目次

1. 「スマホをいじりながら」会話の意外な影響
2. 間欠的断食で髪の成長が遅くなる？最新研究が示す意外な影響
3. モテたいなら賢さより面白さより「やさしさ」

「スマホをいじりながら」会話の意外な影響

会話中にスマートフォンを見る「ファビング」（phubbing：phone + snubbingの造語）。一見些細な行為に思えるこの習慣が、人間関係に予想以上の影響を及ぼしている可能性が、Computers in Human Behaviorに掲載された最新の研究で明らかになった。

研究チームは4つの実験を通じて、衝撃的な事実を発見している。

【実験1：SNSデータ分析】

• 対象: 中国のSNS（Sina Weibo）上のユーザー200人、約7万件の投稿
• 方法: ファビングを経験する頻度と、投稿における「人間らしさ」を示す言葉の使用頻度を分析
• 結果: ファビングを頻繁に経験する人ほど、他者の人間性を強調する言葉の使用が少ない

【実験2：オンライン調査】

• 対象: 305名の参加者
• 結果:
• • ファビングを経験する頻度が高いほど、他者の意図や感情を理解することが困難に
  • その結果、他者を「非人間化」して捉える傾向が強まる

【実験3：実験的検証】

• 対象: 198名の参加者
• 方法: ファビングを受けた経験 orしっかり話を聞いてもらった経験を想起
• 結果: ファビングを受けた経験を思い出した群で、他者の「非人間化」が顕著にみられた

【実験4：行動への影響】

• 対象: 212名の参加者
• 方法: 3Dアニメーションの会話場面を視聴後、攻撃性を測定
• 結果: ファビングを目撃した群で、相手への攻撃性が有意に上昇した

要するに、ファビングは相手の意図や感情の理解を困難にすることで、他者を「もの」のように捉える傾向を強めるというのだ。さらにこれは単なる認識の問題にとどまらず、実際の攻撃的行動にまでつながる可能性がある。恐ろしい話だ。

研究チームは「ファビングは現代社会で急速に広がっている現象だが、その対人関係への影響は十分に理解されていない」と指摘している。スマートフォンが日常生活に不可欠となった現代。この研究は「ちょっとスマホを見る」という私たちの何気ない行動が、思いもよらない形で人間関係を損なっている可能性を示唆している。

あなたは大丈夫だろうか？

間欠的断食で髪の成長が遅くなる？最新研究が示す意外な影響

今や約13%のアメリカ人が実践しているという間欠的断食（What is？、How to？）。これまで2型糖尿病やアルツハイマー病のリスク低下など、様々な健康上の利点が報告されてきた。しかし、Cell誌に掲載された最新の研究で、この食事法が髪の成長に予想外の影響を与える可能性が明らかになった。

研究チームは、マウス実験と人間での臨床試験を通じて、以下のような興味深い発見をしている。

【マウス実験】

• 方法:
• • 毛を剃ったマウスを3グループに分類
  • • 16時間断食/8時間摂食グループ
    • 1日おき断食グループ
    • 自由摂食グループ（対照群）
• 結果:
• • 対照群：30日で大部分の毛が再成長
  • 断食群：90日経過しても部分的な再成長にとどまる

【人間での臨床試験】

• 対象: 健康な若年成人49名
• 方法: 18時間の断食を実施
• 結果: 通常の食事をする対照群と比べて、髪の成長速度が18%低下

マウスの方が代謝率が高く、より顕著な影響が出やすいようではあるが、ヒトでも18％の速度低下というのは無視できる数値ではないだろう。

研究チームは、この現象が起こるメカニズムについて、以下のように説明している。

1. 代謝の変化: 断食中、体がグルコースから脂肪の利用へと切り替わる
2. 酸化ストレス: この代謝変化が毛包幹細胞に酸化ストレスを与える
3. 成長抑制: 毛包幹細胞が酸化ストレスに対処できず、髪の成長が遅くなる

参考文献より

先日の「👵白髪撃退マニュアル2025」を読んでいただけたのであればなじみのある単語たちであろう。

本研究は臨床試験の規模が比較的小さい（49名）、長期的な影響は未検討、個人差や他の要因の影響は不明確といったLimitationがあるのは事実だ。間欠的断食の多くの利点を否定するものでもない。それでも、間欠的断食を実践するなら予期せぬ影響があることを認識しておくことが重要だろう。光あるところに影ありといったところか。

モテたいなら賢さより面白さより「やさしさ」

「One beautiful heart is better than thousand beautiful faces」 というシェイクスピアの言葉がある。British Journal of Social Psychologyに掲載された研究で、この表現が比喩以上の意味を持つ可能性が示された。思いやりのある行動が、実際の容姿の魅力度評価を高めるというのだ。

ペンシルベニア大学ウォートン校の研究チームは、4,000人以上を対象とした10の実験を通じて、興味深い発見をしている。

検証の方法は大きく分けて以下の3つ。

1. 実生活での観察: 実際の思いやり行動を観察
2. シナリオ評価: 親切な行動の描写を読んでもらう
3. 想像実験: 思いやり行動を想像してもらう

各状況下で行動の主体の身体的な魅力を評価してもらった結果、以下のことが分かった。

• 親切な行動をする人は、そうでない人より身体的に魅力的に見える
• この効果は男女両方に当てはまり、評価する側の性別も関係ない
• 他の好ましい特徴（ユーモアや知性）よりも、思いやりの影響力が強い

参考文献より

個人的に特に面白いなと感じたポイントは3つ。

1. 関係性による違い: 相手との関係構築の可能性がある場合（つまり今後付き合うことになるかもと思っている場合）に、効果がより顕著になる
2. 欠点への寛容: 思いやりのある人の場合、傷跡などの外見的な欠点が気にならなくなる
3. 持続性の重要: 一回限りの親切より、継続的な思いやり行動の方が魅力度を高める

研究チームは「私たちは美しさを、対称性などの外見的特徴だけで判断しているわけではない。親切な行動や思いやりが、人の魅力を本質的に高める可能性がある」と述べている。

そこまで美男美女じゃないのになぜかモテる人たちは「親切」という特性が共通しているのかもしれない。外見を改善するだけがモテへの道ではなく、思いやりの心を育むことも魅力を高める方法となり得る。

優しさや思いやりが、文字通り人を「美しく」する。客観的な見た目だけでなく、「親切」で頭一つ抜けたモテ（恋愛関係だけでなく一般的な人間関係でも当然当てはまる）を手に入れてみてはいかがだろうか。タダで、大した時間も要さずできるのもありがたいポイントだ。