると、普段そこまで気にしていない方でもここらで一旦立ち止まって対策を講じておいて損はないんじゃないかなーとか思うわけです。
が、いざ対策しようと思っても、「じゃあ、口臭ってどうやって治せばいいの?」「歯磨きをちゃんとすれば解決する。。のか?」「マウスウォッシュでごまかせばいい?」って感じで、案外あいまいな回答しか浮かばないのではないでしょうか。
実は、口臭対策ってのは、思っているより複雑でして、上記のキング・サウド大学のレビューによると、口臭の85%以上は口腔内の状態(舌苔や口腔衛生不良など)が原因で、残りの5〜10%が口腔外の原因(耳鼻咽喉疾患や消化器疾患など)だと言われています。つまり、単に「歯を磨けばいい」って話じゃないわけです。つまり、舌のケア、唾液の分泌、口腔内細菌のバランス、さらには全身の健康状態まで、様々な要因が絡み合っているんですよね。
となると当然、対策も多岐にわたるわけで、物理的なアプローチ(舌ブラシ、歯ブラシ)、化学的なアプローチ(マウスウォッシュ、抗菌剤)、生物学的なアプローチ(プロバイオティクス、口腔内細菌叢の改善)、生活習慣の改善(食事、水分補給、喫煙・飲酒の見直し)といった具合に様々提案されております。それぞれにエビデンスがあり、同時にそれぞれに限界があるんで、それぞれを理解して目的に応じて組み合わせて行くのがよいでしょう。
ってことで、本記事では、口臭の原因を確認したうえで、対策のプロコンを検討し、最後に実践に落とし込むところまでお話しできたらと。自分自身だけでなく、パートナーや部下・上司等の口臭が改善することでウェルビーイングが改善する可能性もありますので、何かしらおやくだていただければ幸いです!
本ニュースレターでは、徹底的に調べあげたエビデンスをベースに「より信頼でき、真に価値ある情報」をレポートし、ゴミがあふれるネット上においてキラリと光る質の高いコンテンツをお届けすることを目指しています。あなたの人生を彩るヒントとしてご活用いただければ幸いです。
口臭対策を考える上で、まず知っておくべきなのは「何が原因なのか?」ってことでしょう。前章でも触れた「85%」って数字は具体的に何が原因なんだろう?ってとこですね。
口臭の原因は、最近の研究ではかなりシステマティックに解明されてきておりまして、ポルトガルのエガス・モニス大学の研究チームのレビュー(4)によると、口腔内の原因としては、不適切な口腔衛生、歯周炎、舌苔が主要因として挙げられています。さらに、トルコのキルカレ大学のレビュー(5)では、口腔内の原因として、口腔衛生不良、歯周病、舌苔、食物残渣、不潔な義歯、不適切な修復物、口腔癌、咽頭感染が列挙されています。
つまり、「歯を磨けばいい」っていう単純な話じゃなくて、もっと複雑な要因が絡み合ってるってことですね。では、その「85%」の中身を詳しく見ていきましょう。(口腔外の原因については、耳鼻咽喉関連疾患が約10%、消化器・内分泌系疾患が約5%。今回は深くは触れません)
歯周病と口臭の関係も、かなり明確になってきています。キルカレ大学のレビュー(5)では、歯周病と口臭の関係について、以下のように説明されています。
さらに、VSCが口臭を引き起こすだけでなく、歯周組織への毒性も持つことが指摘されています(7)。つまり、口臭と歯周病は、単なる「関連」じゃなくて、相互に悪影響を及ぼし合う関係にあるってことっすね。
これは言うまでもないかもしれませんが、口腔衛生不良は口臭の根本的な原因となります。
唾液も口臭対策においてはめちゃくちゃ重要。実際、唾液の流れが減少すると、硫黄化合物の強度が増加するとされています(5)。
唾液は、緩衝作用や清掃作用を持ち、口腔内の細菌を管理可能なレベルに保つ役割を果たしています(5)。唾液の流れが減少すると、口腔内の自己清掃機能が低下し、細菌が増殖しやすくなるわけっすね。
で、唾液分泌の減少ってのは、以下のような原因で起こります。
そのほか、近年のレビューでは、以下のような要因も口臭の原因として挙げられています。
って感じで、ここまで口臭の原因をダダーッとみてみましたが、ここで重要なのは、口臭の主な原因であるVSCは口臭を引き起こすだけでなく、口腔組織への毒性も持つってことでしょう。実際、キルカレ大学のレビュー(5)や北里大学の研究(6)では、VSCの毒性について以下のように説明されています:
つまり、口臭ってのは単なる「ニオイの問題」じゃなくて、口腔組織の健康にも影響を与える可能性があるってこと。
さらに、VSCは血液を介して体内の様々な臓器に運ばれ、組織や臓器の正常な機能や代謝活動を阻害する可能性があり、全身性疾患の発症が懸念されるとも報告されています(6)。
ざっくり言えば、口臭の対策に本気で取り組めば、全身の健康状態が(多少なりとも)改善する可能性がある、と。まー、統計的には「そのほかの効果もあったらいいなー」位のスタンスで取り組むのが賢明でしょうが、対策に取り組むモチベーションにはなりましょう。
舌クリーニングは、口腔内口臭を軽減するための最も直接的かつ効果的な方法として位置づけられています。主要な原因である舌苔バイオフィルムとその内部に含まれる基質を物理的に除去する行為、と説明されますね。
実際、あるシステマティックレビューでは、物理的な舌クリーニングがVSC濃度、官能評価スコア、および舌苔の量を統計的に有意に減少させると整理しています(13)。つまり、舌をクリーニングするだけで、口臭の主要因である舌苔を減らし、VSCの産生を抑えられるってことですな。
が、ここで問題になるのが、「どうやって舌をクリーニングするか?」ってとこでしょう。
舌クリーニングの方法として、(調べてみるとわかると思いますが、)主に2つが挙げられます。専用の舌スクレーパーと軟毛歯ブラシです。実際にクリーニングをしてみようとすると、この2つ、どっちが効果的なんでしょう?ときっと迷うはず。
この点、あるクロスオーバーRCTでは、舌スクレーパーがVSCを75%減少させたのに対し、軟毛歯ブラシによる減少率は45%であったと報告しています(14)。つまり、舌スクレーパーの方が約1.7倍効果的ってことですな。
システマティックレビューでも、VSCの減少においてスクレーパーが歯ブラシよりもわずかに効果的である可能性が示唆されています(13)。その理由として、スクレーパーの形状が、舌の広い表面から剥離した汚れを「削ぎ取る」のにより適しているためだと考えられているようです。
一方で、両方の器具が有効であり、統計的に有意な差は見られないとする研究も存在します(15)。これは、使用する特定の器具よりも、クリーニング行為そのものの一貫性が重要であることを示唆している、とのこと。
ってことで、そんなにこだわりがないのであれば、個人的には専用の舌スクレーパを使うのをおすすめしています(軟毛歯ブラシでも、何もしないよりはるかに優秀ですが。)クリーニングの際は舌の奥から手前に向かって行い、除去した汚れを飲み込まないように注意してくださいませ。また、舌乳頭を傷つける可能性がある過度な力も避けるようにしていただければと。
歯間クリーニングも口臭対策においてなかなか優秀。歯間クリーニングの論理的根拠としては、歯ブラシが届かない歯間部からプラークと食渣を除去し、それによって口腔内全体の細菌量と基質の利用可能性を減少させることにある、と説明されます。
Cochraneレビューでは、歯ブラシに加えて歯間クリーニング(フロスまたは歯間ブラシ)を行うことで、歯ブラシ単独よりも歯肉炎とプラークを減少させることを確認しています(16)。歯肉炎は口臭の一因であるんで、間接的にうれしい効果といえるでしょう。
起床時の口臭への効果を検証したあるRCTでは、歯ブラシと舌クリーニングの習慣にフロスを追加することで、VSC濃度を統計的に有意に減少させた(が、知覚可能な改善には至らなかった)と報告されています。まあ補助的に使う、くらいの位置づけでしょうが、やってみる価値はあるんじゃないかと。
物理的なクリーニングにおける注意点としては、その効果は長くは続かないというところでしょう。実際、ある研究では、クリーニング後30分以上、有意なVSC減少は検出できなかったと報告されています(11)。また、別の研究では、歯磨きをしない場合、舌クリーニングだけでは起床時口臭を防ぐことはできなかったとのこと(12)。
理論的には、これは細菌バイオフィルムが迅速に再構築され始めることを意味しておりまして、あくまで「治療」ではなく不可欠な「毎日のメンテナンス作業」として認識しておくのが賢明でしょう(だからこそ後述する化学的・生物学的介入が有効になってくるんですが)。
前章で見たように、物理的クリーニングは「リセットボタン」のように機能しますが、その効果は永続的にあらず。そこで登場するのが、化学的介入でございます。こいつを実践することで、物理的破壊によって達成された「清潔な状態を延長する」ことが可能になります。じっさい、界隈では、物理的清掃で「リセット」し、化学的介入で「清潔な状態を延長する」っていう組み合わせが、口臭対策の王道と言われているみたいっすね。
で、化学的介入の代表例である洗口液は主に2つの経路で作用します(17):
高い効果が確認されている製品は、たいてい両方のメカニズムを組み合わせているようです。
が、実際にどれを買おうか検討する際、無数のマーケティング文句が溢れていてかなりわかりにくいんで、本ニュースレター読者の皆様には、有効成分を示しておいた方が使いやすいでしょう。
塩化セチルピリジニウム(CPC)は、広範囲な抗菌活性を持つ第4級アンモニウム化合物。鶴見大学が2025年にJournal of Clinical Medicineに発表した二重盲検ランダム化比較試験(18)では、矯正治療中の患者を対象に、0.05% CPC含有洗口液を1ヶ月間使用した結果、総VSC、硫化水素(H2S)、メチルメルカプタン(CH3SH)が有意に減少し、さらにプラーク指数(PI)、歯肉指数(GI)、舌苔指数(TCI)も有意に改善したと報告されています。日常的な使用において安全かつ効果的な成分と見なされていますね。
さらに、この研究では舌の微生物叢を16S rRNA Seqで解析したところ、口臭関連菌属(Actinomyces、Corynebacterium、Tannerella)が減少し、有益な菌種(Streptococcus salivariusなど)が増加したとのこと。つまり、CPCは単に細菌を殺すだけでなく、口腔内細菌叢を好ましい状態に再バランスさせる可能性があるってことっすね。
亜鉛イオンは、かなり効果的なVSC中和剤。亜鉛イオンは硫黄に対する高い親和性を持ち、VSCに結合して、それらを不揮発性で無臭の化合物に変換します。システマティックレビューは、特にCPCやクロルヘキシジン(CHX)のような抗菌剤と組み合わせた場合に、その有効性がより顕著に確認されやすいとのこと(17)。
キング・サウド大学の研究チームが2020年にJournal of Dental Sciencesに発表したクロスオーバーRCT(19)では、CHX-CPC-Zn(0.05%クロルヘキシジン、0.05%CPC、0.14%乳酸亜鉛)含有洗口液がVSCを有意に減少させたのに対し、抗酸化洗口液と生理食塩水は有意な効果を示さなかったと報告されています。
具体的には、CHX-CPC-Zn使用後、H2S濃度が234 ppbから32 ppbに、CH3SH濃度が41 ppbから7 ppbに、CH3SCH3濃度が16 ppbから5 ppbに減少したとのこと。つまり、亜鉛イオンは抗菌剤と組み合わせることで、より効果的な口臭対策が可能になるはず。
二酸化塩素(ClO2)は、強力な酸化剤。VSCそのものと、その前駆体であるアミノ酸(システイン、メチオニン)の両方を酸化することで作用し、VSCの形成を防ぎ、臭いを中和します。メタアナリシスでも、プラセボと比較してVSCレベルと官能評価スコアを減少させる短期的な有効性を確認しており、良好な安全性プロファイルとCHXよりも少ない副作用が報告されています(17)。
クロルヘキシジン(CHX)は、高い残存性(口腔内で数時間活性を維持する)から、しばしば抗菌剤の「ゴールドスタンダード」と呼ばれてますね。
が、長期使用に伴う重大な副作用として、歯や舌への着色、味覚変化、歯石沈着の増加などが報告されているんで、長期的な日常のセルフケアには使用しないのがベターかと。
エッセンシャルオイル(チモール、メントール、ユーカリプトールなど)は、VSCの短期的な減少(約3時間で25%程度)効果が確認されています。その効果は主にマスキングで、抗菌作用は正直期待できない。実際研究でも、CPC、亜鉛、または二酸化塩素を含む製剤と比較して、持続的な口臭コントロール効果は低いとされていますね(17)。
実践としては、先ほど触れた研究(19)で、CHX-CPC-Zn(0.05%クロルヘキシジン、0.05%CPC、0.14%乳酸亜鉛)含有洗口液の効果を検証されたように、抗菌作用(CHX、CPC)とVSC中和作用(亜鉛)を組み合わせるのがよろしいかと。
物理的クリーニングも化学的介入も、基本的には「細菌を殺す」「細菌を減らす」アプローチ(「除草」アプローチと表現されたりする)。
が、最近注目されているのが、それが生物学的介入、つまりプロバイオティクスでございます。プロバイオティクスは「除草」ではなく「植栽」アプローチでして、細菌を殺すことで「庭」の「雑草」を抜く洗口液とは異なり、プロバイオティクスは有益な種を「植える」って考え方ですね(20)。
口腔プロバイオティクスの基本的な考え方としては、有益な細菌を口腔内に導入し、それらが口臭産生菌と戦わせることにあります。そのメカニズムは大きく以下の2つ(20)。
つまり、プロバイオティクスは、口臭産生菌と「場所」や「栄養」を奪い合い、さらに「武器」(抗菌物質)を産生することで、口臭産生菌を抑制するって感じっすね。
最近では、「プロバイオティクス」という言葉自体は一般的ですが、本ニュースレター読者の皆様ならご存じの通りその効果は菌株特異的。つまり、菌株によって効果が大きく異なります。いくつか期待できそうな菌株の具体例を挙げると、
つまり、S. salivarius K12は、物理的クリーニングと組み合わせることで、より効果的な口臭対策が可能になるといった感じっすね。
プロバイオティクス全体として、四川大学のメタアナリシス(23)では、プロバイオティクスの口臭への効果を検証しています。このメタアナリシスでは、7つのRCTを対象に、短期(≤4週間)と長期(>4週間)に分けて解析。結果、短期では、プロバイオティクス群で官能評価スコア(OLP)が有意に減少(SMD=−0.58; 95% CI −0.87 to –0.30, p<0.0001)し、VSCレベルも有意に減少(SMD=−0.26; 95% CI −0.51 to –0.01, p=0.04)したとのこと。
が、長期では、官能評価スコア(OLP)のみが有意に減少(SMD=−0.45; 95% CI −0.85 to –0.04, p=0.03)し、VSCレベルでは有意な差は見られなかったそうです。
つまり、プロバイオティクスは短期的に(4週間以内)口臭を著しく緩和する可能性があるものの、長期的な効果は不確かで、官能評価スコアでのみ有意であり、VSCレベルでは有意ではなかったってことですね。
さらに、他のシステマティックレビューはより慎重な見解を示してまして、研究間の異質性が高く、サンプルサイズが小さいため、決定的な臨床的推奨を行うには証拠がまだ不十分であると結論づけています(24)。
ってことで、プロバイオティクスは少なくともワンショットの解決策ではなくて、マイクロバイオームを維持するためには、継続的かつ長期的な使用が必要。まあやってもいいけど、物理的・化学的なアプローチと組み合わせて使いましょうね?って感じでしょうね。
ここまでで、物理的クリーニング、化学的介入、生物学的介入を見てきました。これらはすべて「直接的な介入」と言えるでしょう。
が、いくら物理的クリーニングをしても、化学的介入をしても、生物学的介入をしても、生活習慣が乱れていれば、その効果は限定的になってしまいます。
例えば、物理的クリーニングで舌苔を除去しても、唾液分泌が減少していれば、すぐに細菌が再増殖してしまいます。化学的介入で洗口液を使っても、喫煙や飲酒を続けていれば、口内環境は悪化し続けます。生物学的介入でプロバイオティクスを摂取しても、水分補給が不十分であれば、唾液の流れが悪化し、口臭が改善されません。
つまり、Last but not leastとして、生活習慣による介入も、物理的・化学的・生物学的介入の「基盤」を整えるアプローチとしてかなり重要となってきますんで、この辺りもさらっておきましょう。
上述の通り、唾液の流れが減少すると、硫黄化合物の強度が大幅に増加します(5)。唾液は、緩衝作用や清掃作用を持ち、口腔内の細菌を管理可能なレベルに保つ役割を果たしているので(5)。
つまり、水分補給が不十分だと、唾液分泌が減少し、口臭が圧倒的に悪化してます。
ビクトリア州保健省のガイドライン(25)では、口臭の原因として口の乾燥(dry mouth)を挙げており、これは薬、アルコール、ストレス、医学的状態によって引き起こされると説明されています。
つまり、適切な水分補給は、唾液分泌を維持し、口臭を予防するための超基本的なアプローチってことっすね。いろいろ取り組む前に水分補給はマスト。
想像に難くないですが、食事も口臭に大きな影響を与えます。上述のビクトリア州保健省のガイドライン(25)では、タマネギ、ニンニク、カリフラワーなどの食品は、短期的な臭いを引き起こすと説明されています。
さらに、食事のタイミングも重要。朝食を抜くと、唾液分泌が減少し、口臭が悪化する可能性があります。また、食事の間隔が長すぎると、唾液分泌が減少し、口臭が悪化する可能性も指摘されていたりします。つまり、適切な食事のタイミングと、口臭を引き起こしやすい食品の摂取を控えることが、口臭対策の基本となります(玉ねぎやニンニクによる口臭は短期(数時間程度)で解消されることがデータでも示されているのでそこまで気にしなくてもいいかと思いますが)。
こちらも当然ですが、喫煙は、口臭の主要な原因の一つ。喫煙は口から酸素を奪いますからね。つまり、喫煙により口腔内の酸素濃度が低下し、嫌気性細菌が増殖しやすくなり、VSCの産生が増加するってことですな。
飲酒も、口臭に影響を与えるファクター。飲酒により唾液分泌が減少し、口臭が悪化するんですよね。
ってことで、喫煙や飲酒を極力控えることで、口腔内環境を改善し、口臭を予防することが可能ってことですな。
ストレスも、口臭に間接的な影響を与えてきます。ストレスにより唾液分泌が減少・乾燥し、口臭が悪化するんですよね。さらに、ストレスは免疫機能を低下させ、口腔内細菌の増殖を促進する可能性も指摘されています。つまり、ストレス管理は、口臭対策の重要な要素の一つとなってきます。
起床時の口臭は、睡眠中に唾液分泌が減少し、口腔内細菌が増殖することによって引き起こされます。
ざっくり言えば、適切な睡眠時間と睡眠の質を確保することで、唾液分泌を維持し、口臭を予防することが可能ってことですな。
まあどれも当たり前のようなファクターですが、これらの当たり前を丁寧に整えることが、口臭対策の「基盤」を整えることとなります。物理的・化学的・生物学的介入を実践する前に、まず生活習慣を整えることが、効果的な口臭対策の第一歩となるはずでございます。
以上、口臭の原因から、物理的・化学的・生物学的介入、そして生活習慣による介入まで、幅広く見てきました。
最後に、ここまでの情報を統合した口臭対策の1日ルーティンを例として提示しておきます。こちらを参考に、自分なりのルーティンを作ってみてくださいませ。
起床時は、睡眠中に唾液分泌が減少し、口腔内細菌が増殖している状態です。つまり、1日の中で最も口臭が強くなるタイミング。ここでしっかりとクリーニングを行うことで、1日を清潔な状態でスタートできます。
日中は、食事やコーヒーなどの摂取により、口腔内環境が変化します。ここで適切なケアを行うことで、1日を通して清潔な状態を維持できます。
就寝前は、睡眠中に唾液分泌が減少するため、口腔内環境を整えることが重要です。ここでしっかりとクリーニングを行うことで、起床時の口臭を軽減できます。
以上、重要なのは、物理的クリーニング、化学的介入、生物学的介入、生活習慣の改善を組み合わせて、継続的に実践することです。
知識があっても、実践しなければ意味がありません。まずは、上記のルーティンを参考に、自分なりの方法を見つけてみてください!
今回は以上。
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ではまた!