私事ですが、来月、留学から帰国します。ってことでアパートを探してたんですが、当然ながら「どこに住むか」は人生のいろんな要素に影響してくる話。

「人生の成功は才能と努力で決まる」と思いたい気持ちはわかりますけど、実際には「環境」の方が圧倒的にインパクトが大きいんじゃね？ってのは実際に多くの研究でも明らかになってたりするんですよね。人の能力みたいな「内的」な要素なんて「外的」な要素と比べてしまえば所詮大したことないよねーってところですね。

分かりやすい話で言えば、Centre for Global Developmentってシンクタンクの調査では、2010年のハイチ大地震後にアメリカに移住した農業労働者の収入が14倍に跳ね上がったぞ！なんて報告されたりとか。彼らの能力は変わっていません。変わったのは「場所」だけ。つまり、「引っ越す」って選択は、単なる住所変更ではなく、あなたの人生そのものを変える可能性を秘めているだぞー、と。

とはいえ「引っ越し」と言っても、隣町に引っ越すのと、国を越えて引っ越すのでは大きな違いがあるのも事実。ってことで今回からは、「じゃあ一体どこに引っ越せばいいの？」「そもそも引っ越す必要はあるの？」みたいな話をしていければと。とりあえず今回は最もデータの多い分野の一つでもある「自然へのアクセス」についてお話していければと思っております。「自然が多い地域に住むとこんないいことがあるよ！」みたいな話ですな。

ちなみに、特に「収入・経済的成功」との関連で住居環境について関心が強い方にはエンリコ・モレッティ先生の『年収は「住むところ」で決まる』って書籍が激しくお勧めです。エビデンスベースでありながら、かなりわかりやすくまとまっていて本ニュースレターの読者様が好むタイプの書籍なんじゃないかと。まあちょっとデータが古かったりはしますが、再現が確認されているものも少なくないようですし、今でも参考になる内容になっているのではないかと。

本ニュースレターでは、徹底的に調べあげたエビデンスをベースに「より信頼でき、真に価値ある情報」をレポートし、ゴミがあふれるネット上においてキラリと光る質の高いコンテンツをお届けすることを目指しています。あなたの人生を彩るヒントとしてご活用いただければ幸いです。

目次

1. 自然と暮らせば心が健康になる！
2. たった1時間の自然の中を散歩するだけで脳が変わる
3. ボディイメージ改善
4. 森林浴が紡ぐ健康と絆
5. 自然こそ最高の薬？
6. 自然で認知症予防
7. 自然の中で暮らせば、ぐっすり眠れる！？
8. スマホ依存からの脱却
9. 自然が引き出す1.5倍の創造力

自然と暮らせば心が健康になる！

まずは最もデータが多いメリットとして、家の近くに自然があったり、自然との触れ合いが多い人ほどメンタルが良好、精神疾患にかかりづらいのは間違いなし。

世界保健機関（WHO）も、緑地や水辺（ブルースペース）で過ごす時間は、気分を向上させ、メンタルヘルスを改善するぞ！ってはっきり報告してたりしますね。自然の多い場所に住むことは、毎日無料の「心のビタミン」を摂取しているようなものだ、と。

具体的な効果もさらってみると、

1. ストレス解消：
   Frontiers in Psychologyに掲載された2019年の研究では、1日たった20分自然の中で過ごすだけで、ストレスホルモンが大幅に減少した。この結果について研究者は、「まるで自然が処方箋のない『抗ストレス薬』のような働きをしている」と表現している
   
2. 不安とうつを防ぐ盾になる：
   2015年から2016年にかけて7321人を対象に行われた研究では、緑地で過ごす時間が多い人ほど、抗うつ薬や抗不安薬の使用が少ないという結果となっていた。自然は私たちの心の免疫力を高めてくれるのだ、と。

面白いのは、実際に自然に身を置かずに、自然の「音」を聴くだけでも、ストレスやイライラが軽減され、気分が向上する点。特に、水の音は気分を最も高め、鳥の声はストレス軽減に最も効果があったぞ！なんて報告もありますね。こういった点を鑑みれば森や自然の近くに住むのってかなりメリットでかそうだよなーとか感じますね。

また、もう一点重要なのは、これらの効果は一時的なものではないということ。長期的に自然の多い環境で暮らすことで、メンタルヘルスはどんどん向上していき、自然の多い環境で過ごす人とそうでない人の差は一貫して拡大していくんですな。そう考えても、何も考える無意識に自然と触れられる環境に居を構えてしまう、というのは合理的な選択なんじゃないでしょうか。

なお、この点に関しては、小さいお子さんのいる方は特に注意したほうがいいんじゃないかと指摘されていたりもします。実際、近年子供の不安症などが増えているけどそれって自然と触れる機会が減っていることが一因なんじゃないの？って主張があるんですな。具体的なデータもチェックしてみると、最近だとバルセロナ大学の研究はよく耳にすることが多くて、ここでは622人の子供たちを9年間追跡して信頼性の高い結果を導き出してくれてます。

ザックリ要旨を列挙してみると、

• 緑地と不安の明確な関連性：
  家や学校の周りに緑地が多い子どもほど、不安症状が少なかった。この関連性は、幼児期から思春期前まで一貫して観察された。
• 長期的な影響：
  研究は3歳から10-11歳までの長期にわたって行われ、緑地の効果が一時的なものではなく、子どもの成長に沿って持続することが示された。
• 社会経済的背景による差
  この緑地の効果は、社会経済的地位の低い家庭の子どもたちにより強く現れた。つまり、緑地は経済的な不利を一部相殺する可能性がある。
• 緑地の近さと豊富さ：
  アクセスできる緑地が多いほど、そして最寄りの緑地までの距離も近いほど、不安症状が少なく、緑地の「量」と「アクセスのしやすさ」が同時に重要だということを示した。

って感じ。この結果を受けて研究チームは、「可能であれば公園や緑地の近くに住むことを検討してみては？」「それが難しい場合でも緑の多い場所に定期的に連れて行ったり、緑の多い学校を選んであげたりしたほうがいいかもねー」と提案してたりします。もちろん不安の原因は自然環境だけではないですけど、親が子供たちにしてあげられることなんてたかが知れてるんで、子供の将来の心の健康を守るための重要な投資として、環境の選択は慎重にしてあげたいものですねぇ。

たった1時間の自然の中を散歩するだけで脳が変わる

主観だけでなく、脳を調べた客観的な観点でも自然の中で身を置くことで著しい効果が見られるぞ！ってことがわかってたりもします。例えばマックス・プランク人間発達研究所の研究チームが行った研究では、63人の健康な被験者を対象に、1時間の自然散歩前後の脳活動を機能的磁気共鳴画像法（fMRI）で調べたんだそう。

その結果、何が分かったかといえば、

1. 扁桃体の活動が減少：
   扁桃体は脳のストレス処理に重要な役割を果たす部位。自然の中を歩いた後、この部位の活動が減少した。つまり、自然は文字通り脳のストレスを和らげる効果が認められた
2. シティウォークとの違い：
   一方、ベルリンの交通量の多い商店街を歩いた後では、扁桃体の活動に変化は見られなかった。これは、都市環境が必ずしも追加のストレスを引き起こすわけではないものの、散歩だけでは偏桃体に影響はないことを示唆。
3. たった1時間で効果あり：
   わずか1時間の自然散歩でこの効果が現れたことは驚きで、即時に効果を期待できることが示唆された

だったそう。「散歩でストレス解消！」みたいな話はよく聞きますが、「どこで散歩するか？」がかなり重要っぽいですね。さらに研究チームは、この研究結果を私たちの日常生活にどう活かせばいいのか？ってところまで提言してくれていまして、

1. 日々の自然時間を確保する：
   忙しい毎日でも、1時間の自然散歩を週に数回取り入れるべき。近くの公園や緑地でも十分効果がある。
2. ストレス解消法として活用：
   仕事や人間関係でストレスを感じたら、薬に頼る前に自然散歩を試してみるのが吉
3. 都市計画への提言：
   この研究結果は、都市部により多くの緑地を設ける必要性を示している。地域の緑化活動に参加するのも良いだろう。
4. 休暇の過ごし方を見直す：
   長期休暇では、自然豊かな場所での滞在を検討してみてみよいかも。脳にとって最高のリフレッシュになるはず。
5. 日常の中で自然を感じる：
   オフィスや自宅に植物を置いたり、窓から見える景色に緑を取り入れたりするのも良いだろう。

って感じ。これを見ていてもやっぱり「じゃあそもそも自然の近くに住んでしまえばいいんじゃない？」とか思うわけです。通勤するにもコンビニに行くにも勝手に自然の中を通らなければいけない環境にしてしまえばよいのではないか？と。ってことで引っ越しを考える際には、緑地へのアクセスも重要な選択基準の一つに加えてあげればあなたの脳と心は、きっとあなたの選択に感謝するんじゃないでしょうかー。

ボディイメージ改善

鏡を見てため息をついたことがある人も多いはず。現代社会では、「完璧な体型」へのプレッシャーが至るところに存在しますからねぇ。しかし、自然ってのはそんな重圧から解放してくれる意外な味方にもなってくれるかもよ？ってなことがわかってたりします。

例えばアングリア・ラスキン大学の研究チームが行った研究によると、自然の中で過ごすと、ネガティブな身体イメージと上手く付き合う力を高めてくれるぞ！ってな話になってます。

具体的に、どんな効果があるのかといえば、

1. ボディイメージの脅威から物理的・精神的に距離を置ける：
   都市環境では、SNSや広告、鏡など、理想の体型を意識させる要素が溢れている。一方、自然の中では、これらの「脅威」から離れることができる
2. より健康的な思考プロセスを促進：
   自然は、私たちの認知プロセスを改善し、ボディイメージの脅威をより「現実的に」評価できるようにしてくれる
3. 「合理的受容」を強化：
   研究では、自然との触れ合いが多い人ほど、「合理的受容」というコーピング（対処）メカニズムが強いことが分かった。つまり、ネガティブな身体イメージの感情を理性的に受け止め、適切な視点で捉える能力が高かった
4. 身体への感謝の気持ちを高める：
   自然の中で過ごすことで、自分の身体への感謝の気持ちが強まることもわかった。以上の効果は男性にも女性にも当てはまった

だったそう。研究チーム曰く、

自然の中にいると、時間がゆっくり流れているように感じ、これらの脅威を理性的に考える機会が得られます。自然環境の回復力のある特質が、より健康的な認知プロセスを促進している可能性があります。

とのこと。要するに、自然に身を置くと過剰な外部からの刺激からは切り離された状態で落ち着いて「何がどこまで必要なのか？」「それって本当に改善しなければいけないことなのか？」と考えられるようになることで、自身の体に対するネガティブなイメージも軽減するってわけですな。と考えると、自然の中で時間を過ごすときにはインターネットにも物理的に接続できない状況を構築してしまうのがベターでしょうね（まあそもそも自然の中にいるとスマホ触りたい！みたいな欲自体減るんですが（後述））。

ちなみに、この研究は2年以上前にTwitterで投稿してたりしました。当時ほどではありませんが、今でも定期的に心理や健康などの分野の学術論文を紹介してますので、よろしければフォローお願いします！

森林浴が紡ぐ健康と絆

ペンシルベニア州立大学の研究チームが行った最近の研究なんかを見ていると、自然と触れ合う時間を積極的に設けることで、メンタルの健康だけでなく生活の質（QOL）まで向上するぞーなんて話になってたりします。

具体的には、

1. 人生の目的意識が高まる：
   研究では、自然体験の機会が多い人ほど、人生の目的意識が強い傾向が見られた。特にこれは他者と一緒に自然で時間を過ごすことが多い人に顕著だった。
2. 社会的つながりが深まる：
   森林浴などの自然体験を通じて、新しい友人ができたり、既存の関係が深まったりすることで、孤独感の軽減にもつながっていた
3. 認知機能の維持に貢献：
   自然の中での活動や、その後の社会的交流が、認知機能の維持に役立つ可能性が示唆された
4. 死の恐怖が軽減：
   人生の目的意識が高まることで、死に対する恐怖が軽減されるという研究結果もあり、特に高齢者の良好な精神状態にポジティブな影響を及ぼす可能性がある

って感じ。その他の研究を見ていても、緑豊かな環境に住む人々は、自分の健康と未来についてより楽観的な見方をする傾向がある！ってのは結構昔から報告されているんだそ。毎日自然を見ながら暮らすことで「明日はきっといいことがある」という前向きな気持ちが育まれるのだ！と。

また、自然に身を置くときは独りであっても、自然に身を置く時間が長い人は、共感力や所属感を高いぞ！みたいな報告もあって、良好な人間関係を築く上でも自然との接触機会が多い場所に家を構えるってのはかなり有効的な手段なんじゃないかと。人生における人間関係の重要性は強調してもしきれませんからねぇ。

自然こそ最高の薬？

メンタルだけではなく、肉体的な健康の面でも自然との接触機会を増やすのはかなり有効。例えば、フィンランド保健福祉研究所の研究チームが行った2022年の研究によると、週に3〜4回自然の中で時間を過ごすことで、以下のような効果が認められたそう。

1. 血圧降下薬の使用が36%減少
2. メンタルヘルス関連の薬の使用が33%減少
3. 喘息薬の使用が26%減少

つまり、自然の中で過ごす時間を増やすことで、うつや不安だけでなく、高血圧、喘息といった様々な健康問題に対する薬の必要性が減る可能性があるんじゃない？って話ですね。

研究チームはこの結果をもとに、どうやってこの「自然の薬」を使えばいいのか？を提案してくれておりまして、こちらもチェックしてみましょう。

1. 「自然」ってそもそも何や？：
   研究では、森林、公園、庭園、湿地、湖、川、海などが「緑地・青地」として定義されている。自宅から1km以内にこういった場所があれば理想的だ、と。
2. 週3〜4回は自然の中で過ごす：
   毎日でなくても構わない。最低週に3〜4回、自然の中で時間を過ごすことを目標にしよう
3. ただ見るだけでなく、体験する：
   研究によると、窓から自然を眺めるだけでは効果が薄い模様。実際に外に出て、自然を体感することが大切（ただし最近ではVRでも同等の効果があった！といった報告もある）
4. 運動と組み合わせる：
   自然の中での身体活動が、健康上の利点の鍵となる要因だと考えられている。散歩やジョギング、サイクリングなど、自然の中で体を動かすことをおすすめする。
5. 植物を育てる：
   自然に触れる機会が少ない場合は、職場や自宅で植物を育てるのも良いだろう。日本の研究では、職場で植物の世話をすることで肉体的・精神的ストレスが軽減されたという結果も出ている。

もちろん、本研究では因果関係は不明だし、現在服用中の薬を勝手に中止するのは危険。自然の近くに引っ越したからと言ってそれはあくまでも既存の治療を補完するものだということを忘れずに。

自然で認知症予防

以前「スーパーエイジャー」のお話もしましたが、いかに脳力をキープするか？は個人的にかなり大事にしていきたいところ。気にするのが早すぎるだろ！って言われることも多いんですが、実際には25歳頃から低下し始める認知機能も少なくないですからねぇ。この点、緑豊かな場所に住むことで、認知機能が向上し、ひいては認知症のリスクを下げられるかもよ！みたいに結論づけている研究もあったりします。自然の中に住むことをすすめたい大きな理由の一つですね。

例えばボストン大学公衆衛生大学院の研究チームが行った研究では、約13,600人の中年女性を対象に、緑地と認知機能の関係を調査。

その結果、

1. 緑地と認知機能の明確な関連性：
   研究では、家の周りや近隣の緑地が多いほど、処理速度や注意力といった認知機能が高い傾向にあった。具体的には、緑地の量が標準偏差1単位増えるごとに、認知機能スコアが0.05ポイント高かった
2. 年齢による影響と同等：
   この認知機能の向上は、実年齢が1歳若返るのと同じくらいの効果に相当した
3. うつ病との関連性：
   研究チームは、緑地が認知機能を向上させるメカニズムとして、うつ病の軽減が重要な役割を果たしている可能性を指摘。緑地が多いとうつ病のリスクが下がり、それが認知機能の向上につながるのではないか、と。
4. 特定の認知機能への影響：
   ただし、緑地は処理速度や注意力にはポジティブな影響を与えたものの、学習能力や作業記憶には影響がなく、認知機能全体に効く！という話ではないかもしれない点には注意が必要

って感じだったらしい。まー対象者の大多数が白人女性なんで、他の人口集団でも同様の結果が得られるかは不明だし、自然の種類によっても効果が違ってくる可能性は大きいでしょう。とはいえ、確実性の高い結果が出るまでに何も手を打たずに認知機能が下がってしまうよりかは、少なくとも自然の中に身を置く機会は増やしておくべきだろうとは思いますねぇ。

自然の中で暮らせば、ぐっすり眠れる！？

日本人の睡眠がヤバい！ってのはもはや耳タコかもしれませんが、睡眠時間や質って住んでる地域の緑の量と関係してるんじゃない？みたいなことも報告されていたりします。

例えばエクセター大学の研究チームが行った18カ国、約16,000人を対象とした大規模な国際研究によると、緑豊かな地域に住む人々は、そうでない人々に比べて睡眠不足に悩まされる割合が明らかに低かったんだそうな。

具体的には、

1. 緑豊かな地域と睡眠の質の明確な関連性：
   緑豊かな地域に住む人のうち、6時間未満の睡眠しか取れていない人の割合は17%だった。一方、緑の少ないエリアでは、その割合は22%だった
2. メンタルヘルスを通じた間接的効果：
   研究では、緑豊かな環境がまずメンタルヘルスを改善し、それが結果として睡眠の質の向上につながるという関係性が明らかになった
3. 空や水辺の効果も：
   家から空や水辺が見える環境も、メンタルヘルスの改善を通じて間接的に睡眠の質を高める効果があることが分かった
4. 自然との触れ合いの重要性：
   緑地や水辺を頻繁に訪れることも、身体活動の増加とメンタルヘルスの改善を通じて、睡眠の質の向上につながることが示された

だったそう。緑だろうと青だろうと自然が見えて自然の中に積極的に身を置ける環境がメンタルや睡眠にグレートな影響を与えてくれるのだってわけですね。ちなみに、①について、5％というと些細に感じるかもしれませんが、これは経済的な余裕がある人とそうでない人の睡眠の差に相当するくらいなんで、なかなかデカい違いが出たなーとか感じますね。

研究チーム曰く、

緑豊かなエリアに住む人々はメンタルヘルスが良好で、それが良質な睡眠につながる主な要因となっていました。都市部では既に環境リスク対策として街路の緑化が進められていますが、この研究結果は、住宅地域にもそれを拡大し、健康的な睡眠習慣を促進することで公衆衛生を支援すべきだということを示唆しています。

とのことで、都市計画や公共政策の方向性について言及されてました。といっても個々人がにできることは少ないんで、やっぱり自分や家族のメンタル・睡眠を考えるなら「どこに住むか」は慎重に検討すべきなんじゃないかという気がしますねぇ。

睡眠については過去にnoteの方でいろいろ執筆してますので、「睡眠の重要性を再認識したい！」って方はご笑覧くださいませー。

（最近睡眠の話を取り上げてなかったので、リクエストいただければまとめ直そうと思います。お気軽にコメントやDMなどでご連絡ください！もちろん睡眠以外でも歓迎です！）

スマホ依存からの脱却

「スマホの使用時間を減らしたい！」って感じている人も少なくないはず。とはいえどうすれば減らせるのかわからん！って方が多いんじゃないでしょうか。この点についても「自然」が解決策になってくれる可能性が示唆されていたりするんですよ。自然ってすごいですねぇ。

ここでは比較的最近のデンマークで行われた研究を紹介してみます。こちらはコロンビア大学データサイエンス研究所の研究チームが、701人の若者（主に大学生）を対象に2年間にわたって行った調査で、以下のようなことが分かったらしい。

1. 緑地とスマホ使用の逆相関：
   緑地で過ごす時間が長い若者ほど、スマートフォンの使用時間が少ないことが分かった。これは、自然が過度のスマホ使用から若者を守る「保護要因」となる可能性を示していた
2. 長時間だとより効果的：
   特に、より長時間自然に身を置くことでスマホ使用の大幅な減少につながっていた。森や自然保護区のような「より野生的な」環境での長時間滞在が、最も効果的だった。
3. 短時間でも効果あり：
   都市環境と比較すると、短時間から中程度の自然訪問でも、デジタルに触れたい！という気持ちを抑制する能力が高くなっていた
4. 静止状態でより効果的：
   緑地内で動き回るよりも、一箇所にとどまっている方が、スマホ使用を減らす効果が大きいことも分かった。
5. 都市公園での短時間滞在は逆効果？：
   興味深いことに、2時間未満の都市公園や娯楽エリアへの訪問では、テキストメッセージや電話の発信が増加した。

てなわけで、どうしてもスマホに手が伸びちまう！ってお悩みの方は比較的まとまった時間を自然の中で過ごしてみるとよろしいのではないでしょうか。家探しの文脈なら「開発」された自然よりも「モリモリした」自然の中を選択したほうがベターかもしれないっすね。

ちなみに、デジタルデトックスに関しては、コンピュータサイエンティストのカルニューポート先生の「デジタルミニマリスト」って本がおすすめ。科学をベースにしつつも比較的実践にも移しやすい内容になってるんで。

自然が引き出す1.5倍の創造力

AIの発展もありやっぱ人間には創造性が大事！みたいな話は一層よく耳にするようになりましたが、創造性の向上にも自然がいいぞ！ってデータがあったりします。自然の中で過ごすことが創造性と問題解決能力を劇的に向上させたぞ！って内容ですね。

ある研究では、56人の参加者を対象に、4日間の自然体験が創造的思考にどのような影響を与えるかを調査していて、その結果、

1. 創造性が50%向上：
   自然の中で4日間過ごした後、参加者の創造的問題解決能力は50%も向上した。これは、単なる気分転換以上の、認知機能の「本質的な」改善を示す。
2. テクノロジーからの解放：
   参加者は4日間、電子機器の使用を完全に禁止された。この「デジタルデトックス」が、創造性向上の重要な要因となった可能性がある。
3. 自然環境の持続的効果：
   この効果は、単に短時間自然を眺めるだけでなく、数日間自然の中に身を置くことで得られた。これは、自然との長期的な関わりの重要性を示唆した。
4. 高次認知機能への影響：
   この研究は、自然が注意力や集中力だけでなく、創造的思考や複雑な問題解決といった高次の認知機能にも良い影響を与えることを示した点で重要。

だったそう。創造性が1.5倍になる！ってのはなかなかすごい効果ですねぇ。となると「なんで自然にそんな力があるの？」が気になるところですが、研究チームは以下のような仮説を立てておられました。

• 柔らかな魅力：自然環境は、穏やかで心地よい刺激を与え、私たちの注意を優しく引きつける。これにより、疲労した注意系が回復する可能性がある。
• デフォルトモードネットワークの活性化：自然の中でリラックスすることで、創造的思考に重要な脳のネットワークが活性化される可能性がある
• テクノロジーからの解放：常に反応を求められるデジタル機器から離れることで、脳に「考える余裕」が生まる

どれもありそうだなーって感じがしますが、自然の中では集中と開放がバランスする！ってのは以前から確認されてるところですし、この「均衡」ってのは一つポイントでしょうね。「テクノロジーからの解放」についても、上述の通り、「スマホを触りたい欲が低減する！」ってのもいいアイデアを生み出すうえで大事なんだろうなーとか思いましたね。

というわけで、私は引き続き山の中に住める家を探そうと思います。。

さいごに

日々健康、心理分野などの最新学術論文を発信をしているので、ぜひフォローお願いいたします。

	おくさん🇯🇵🇨🇳
	@Astella6174

最近の研究で、犬とヒトの精巣にマイクロプラスチックが存在することが確認されてたhttps://t.co/4pNeE80hkc

・研究者は12種類のマイクロプラスチックを犬とヒトの精巣サンプルで特定

・ヒトのサンプルでは、犬の約3倍のマイクロプラスチックが検出された…

— おくさん🇯🇵🇨🇳 (@Astella6174) July 11, 2024