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目次

1. 野心的な人が必ずしも良いリーダーとは限らない
2. 陰謀論者との人間関係
3. パートナーへの「複雑な感情」は関係改善のチャンス？

野心的な人が必ずしも良いリーダーとは限らない

「野心的な人は良いリーダーになれる！」って、なんとなく思っている人も多いはず。 しかしPNASNexusの研究では、「実はそうでもないぞ！」みたい話になってて面白かったです。むしろ「野心的な人ほど、自分の能力を過大評価しがち」という結果が出てたりします。

ここではスタンフォード大学の研究チームが472名のビジネススクール受講生を対象に、「野心」と「リーダーシップの実力」の関係を詳しく調べてます。特に面白いのは、以下のような360度評価を取り入れている点。

• 本人の自己評価
• 上司からの評価
• 同僚からの評価
• 部下からの評価

これらの評価を複数のタイムポイント（最大2年間の間隔）で集計することで、より正確なデータを得ようとしたらしい。

具体的なリーダーシップの評価としては、以下のような観点が含まれてます。

• モチベーション管理
• 意思決定
• チーム協働の管理
• 対立の解決
• 結果への責任感
• 他社の育成
• 他者への影響力

で、これらの評価を各自の野心レベルと比較した結果、

• 野心的な人は自分を「優れたリーダー」だと評価する傾向があった
• しかし周囲からの評価を見ると、野心の高さは実力とは無関係だった
• この傾向は、どの評価者（上司・同僚・部下）でも一貫していた
• どの能力項目でも、野心の高さは実際の実力向上には結びついていなかった

だったそうで、なかなかショッキングですねぇ。

参考文献より引用

研究チームも最初は「そんなはずない！」って思ったみたいで、野心的な人って普通「自分の立場をよく理解してる」はずだし、「貢献できる自信があるからリーダーを目指せる」って考えられてきたわけですからね。とはいえ実際には「野心的な人がリーダーになれる」のと「良いリーダーになれる」は、全然別の話だった、と。なかなかむなしい話です。

まぁ、これはアメリカの研究なので特に「野心を重視する文化」の影響もあるかもしれません。とはいえ、日本企業でもよく見られる「手を挙げた人がリーダーになる」的な仕組みについては、ちょっと考え直してみる価値はありそうだなーと思いましたね。「自分はすごい！」って思ってる人より、「まだまだ学べることがある」って思ってる人のほうが、良いリーダーになれる可能性が高いのかもしれないっすね。

陰謀論者との人間関係

「ワクチンにはマイクロチップが埋め込まれてる！」「南海トラフは人工地震！」なんて主張をする友人や家族がいて、関係が微妙になった経験がある人も少なくないはず。最近の研究によると、そういった「陰謀論」への信念が、実際に人間関係に影響を与えているらしいことを明らかにしておりました。

これはJournal of Applied Social Psychology誌に掲載されたケント大学の研究で、研究チームは「陰謀論の支持が人間関係にどう影響するのか」について、7つの調査を重ねてます。特にコロナ禍やQアノン運動の広がりで、この問題が深刻化してきたことが研究のきっかけだったみたいですね。

まずは実験のプロトコルを簡単に確認してみましょう。最初の調査では、447名のイギリス人を対象に、「陰謀論を信じている人との人間関係」について分析。続いて201名を対象に、それぞれ「陰謀論を信じている知人」と「信じていない知人」について、関係の満足度を比較してもらいました。

さらに面白いのが、801名を対象にした実験的な調査。ここでは参加者に「ある知人が陰謀論を支持する場面」と「反対する場面」を想像してもらい、その前後で関係性がどう変化するかを調べたんだそうな。

で、結果的に何が分かったかというと、

• 陰謀論を信じる人との関係は、一般的に満足度が低かった
• ただし、自分も陰謀論を信じている場合は、むしろ関係が良好に
• 初対面の場合（マッチングアプリの実験）、陰謀論への言及があるとマイナス印象になった
• 信頼関係や親密度にも影響が出ていた

だったそうです。基本的には陰謀論を信じている人との人間関係はいまいちになりがち見たいっすね。

特に面白いのは「陰謀論への信念を共有しているかどうか」が重要なポイントになってるところ。つまり、「陰謀論を信じてる＝関係性が悪くなる」という単純な話じゃなくて、「お互いの信念が一致してるかどうか」が大事ってわけですな。

そう考えると、同意できない陰謀論を信じている人との関係性を回復する道筋も見えてきまして、

• 相手の信念を理解する：いきなり否定せず、なぜそう考えるのかを聞いてみる。信念の背景には何らかの不安や懸念があることも。
• 共通点を探す：陰謀論以外の話題で共通の興味を見つける。関係性を一つの意見の違いだけで判断しないように。
• コミュニケーションの場を選ぶ：デリケートな話題は、SNSよりも直接会って話すほうが誤解が少ない。
• 境界線を設定する：必要な場合は「この話題はここまでにしよう」と、お互いの関係を守るための境界線を引くことも大切。

といったことを意識してみるのはあり。まー、どうでもいい人ならそれ以上かかわらなければいいんでしょうが、どうしてもかかわらなきゃいけない人が陰謀論を信じていていて扱い難しいなーと感じていたりするならこの辺のテクニックを装備しておくのが賢明かもよーってことで。

パートナーへの「複雑な感情」は関係改善のチャンス？

パートナーと付き合っていると、「大好きだけど、時々イラッとする……」「愛してるけど、たまに距離を置きたくなる……」といった「葛藤」の感情を抱くこともあるでしょう。 最近の研究によると、そういった「複雑な感情」が、実は関係を良い方向に導くきっかけになるかもよーって話になっておりました。

これはEmotion誌に掲載された研究で、研究チームは「パートナーへの複雑な感情（アンビバレンス）」について、3つの大規模な調査を行っています。

1つ目の調査では、コロナ禍での665名のカップルを対象に、パートナーへの感情と行動を分析。2つ目は171名の若い恋人たちに10日間の日記をつけてもらい、日々の感情の変化を追跡。3つ目は176組のオランダ人カップルに12日間の日記をつけてもらい、さらに6ヶ月後の追跡調査まで行うといった感じ。サンプル数としては十分といえるでしょう。

結果は、3つの調査でおおむね一貫しておりまして、

• 複雑な感情を感じる人ほど、関係について深く考える傾向にあった
• 考える内容としては、建設的な考え（「どうすれば関係が良くなるか」）も破壊的な考え（「問題点ばかり」）も増えていた
• 距離を置く行動は増えるけど、同時に改善しようとする行動も見られた
• 建設的な思考は、前向きな行動につながりやすい傾向があった

って感じ。「複雑な感情・葛藤＝悪いこと」じゃなくて、むしろ、「関係について深く考えるきっかけ」になってるんですね。結局「完璧な関係なんてない、じゃあどうしよう」って考える種になるってことで、ポジティブな方向に思考が向けば関係性が向上するのは間違いないところでしょう。

なんで、パートナーへの複雑な感情と上手く付き合うには？ と悩んだ際には以下のポイントを意識しておくのがよさげ。

• 感情を認める：複雑な感情を持つのは自然なこと。むしろ「完璧な関係」を求めすぎないように。複雑な感情を否定・拒絶するのは最悪
• 考える時間を持つ：モヤモヤした感情が湧いたら、それを関係について深く考えるチャンスととらえ、徹底的に考える
• 建設的な方向へ：問題点を考えるのはOKだけど、「どう改善できるか」という視点も忘れずに。
• コミュニケーションを大切に：複雑な感情があるからこそ、パートナーと率直に話し合える関係を目指す

まぁ、この研究は自己申告ベースのデータなので、もしかしたら「実際の行動」はちょっと違うかもしれません。とはいえ、「結局いい関係性には成長志向が大事」っていうこれまでの研究と一致するところもありますし、「複雑な感情は関係を考え直すチャンス」という視点は、なかなか希望が持てる話なんじゃないかと。

「モヤモヤした感情があるってことはうまくいってない証拠かも……」なんて悩むより、「これを関係改善のきっかけにできないかな？」って考えるほうが建設的かもねーってことで。