毎年この時期になると、やっぱり日焼け止めってかなり面倒くさいよなーと感じます。ベタつくし、白浮きするやつもあるし、毎朝(+日中にも数回)のルーティンに一個タスクが増えるの、地味にストレスだなー、と。私自身、この分野の文献に触れていなかったら、夏場のレジャーぐらいでしか日焼け止めは塗ってなかったかもしれません。実際、皆様のなかにも「日焼け止め=美容のため」「シミを防ぐためのもの」ぐらいに思っている方もおられるかもしれないっすね。
しかし、今日からその認識はアップデートしていただければと。最近の研究によれば、「日焼け止めは、オプションの美容ケアではなく、生命と健康を守るための必須の医療行為である」ってことが繰り返し確認されているんですよね。
例えば、オーストラリアで行われた「ナンブール試験(The Nambour Trial)」っていうRCTが有名だったりします。ここでは参加者をランダムに2つのグループ(毎日日焼け止めを塗るvs自己判断で塗る)に分けて、10年間にわたって追跡しております。ネットでよく見る「〜を使った人の感想」みたいなのとは、エビデンスのレベルが天と地ほど違う感じっすね。
で、結果的に何が分かったかというと、日焼け止めを毎日塗ることによって、
要するに、毎日コツコツSPF16程度の日焼け止めを塗るだけで、最もタチの悪い皮膚がんのリスクが半分以下、ヘタすりゃ4分の1近くにまで激減するってことっすね。ちょっとした面倒くささを乗り越えるだけで、がんのリスクがこれだけ下がる、と。他のどんな健康法と比べても、費用対効果がかなり高いのは間違いないでしょう。
さらに、同じナンブール試験のデータを使った別の解析では、日焼け止めが「光老化」に与える影響も調べていたりします。結果、毎日日焼け止めを塗ってたグループは、4.5年間の追跡期間中、なんと肌の老化スコアに一切の進行が見られなかったんだそう。自己判断で塗ってたグループと比べると、老化の進行を24%も抑制していた、なんて結果も出てたりします。
要するに、日焼け止めを毎日塗ることによって4年半もの間、肌の老化が実質的に「ストップ」していたわけですね。紫外線が肌のハリを支えるコラーゲンをぶち壊して、シワやたるみを作るってのは有名な話ですけど、日焼け止めがそれを完璧に防いでいた、と。もはや美容液とかアンチエイジングクリームとか、そういう次元の話じゃなくて、皮膚の「健康インフラ」そのものである、言われるゆえんもこの辺りにあったりしますね。
要するに、日焼け止めを塗るという行為は、単にシミを防ぐとか、若く見られたいとか、そういった美容の文脈だけで語られるべきじゃないってのがポイントでしょう。紫外線は、がんのリスクを上げ、肌の構造を破壊し、さらには皮膚の免疫機能まで低下させて、私たちの体を内側から蝕んでいく。日焼け止めは、その最も根源的な外的要因から身を守るための、最強の「予防医療」ってわけですな。
▼ 参考
😶🌫️最強のスキンケア【ライフスタイル編】 |
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というわけで、日焼け止めがいかに重要か?という点についてはある程度理解いただけたはず。となれば、次に気になるのは「じゃあ、一体どんな日焼け止めを選べばいいのよ?」って話でしょう。ドラッグストアに行けば、棚一面にズラっと日焼け止めが並んでまして、正直、何が違うのかサッパリわからんですよね。
そこで、以下では、個人的に日焼け止め選びで大事にしている4つの基準を紹介してみます。
まず大前提から。世界保健機関(WHO)も米国皮膚科学会(AAD)も「SPF30以上」を推奨してますが、できれば「SPF50+」と「PA++++」を選択するのがベターでしょう。あんまりSPF30でも50でも変わらんってデータもあったりしますが、一方50のほうが保護効果が高かったって報告もあるし、値段もたいして変わらないので。
SPF: シミや皮膚がんの原因になるUVBを防ぐ力の指標。
PA: シワやたるみの原因になるUVAを防ぐ力の指標。
日焼け止めの性能を左右する重要な要素が「紫外線フィルター(吸収剤・散乱剤)」です。このフィルターは、最近の技術の進化がめちゃくちゃ激しくて、「世代」ってものがあるんですよ。
特に注目すべきは、EUなどで主流の「次世代UVフィルター」と呼ばれるもの。
こいつらのスゴいのは、とにかく「防御範囲が広い」のと「光に強くて劣化しにくい(光安定性が高い)」こと。従来のフィルターだと防ぎきれなかったUVAの長い波長までカバーしてくれる上に、紫外線を浴びても効果が落ちにくいんですよね(ちなみに、アメリカなんかは規制が厳しくて、こういう新しいフィルターがなかなか承認されない「フィルター格差」みたいな状況が起きていたりします。その点、日本ではこうした技術を取り入れたものが多いんで、個人的にはかなり恵まれてる環境にいると思っていたりします)。
ってことで、成分表示を見て、以下のような名前があるのを選ぶのがおすすめです。
紫外線だけ防いでれば完璧かというと、実はそうでもないのがまた面倒なところ。太陽光には「ブルーライト」が含まれているのはご存じの通りでしょうが、こいつが特にアジア人の肌において、しつこい色素沈着や肝斑を悪化させることがわかってきてるんですよね。
しかし、ブルーライトは残念ながらほとんどの紫外線フィルターでは防げないんですよ。なんで、ブルーライトが気になる方は「酸化鉄」の含有もチェックしておくのがおすすめ。
酸化鉄は、いわゆるファンデーションや色付き下地に含まれる「顔料」のこと。こいつが物理的な”盾”となって、ブルーライトを跳ね返してくれるんですね。ちなみに、酸化鉄は米国皮膚科学会(AAD)も公式に推奨してる対策法だったりします。
最後は守りに加えて「攻め」も意識したポイントです。日焼け止めを完璧に塗っても、100%の紫外線を防ぐことは不可能。さらに、太陽光に含まれる「赤外線(IR)」は、肌の奥でじわじわとコラーゲンを破壊する「熱老化」を引き起こします。
この、フィルターをすり抜けてきた紫外線や赤外線によるダメージを無力化してくれるのが「抗酸化成分」です。具体的には、
といったあたりですね。これらの成分が配合されていれば、いわば「第二の防御線」として、肌内部で発生した火種(活性酸素)を消し止めてくれるんで、保険として検討しておくのはあり。
ってことで、以上をまとめると、こんな感じ。
加えて、もう一点重要な基準が「価格」。というのも、どんなにハイスペックな日焼け止めでも、塗る量が足りなきゃ本当に意味ないんですよ。SPF/PAの値は「皮膚1c㎡あたり2mg」という、一般の人が塗る量の倍以上の量で測定された数値。つまり、私たちが普段の感覚で塗ってる量だと、SPF50+の製品でも、実際はSPF20程度の効果しか出てない可能性が高いんですよね。
しかも、塗り直し(2〜3時間ごと)も必要なんで、「ケチらずに塗れる価格の製品か?」ってのも重要な基準化と思います。
理論だけじゃ飯は食えない!ってことで、以下ではおすすめの日焼け止めを5つほどご紹介します。別に案件とかでも何でもないし、基本的にサードパーティーのクオリティチェックを受けているものばかりなので、安心してお使いいただけるかと(すべてAmazon または楽天で購入できるものをピックしています)。
こんな人におすすめ:
こいつのすごいところは、その圧倒的な耐久性。汗や水、熱に触れるとUVブロック膜が強くなるっていう、独自技術(アクアブースターEX技術)を搭載してるんですよね。
フィルター構成を見ても、Uvinul A PlusとTinosorb Sっていう次世代フィルターをしっかり配合しつつ、酸化亜鉛も組み合わせることで、UVAからUVBまで隙なくガッチリ防御する鉄壁の布陣。サラッとしたミルクタイプで、使用感が良いのもうれしいポイントですね。
ただし、耐久性が高い分、落とすときはクレンジングが必須。あと、アルコールも入ってるんで、肌が極端に弱い人は注意が必要かもしれません。とはいえ、レジャーシーンでの信頼感は圧倒的No.1かと。
こんな人におすすめ:
こいつの武器は、ロレアルが開発した新規UVフィルター「Mexoryl 400」。これまでどんな日焼け止めでも防ぎきれなかった、最も肌の奥深くまで到達する「超長波長UVA(380-400nm)」っていう光老化のラスボスを、世界で唯一ブロックできるフィルターを使ってるんですよね。PPD値(UVA防御能の指標)も46.6で、正直恐ろしいレベル(PA++++の基準はPPD16以上)。
要するに、現段階で最もUVAに強い日焼け止めの一つ。シャバシャバの液体で白浮きもせず、使い心地もいい感じ。敏感肌向けブランドなだけあって、処方もマイルドなのが嬉しいですね。
こんな人におすすめ:
こいつは、Tinosorb SやTinosorb Mといった強力な紫外線フィルターでUVA・UVBをブロックするのはもちろん、「酸化鉄」を高濃度で配合することで、紫外線だけじゃなくブルーライトまでガッツリ防いでくれます。臨床試験で「肝斑の悪化を防いだ」ってデータもあったりします。レーザー治療後の色素沈着予防とかにも使われてたりするようです。
軽いファンデーションぐらいのカバー力があるので、これ一本でベースメイクが完了するのも便利かと。
こんな人におすすめ:
「ケチらずガンガン使える」指標を重視する方にはこちらがおすすめ。
しかし中身はかなり優秀で、フィルター構成を見ると、ちゃんとTinosorb SとUvinul A Plusを配合してて、UVA防御もPA++++。安かろう悪かろうの世界じゃないんですよね。
何より、個人的には(名前通り)水のように軽い美容液みたいなテクスチャーが最高。塗ったことを忘れるぐらい快適なんで、「日焼け止め嫌い」の人でもこれなら続けられるんじゃないかと。
ただ、アルコールが多めに配合されているので、スーッとする使用感が苦手な人や、アルコールで肌が荒れやすい人は避けた方が無難かもしれません。
こんな人におすすめ:
「最新フィルターとか言われても、そもそも化学的な成分が苦手で…」という敏感肌の方もいらっしゃるでしょう。
その点、こいつは紫外線吸収剤を一切使わない「ノンケミカル処方」。酸化亜鉛と酸化チタンっていう、昔ながらのミネラル成分だけでSPF50+を達成してるのがポイント。肌への刺激をとことん抑えた設計で、アレルギーテスト済みなので、肌が荒れやすい時期でも安心して使えるはず。
PAが+++なのは、吸収剤フリーの限界とも言えますが、日常生活なら十分なレベルかと思います。何より「安心して毎日使える」という価値が、敏感肌の人にとっては一番重要ですからねー(あと、多少の白浮きや皮膜感はあるのでそのあたりも留意していただければと)
おすすめ日焼けまとめ
最後に、せっかくの日焼け止めの効果を台無しにしてしまわないための誤解をいくつか整理しておきます。
Q1. 「曇りや雨の日、室内なら日焼け止めは不要」ってホント?
結論から言えば完全に間違い。気象庁のデータを見ても、曇りの日でも晴れの日の約80%、雨の日ですら約30%の紫外線が地表に降り注いでたりします。雲は、思っているほど優秀なUVフィルターじゃない、というわけですね。
さらに厄介なのが、シワやたるみの元凶であるUVA。こいつは窓ガラスを無視してガンガン入ってくるし、実際、窓際で働く人は肌の老化が早い、毎日運転するトラックドライバーは、窓側の左半顔だけシワやシミが顕著なんて報告もあるので、天気や場所にかかわらず、歯磨きと同じくらい自動的に日焼け止めを塗っておくのがおすすめ。
Q2. 「肌の色が濃いから、日焼け止めは必要ない」って聞いたけど?
確かに、メラニン色素が豊富な肌は、SPFに換算すると4〜13程度の防御能があるとされています。白人の肌より紫外線に強いのは事実。
しかし推奨されているのはSPF30や50の世界であって、肌の黒さだけでは防ぎきれないんですよね。実際、肌の色が濃い人でも、光老化は起きるし、シミや肝斑にもなるのは間違いないので。
あと、有色人種は皮膚がんの発見が遅れるケースが非常に多め。足の裏や手のひら、爪の下なんかにできたメラノーマに気づかず、進行した状態で見つかって予後が悪い…なんてことが、少なくないんですよねぇ。ってことで、人類、皆、日焼け止めは必須ってことで。
Q3. 「SPF50はSPF30の倍くらい効果がある」んでしょ?
これも間違い。SPF値ってのは、単純な比例関係じゃないんですよね。それぞれのUVBカット率を見てみると、
ってな感じで、SPF30を超えたあたりから、効果の伸びはめちゃくちゃ鈍化するんですな。SPF30をSPF50にしても、防御力はたった1%しか上がらない。それよりも、「ちゃんと推奨量を塗れてるか」「塗りムラがないか」の方が、肌を守る上では100倍重要。
SPF50を塗ってるつもりが、量が少なかったり塗り方が雑だったりして、肌の上では「SPFまだら」状態になってる人がほとんど。それならSPF30の製品を、ムラなくたっぷり塗った方がよっぽど効果的っすね。
Q4. 「日焼け止めって、体に毒だったり、がんになったりする」んじゃないの?
確かに、一部の紫外線吸収剤が「ホルモンの働きを乱すかも?」みたいな動物実験の報告は確かにあります。しかし、それは実験室で、超高用量を動物にぶち込んだ時の話。私たちが普通に肌に塗る量で、健康に影響が出たというデータはゼロです。
気になる方は、以下を天秤にかけてみて検討いただくといいのではないかと。
もし不安なら、吸収剤フリーのノンケミカル製品を選べばOK。
以上、今回は日焼け止めの話しでした。
「日焼け止めは、最高の自己投資、未来の自分への最高のプレゼント(の一つ)である」ということが伝わっていればうれしく思います。今日の少しの面倒が、10年後の健康と若々しさを形成してくれるはずです!
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ではまた!
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