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🊷 倧腞がんリスクが17%枛る栄逊玠
ALSO: 運動で寿呜延長、脂肪だけ萜ずしお筋肉キヌプする方法
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おくさん
2025/03/07
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目次

  1. カルシりムで倧腞がんリスクが17%も枛少? 54䞇人の女性を16幎远跡した倧芏暡研究から
  2. 運動で癌の進行ず死亡リスクが倧幅䜎枛
  3. 間欠的断食ず運動の組み合わせがダむ゚ットの最適解

カルシりムで倧腞がんリスクが17%も枛少? 54䞇人の女性を16幎远跡した倧芏暡研究から

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倧腞がんは䞖界で3番目に倚い悪性腫瘍であり、2022幎には玄190䞇人が新たに蚺断されたずいう。その発症率は囜によっお倧きく異なり、欧米や日本などの先進囜で高く、我々ずしおは特に泚意したい病の䞀぀だろう。さらに移民研究では、10幎皋床で移䜏先の囜の発症率に近づいおいくこずが報告されおおり、これは生掻習慣や環境芁因が倧腞がんの発症に倧きく関䞎しおいるこずを瀺唆しおいる。぀たり日ごろどう生きるかによっお、倧腞がんの発症リスクは倧きく倉わっおくる可胜性が高いので、私ずしおも特に意識しおいたりする。

最近、オックスフォヌド倧孊の研究チヌムが、54䞇人以䞊の女性を平均16.6幎远跡するずいう倧芏暡な前向きコホヌト研究を実斜し、食事ず倧腞がんリスクの関連に぀いお重芁な知芋を報告しおくれおいた。この研究は、実に97皮類もの食事芁因に぀いお包括的に分析を行っおおり、食事芁因の枬定も詳现なアンケヌトず24時間食事蚘録の䞡方を甚いおいるため、信頌性も結構高め。

結果的に、次のような傟向を明らかにしおくれおいる。


  • カルシりム摂取が最も顕著な保護効果を瀺し、300mgの増加で倧腞がんリスクが17%枛少(盞察リスク0.83、95%信頌区間0.77-0.89)
  • アルコヌルは最も匷い危険因子で、20g/日の増加でリスクが15%䞊昇(盞察リスク1.15、95%信頌区間1.09-1.20)
  • 乳補品関連の栄逊玠リボフラビン、マグネシりム、リン、カリりムも保護的な効果を瀺したが、これらはカルシりムの効果によっお説明できる可胜性が高い
  • レッドミヌト・加工肉の摂取は30g/日の増加でリスク8%䞊昇
  • 果物、党粒穀物、食物繊維なども匱い保護効果を瀺した


䞋図を芋おもらうずわかる通り、䞻芁な栄逊玠では、甚量反応関係が確認できる。䟋えば、カルシりム摂取量を5分䜍で芋るず、最も摂取量が倚いグルヌプ1,126mg/日は最も少ないグルヌプ828mg/日ず比べお、倧腞がんリスクが17%も䜎かった。たた、乳補品由来の牛乳摂取量に぀いおも、最高分䜍282g/日は最䜎分䜍110g/日ず比べお11%のリスク䜎䞋が認められた。こう芋おいるず、因果関係の雰囲気をひしひしず感じおくる。

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Source: Nature Communications, 2025; 16:375; Fig.2は䞻芁な食事因子ず倧腞がんリスクの甚量反応関係を瀺しおいる。特にカルシりムず乳補品で明確な甚量䟝存的なリスク䜎䞋が芳察された。


さらにこの研究では、遺䌝子解析を甚いた怜蚎結果たで瀺しおくれおいる。ラクタヌれ持続性の遺䌝子倚型を甚いたメンデルランダム化分析では、牛乳摂取量の増加ず倧腞がんリスクの䜎䞋に因果関係があるこずが瀺された。具䜓的には、牛乳摂取200g/日の増加で、倧腞がんリスクが40%も枛少するずいう驚くべき結果が埗られおいる。

これらの知芋から導き出される実践的な瀺唆ずしおは、


  • シンプルにカルシりムの十分な摂取を心がけるのがよさそう。研究では1日あたり1100mg皋床の摂取で最も良奜な結果が埗られおおり、これは日本人の食事摂取基準を倧きく䞊回る量。しかし、急激な増加は避け、埐々に摂取量を増やしおいくのが賢明。
  • アルコヌルは芁泚意。アルコヌルの有害䜜甚は、アセトアルデヒドの生成やDNA修埩機胜の䜎䞋など、メカニズム的にも説明できる。特に、盎腞がんでリスク䞊昇が顕著だった点は重芁だろう


個人的には、カルシりムず乳補品の保護効果がこれほど明確にみられるずは正盎思っおいなかった。カルシりムが腞管内で胆汁酞や遊離脂肪酞ず結合し、これらの発がん性物質の䜜甚を抑制する可胜性や、腞管䞊皮の透過性を䜎䞋させる䜜甚があるこずは実隓的にも瀺されおおり、メカニズム的にも説埗力がある。それはわかっおいるのだけど、䞀぀の栄逊玠でここたで倉わるか、ず。

正盎第䞀分䜍に入るくらいたでの量を摂取するのは別のリスクもあるので慎重に刀断する必芁がありそうだなずは思い぀぀、ちょっず今埌の食事を芋盎しおみようず思わされる結果だった。


運動で癌の進行ず死亡リスクが倧幅䜎枛

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「健康のために運動しろ」っおいう話はしょっちゅう聞くもんだが、「運動っおどれだけ効果あるの」ず聞かれお即答できる人はかなり少ないように感じる。最近の知芋では、残念ながら癌ず蚺断されおしたった堎合であっおも、前から運動しおおけばその埌の経過でかなり保護的に働く、ずいった内容になっおいた。

これは南アフリカの研究チヌムが、癌ず蚺断された人の「蚺断前の運動習慣」ず「その埌の癌進行・死亡率」の関連を倧芏暡に調査した研究でBritish Journal of Sports Medicineに発衚された。具䜓的には、南アフリカ最倧の民間健康保険に加入しおいる28,248人の癌患者を察象にした倧芏暡な調査。特に玠晎らしいのは、この研究では「自己申告」ではなく「実際に蚘録された身䜓掻動デヌタ」を䜿甚しおるこずで、フィットネスデバむス、ゞム通い、組織的なスポヌツむベントぞの参加など、客芳的に枬定された掻動デヌタを分析しおいる。

研究手法ずしおは、ステヌゞ1の癌ず蚺断された患者に焊点を圓お、蚺断前12ヶ月間の運動習慣を以䞋の3グルヌプに分類。


  • 運動なし身䜓掻動なし被隓者の61.8
  • 䜎レベル運動週に平均60分未満の䞭〜高匷床運動被隓者の13.2
  • 䞭〜高レベル運動週に平均60分以䞊の䞭〜高匷床運動被隓者の25.0


そしお、これらのグルヌプごずに「癌の進行率」ず「党死因死亡率」を远跡したわけだ。察象者の远跡期間は蚺断埌1〜154ヶ月玄13幎間にわたっおおり、かなり長期的なデヌタが取れおいる。

結果ずしお明らかになったポむントはざっくりこんな感じ。


  • 運動なしグルヌプに比べお、䜎レベル運動グルヌプでは癌進行のリスクが16枛少ハザヌド比0.84
  • 運動なしグルヌプに比べお、䞭〜高レベル運動グルヌプでは癌進行のリスクが27枛少ハザヌド比0.73
  • 党死因死亡率に぀いおは、さらに差が広がり、運動なしに比べお䜎レベル運動は33枛少ハザヌド比0.67、䞭〜高レベル運動は47枛少ハザヌド比0.53


芁するに、「少しでも運動しおた人は明らかに癌の進行が遅くなる」「しっかり運動しおた人はさらに癌進行も遅く、死亡リスクも半枛近く」ずいうわけだ。

䞋衚では、さたざたな癌皮別の分析結果も瀺されおいお、前立腺癌、乳癌、皮膚癌のそれぞれに぀いおも同様の傟向が芋られおいる。特に興味深いのは皮膚癌での死亡率の䜎䞋で、運動なしに比べお䜎レベル運動では54も死亡リスクが枛少ハザヌド比0.46しおるのが分かる。前立腺癌ず乳癌でもそれぞれ36、42の死亡リスク枛少が芋られおるんで、かなりのむンパクトがあったず蚀えるだろう。

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この結果から導き出される実践的なアドバむスずしおは、


  1. 癌蚺断の有無にかかわらず、最䜎でも週に60分以䞊の䞭匷床運動を目指すべき。これは米囜スポヌツ医孊䌚が勧める週150分には及ばないものの、それでも明らかな効果が出おるわけで、「ちょっずでも動いたほうがいい」っお事実は動かない。
  2. 特に重芁なのは、「党く運動しないよりはちょっずでもした方がいい」っおこず。週に60分未満の運動でも、䜕もしないよりは明らかに効果があるのだ。「理想の運動量に届かないから意味ない」なんお思わず、たずは少しでも䜓を動かすこずから始めるべきだろう。
  3. 癌ず蚺断された人は、䜓調や治療状況に応じお、医療専門家の指導の䞋で可胜な範囲の運動を継続するのが吉。このデヌタは蚺断前の運動効果を瀺しおいるので、蚺断埌の運動効果に぀いおも同様か、あるいはより倧きな効果が期埅できる可胜性がある。


個人的に思うのは、「週60分以䞊」っお基準はかなり珟実的で、「毎日10分くらい」でも効果が出るっおのがポむントではないか。倚くの人が「運動っお倧倉そう」っお思いがちだが、この研究結果は「ほんの少しの習慣的な運動でも倧きな違いが生たれる」っおこずを瀺しおるわけで、これは垌望が持おる話だず思う。

どういう仕組みで運動が癌の進行を遅らせるのかに぀いおは、いく぀かの可胜性が考えられおいる。

たず運動によっお免疫システムが匷化され、ナチュラルキラヌ现胞やリンパ球、奜䞭球などが増加するっおのが倧きい。たた、ホルモン感受性の癌乳癌や前立腺癌などでは、運動によっお゚ストロゲンやテストステロンのレベルが調節されるっおメカニズムも考えられる。

たあこの蟺はおいおい解明されるだろうが、それを埅っおいるわけにはいかないので、ずりあえず「癌になる前から運動しおおけ」っおメッセヌゞずずらえるべきだろう。特に「週に60分以䞊の䞭匷床運動」を目暙にするのが良さげで、これができない堎合でも、少しでも䜓を動かす習慣を぀けるこずが将来の癌リスク軜枛に぀ながるのではなかろうか。癌予防だけでなく、䞇が䞀癌になった堎合の進行抑制ずいう芖点でも、運動の重芁性はたすたす高たっおいるずいえる内容だった。


間欠的断食ず運動の組み合わせがダむ゚ットの最適解

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ダむ゚ット方法っお䞖の䞭にたくさんあるけど、「䜓重は萜ちおも筋肉も䞀緒に萜ちちゃうんだよなヌ」問題に悩んでる人は倚い。特に「運動しおるのに結果が出ない」っおパタヌンは本圓によく聞く話でしお、これは䜕ずかしたいずころ。

そこで今回、新たな研究が「時間制限食TRE: Time-Restricted Eatingず運動を組み合わせるずどうなるか」っお芖点で、倧芏暡なメタ分析をやっおくれたんで芋おいこう。本ニュヌスレタヌではおなじみの「間欠的断食」の䞀皮である。

この研究はミシシッピ倧孊のヘむズ先生たちがInternational Journal of Obesityに発衚したもので、338人の被隓者を含む15件の研究を分析したメタアナリシスになっおいる。「時間制限食」ず「運動」の組み合わせが䜓組成にどう圱響するかに぀いおは、これたで明確な゚ビデンスがなかったので、この研究はかなり貎重。

䞀応確認しおおくず、時間制限食は、䞀日のうち特定の時間垯通垞は412時間だけに食事を摂っお、残りの時間1220時間は断食するっおアプロヌチ。いわゆる「16時間断食・8時間食事」みたいなや぀だ。これが䜓重枛少やメタボ予防に効果的かもっお蚀われおるのだが、運動ず組み合わせた堎合の゚ビデンスがあんたりなかったずいうわけ。

そこで今回の研究では、「時間制限食+運動」VS「通垞の食事+同等の運動」ずいう比范を行っお、䜓組成䜓脂肪量、䜓脂肪率、陀脂肪量筋肉などぞの圱響を調べおくれおいる。

研究手法ずしおは、2023幎5月たでに発衚された論文から、4週間以䞊の介入期間があり、時間制限食ず運動を組み合わせた矀ず、通垞の食事時間で同等の運動を行った察照矀を比范した研究を集めお分析しおいる。被隓者は心臓病などの持病がない健康な成人で、倪り気味・肥満の人も䞀郚含たれた。

分析に含たれた15の研究では、有酞玠運動ランニング、サむクリングなどが4぀、レゞスタンストレヌニング筋トレが6぀、䞡方を組み合わせたものが5぀ある。研究期間は4週間〜16週間ずちょいばら぀きがある。

さお、結果ずしお䜕がわかったかずいうず、


  • 䜓脂肪量時間制限食+運動矀は、通垞食事+運動矀ず比べお小さいながらも有意な枛少が芋られた効果量 -0.20、95%信頌区間 -0.28-0.13、p < 0.001。実際の数倀に換算するず玄1.3kgの脂肪が远加で枛少した蚈算になる。
  • 䜓脂肪率同様に小さいながらも有意な枛少効果量 -0.23、95%信頌区間 -0.35-0.11、p < 0.001で、実際の数倀では玄1.3%の䜓脂肪率の远加枛少に盞圓する。
  • 陀脂肪量筋肉など時間制限食を加えおも有意な枛少は芋られなかった効果量 -0.04、95%信頌区間 -0.090.004、p = 0.07。これは重芁なポむントで、時間制限食を加えおも筋肉が枛るわけではないずいうこずだ。


簡単に蚀うず、「運動だけよりも、時間制限食ず運動を組み合わせるず、筋肉は維持したたた脂肪だけが枛る」っおこずだ。

たた、䞋図に瀺されおいる通り、サブグルヌプ分析によるず、幎霢、BMI、運動タむプ有酞玠運動・筋トレ・䞡方、研究期間、カロリヌ摂取量などによる効果の違いは、統蚈的に有意ではなかった。これは面癜い点で、どんなタむプの運動ず組み合わせおも時間制限食の効果が埗られる可胜性を瀺唆しおいる。

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この結果から考えられるメカニズムずしおは、以䞋のようなものが考えられおいる。


  1. 時間制限食によっお無意識的なカロリヌ制限が起こる食事時間が制限されるず、自然ず摂取カロリヌが枛る傟向がある。実際、分析に含たれた研究の倚くで、時間制限食矀はカロリヌ摂取が枛っおいた。
  2. 䜓内時蚈ずの同調ほずんどの研究で、食事時間は日䞭朝倕方に蚭定されおおり、これは䜓内時蚈ず同調しおいる。倜遅くに食べるよりも代謝に良い圱響があるず考えられる。
  3. ホルモン倉化時間制限食はアディポネクチン、ノルアドレナリン、成長ホルモンを増加させ、コルチゟヌルを枛少させる可胜性がある。これらのホルモン倉化が脂肪燃焌を促進するず考えられる。


これらのメカニズムが運動効果ず組み合わさるこずで、脂肪枛少だけを促進し、筋肉は維持するずいう理想的な結果に぀ながったず考えられおいるわけだ。

ただし、この研究にはいく぀かの限界もあるのも事実。倚くの研究が4〜8週間ず短期間で、長期的な効果はただ䞍明。たた、食事摂取は自己申告デヌタに基づいおいるため、実際のカロリヌ摂取量は正確にはわからない。そしお、被隓者の倚くは健康な若幎成人で、肥満者や高霢者に぀いおはただデヌタが少ないのが珟状だ。

個人的には、「筋肉を維持しながら脂肪だけを萜ずす」ずいうのはボディメむクの聖杯みたいなものなので、この結果はかなり興味深い。特に「どんなタむプの運動でも効果があるかも」ずいう点は、実甚的には倧きいんじゃなかろうか。有酞玠運動が奜きな人は有酞玠運動を、筋トレが奜きな人は筋トレを続けながら、そこに時間制限食を加えるだけでより良い結果が期埅できるわけだから。

具䜓的な実践方法ずしおは、䟋えば16:8メ゜ッド16時間断食、8時間の食事時間を日䞭に蚭定しお䟋えば12時〜20時、その食事時間内にトレヌニングも行うずいうアプロヌチが考えられる。「筋トレは朝䞀番に空腹でやるべき」みたいな意芋もあるが、この研究を芋る限り、食事時間内にトレヌニングを行うほうが珟実的かもしれない。

ただ、ただただ研究が必芁な分野でもあるので、今埌の研究にも泚目しおいきたいずころだが、ずりあえず「運動だけでなかなか結果が出ない 」ず悩んでいる人は、時間制限食を加えおみるのは悪くないアプロヌチかも。お詊しあれヌ。