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【再送】不謹慎で真面目な科学|最新下半身系データ2024年4月版
科学は一歩一歩着実に進歩する。それは「性」の分野も例外に非ず。世界中の研究者が発見した10の最新データをベースに、ベッドの上の生活をより豊かにする方法を真面目に模索する。
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おくさん
2024/04/02

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*本日の朝一部の方に正しく送信されていなかったようなので、再度配信いたします。


本ニュースレターにご興味をもっていただきありがとうございます!このニュースレターでは、中国清華大学大学院に留学中でありサイエンスライターなどをこなす筆者が、科学的知見をベースにあなたの人生の道しるべを提案します。

最近では「検索エンジン、AIの発達で各人が欲する情報に容易にたどり着けるようになった!」などと言われますが、実際にはテキストの複雑さが低い、つまり平易な文章ばかりが表示されるし、プロンプトによらず結局最小公倍数的な情報が提供されるようになってるしでニッチで深い情報にたどり着くための道のりはむしろ長くなってしまっているのが現状だったりします。

もちろんAIはなんでも知っているけれど、それと同時に大多数の人がニッチで深い情報には興味を示さないことも知っています。だからAIはあえてニッチ情報を提供せず、結局情報の濁流の中で「より信頼でき、本当に価値ある情報」にたどり着くのは一層困難になっているというわけ。そこで本ニュースレターは検索エンジン、AIからは辿り着けない「ニッチ」をニッチなあなたに毎週お届けします。もちろん万人に受ける内容だとは思っていませんが、あなたの人生を彩る参考としてご活用いただければ幸いです。少しでもご興味があればぜひ購読してください(無料です)。

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ということで今回は、定期的にお届けしている、下半身系の最新データまとめです!

近頃個人的に「これは使えそうだなー」「頭に入れておきたいなー」と思った10個のデータをどうぞ。


目次

  1. 男女の性的快感になぜ格差があるのか
  2. バイブで彼女がイクと男性の自信が下がる?
  3. セクシュアルマイノリティの性的衝動の制御には「理解者」が鍵?
  4. 幼少期の虐待が将来の性的動機に及ぼす影響
  5. 女性が求める「理想のおもちゃ」
  6. ADHDと性欲亢進
  7. 男女の脳回路の違い
  8. 「男/女はこうあるべき」は「義務的セックス」を生む
  9. ロボットとの性的関係に興味がある
  10. ダメージが少ない浮気


男女の性的快感になぜ格差があるのか

男女の性的快感になぜ格差があるのか?ってのは昔から議論されてきたトピック。「オーガズムギャップ」なんて言葉も一般的になってきましたな。そんななかで最近ドイツの研究チームが行った調査では、その背景にある「社会的信念」や「人間関係のあり方」が浮き彫りになっておりました。

研究者たちが注目したのは、「マドンナと娼婦の二項対立」って概念。フロイトが提唱したこの考え方は、女性を「純潔で高貴なマドンナ」か「性的に乱れた娼婦」かの二極で見る傾向を指します。この二元論的な認識が、女性の性的自律性や満足感を損なっているのではないか。そんな仮説を立てて研究に着手したんだそうな。


まず研究チームは、509人のドイツ人男性を対象に、出会い系アプリで知り合った女性に対する印象を調査。すると、「マドンナと娼婦」の二項対立を強く支持する男性ほど、カジュアルな関係を求める女性を「不道徳で汚れた存在」と見なし、その性的欲求を軽んじる傾向が強いことが分かったらしい。ちなみにこの二項対立をどのくらい信じるか?ってのは、「セクシーな女性はたいてい良い母親ではない」「セックスに興味があってとてもリベラルな女性は性格的に問題があることが多い」などの記述にどのくらい同意しているか?で測定されてます。


さらに別の1,124人の男女を対象に、カジュアルな関係とコミットした関係という2つのシナリオで、パートナーのオーガズムへの関心や性的権利意識を調べたところ、

  • 一般的には男性は女性よりもパートナーのオーガズムに関心が高いと答えたが、二項対立を強く支持する男性ほど自分の性的満足を優先する傾向があった
  • 一方、二項対立を強く支持する女性は、自分よりもパートナーの気持ちよさを優先する傾向にあった
  • また女性にとって、コミットした関係の方が自分の「オーガズムへの権利」を感じやすいのに対し、男性の性的権利意識は関係性にあまり左右されなかった

ってなことが分かったらしく、『マドンナと娼婦』という固定観念が、性的快感における男女不平等の一因となっている可能性があるみたい。研究チーム曰く、

こうしたステレオタイプに対する認識を持つことで、伝統的な信念に挑戦し、よりフェアで満ち足りた性的関係を築くことができるはずだ

とのこと。


もちろん、この研究にも限界はあって、ドイツ国内の調査ゆえ、他の文化圏に当てはまるかは不明だし、セクシュアリティの多様性も反映されていない点は注意が必要。そうはいっても、「性」をめぐる社会通念が私たちの親密な関係性にどう影響するのか、なかなか考えさせられる内容っすね。「マドンナ」「娼婦」ってレッテルは表面的には時代遅れに見えても、今なお人々の認識の奥底にはこびりついてて、自由に快楽を追求し、尊重し合える、という理想にはまだ距離があるんじゃないか、と。「ふさわしい性の在り方」ってのはもっと本格的に取り組まなきゃいけないですよねぇ。


バイブで彼女がイクと男性の自信が下がる?

女性のオーガズムへの解釈について、おもしろい研究結果が報告されてました。

前提条件として、オーガズムが性的快楽の頂点であり「成功した性体験の証」と捉える人は多く、特に男性にとって女性のオーガズムは「プレゼント」のように感じる人も多いんだそう。パートナーが自分と一緒に絶頂に達すれば自信が高まる一方、逆の場合は落胆してしまう、みたいデータが複数確認されているんですな。


で、最近の研究ではアメリカ・フロリダ州の大学生男性193人を対象に女性の「オーガズムの手段」が、男性の自尊心にどう影響するかを探ってます。具体的には参加者には、3つのシナリオ(性交、オーラル刺激、バイブ使用)のいずれかで、パートナーがオーガズムを迎える様子を想像してもらい、その後、男性らしさや性的自尊心について評価を行ったところ、

  • 性交またはオーラル刺激でオーガズムに達した場合には、バイブ使用と比べて自身の「男らしさ」や達成感を高く感じていた
  • 特に、クリトリスへの知識が豊富な男性ほど、オーラル刺激でパートナーを絶頂に導けることに、男らしさを感じる傾向が見られた(ただし、参加者のクリトリスに関する知識にはばらつきがあり、40%は位置を間違えていた)

って感じだったらしい。研究チーム曰く、

若い男性にとって、女性のオーガズムは自分の「手柄」であり、男らしさの反映なのかもしれない。でもそんなプレッシャーは、性機能障害のリスクにもつながりかねない。パートナーの快感と自分の感情を切り離せるよう、性教育を見直す必要があるだろう

と指摘。「GIVE」か「TAKE」かで考えてしまうのも一つのジェンダーバイアスなんじゃないかなぁとか感じますな。

セクシュアルマイノリティの性的衝動の制御には「理解者」が鍵?

セクシャルマイノリティに関する研究もチェックしておきましょう。こちらはポーランドのシスジェンダー198人を対象にした調査で、社会的支援が手厚いほど、強迫性性行動障害(CSBD)や問題のあるポルノ使用(PPU)の症状が軽度である傾向が見られたんだそうな。

最初に簡単に定義の確認をしておくと、

  • CSBD:性的衝動をコントロールできず、苦痛や破壊的行動につながる疾患
  • PPU:ポルノ依存とも呼ばれ、日常生活にも支障をきたすほどポルノに強い感情を抱いてしまう

って感じで、セクシャルマイノリティの人々は特有のストレス要因からこれらのリスクが高いと考えられてきたんですな。しかし全員が全員これらの症状が高いというわけでもないのも事実ってわけで、研究チームは、ストレス、社会的支援の認知、薬物使用などの要因が、症状の重症度にどう影響するかを探ったんだそう。


その結果、

  • ソーシャルサポートが充実しているほど、CSBDとPPUの症状が軽度になる傾向があった
  • 一方、差別体験やスティグマは、症状を悪化させる傾向にあった
  • セックス時の薬物使用もCSBDのリスク因子として働いていた

特に、周囲の理解と支援が、セクシャルマイノリティの性的健康を守る上で重要ってのが強調されてましたね。逆に偏見や「排除」は、性的衝動の制御を困難にしかねないのだ、と。

まー横断的なデザインゆえ因果関係は分からないし、他のマイノリティに一般化できるかとかも謎ですけど、確かに「普通じゃない」「変だ」といったレッテルを貼られる環境にいれば、自尊心が傷つき、孤立感が高まり衝動をコントロールするのも難しくなるってのはよく理解できますよぇ。「一人ひとりが自分らしく生きられる世の中へ」ってきれいごとが当たり前になる社会を作りたいものです。


幼少期の虐待が将来の性的動機に及ぼす影響

「子ども時代の虐待体験が、成人後の性生活にどのような影響を及ぼすのか?」っていうなかなか難しいテーマに切り込んだ研究結果が、Journal of Social and Personal Relationships誌に発表されてました。ザックリ言えば、幼少期の虐待体験は、虐待を受けた本人だけでなく、そのパートナーの性的動機にも影響が及ぶことが分かったんだそう。


研究チームは、フェイスブックやレディットなどを通じて、309組のカップルを募集。虐待の経験、恋愛関係における心理的欲求の充足度、性的動機について、1年間にわたって3回の調査を実施してます。


その結果、

  • 子ども時代に虐待を受けた人は、罪悪感や承認欲求から性行為に及んだり、性への意欲そのものが低かったりする傾向が見られた
  • そして同時にそのパートナーも性的意欲が低下しがちだった

だったそうで、虐待の影響は本人だけでなく、関係性全体に及ぶみたい。

さらに、虐待経験と性的動機の関係を探る上で、「自律性」「有能性」「関連性」といった心理的欲求の充足が重要な役割を果たすことも判明。要するに虐待を受けた人やそのパートナーは、これらの欲求が満たされにくく、それが性行為への「自己決定的な動機づけ」の低下につながっていたんだそう。

例えば、虐待経験がある人は有能感や関連性が低く、結果的にセックスを自分のアイデンティティや価値観にマッチするという考えを抱きにくいみたい。さらに、自律性や関連性が満たされていないと、内的・外的なプレッシャーから性行為に及びやすくなることも判明してますね。


研究チーム曰く、

性的幸福の中核である性的自己決定を育むには、基本的心理欲求を満たすことが肝要だ。また、カップルのどちらかに虐待歴がある場合は、双方の経験と視点を認め合うことが重要になる

とのこと。虐待の影が将来も色んな側面でデメリットを引き起こすってのは昔から確認されてますけど、これまたなかなかきつい話っすね。

また、過去の傷と折り合いをつけながら新たな絆を育んでいこう、パートナーはそれを支えてあげよう、みたいなアドバイスはありがちですけど、実際にその思いやりは自分自身への思いやりにもなってるってのはもっと広く認識されてもいいのかもしれませんなぁ。


女性が求める「理想のおもちゃ」

女性用のアダルトグッズ、特に膣内挿入型の性玩具をどうやって選ぶか、迷った経験のある殿方もおられるかもしれません。サイズ、素材、リアルさ、振動の有無......ファクターがありすぎるし、ネットの情報は信頼できないし、本人に聞くのもためらわれるし……。そんな疑問に、真面目に答えてくれた研究が学術誌のJournal of Sex Researchに掲載されてました。奥方にとっても、自分に合う玩具をゼロから探すより、多くの女性が好む条件に関する情報があった方が、好みの玩具選びの上で有益となりましょう。


研究チームは、Lovehoneyっていう英国最大のオンライン性玩具小売業者のデータを分析。265種類のディルド(膣内挿入型のおもちゃ)を対象に、サイズや素材、外見のリアルさ、振動機能の有無などを評価し、どれが人気なの?を徹底的に分析してます。


その結果、

  • 最も人気だったのは、直径が4.85インチ(約12.3cm)のディルドだった(これは勃起したペニスの平均よりもやや太めだが、それでも通常のサイズの範囲内)
  • 一方、長さについては、平均7.07インチ(約18cm)と、ヒトのペニスよりもかなり長めだった。ただし実際には、玩具の人気を左右する決定的な要因ではなかった(長さに関しては、太さとは違い全長を使い切る必要はない点も考慮する必要がありそう)
  • また、表面の色、陰嚢の有無など、リアルさを追求したディテールは、それほど人気に影響していなかった
  • 振動機能の有無も、購買意欲にはあまり関係なかった

だったそう。基本的にはジャンボサイズやかなり精巧なものよりも、シンプルで使い心地重視の選択をしている女性が多いんじゃないの?って感じですな。

「サイズ神話」を否定するデータは以前にも何度か紹介したことがありますが、やはり今回の研究からも「ポルノの描写はファンタジーなんだなー」「無意識のうちに『理想』と思い込まないようにしないとなー」なんてところを感じましたね。まあ実際にはパートナーとオープンに話し合い、互いに最も気持ちよい場所を探るのが大事ってのは当然ですが(もちろん性玩具を使う使わないも自由)、一つのヒントとして何らかの参考になればと。


ADHDと性欲亢進

注意欠陥・多動性障害(ADHD)と性欲亢進行動の関係を示した、新たな研究結果が発表されてました。両者は一見無関係に見えますけど、実際には密接に関係してるんじゃないの?ってことが分かったみたい。


ここでは、18歳から79歳までの309人を対象に、オンライン調査を実施。ADHD症状、性欲亢進行動、うつ病、衝動性などを評価する尺度を用いて、それぞれの関連性を分析。


その結果、

  • ADHD症状が強いほど、性欲亢進行動をとる傾向が高かった
  • 特にADHDの中核をなす「衝動性」は、性欲亢進行動との関連が強固だった
  • さらに、うつ症状や軽躁症状、幻覚や妄想などの精神病性の兆候も、性欲亢進の予測因子として働いていた
  • 中でも抑うつ症状は、ADHDと性欲亢進の関係を大きく媒介していた(これは衝動性との関連よりも強固だった)

だったらしい。


研究チーム曰く、

ADHDに伴う心理的苦痛を和らげるために、性行動に走る傾向があるのかもしれない。いわば感情のセルフメディケーションとして、性欲亢進が現れている可能性がある

とのこと。つまり、ADHDの人は不快な感情状態に陥りやすく、それを調整するために性的行動を求めているんじゃないか、と。強い感情の起伏を、性によって和らげようとしているのかもねーってわけですね。

メンタルヘルスとセクシュアリティのかかわりについては最近色々わかってきてますけども、これらの問題はかなり複雑なんで、その中でも「まずはどの部分のコントロールが重要なの?」っていう優先順位づけはかなり重要なファクターになりますよね。


男女の脳回路の違い

「男と女の違い」みたいなトピックはよく語られますけど、最近の研究では「思ってる以上に似てるやん!」みたいな内容になってました。


これはプレーリーハタネズミっていうげっ歯類を対象とした最新の研究で明らかになってて、ここでは交尾から永続的な関係性を形成に至るまでの詳細な「脳内マップ」が特定されてます。プレーリーハタネズミは本ニュースレターでもたまに出てきますが、一夫一婦制の長期的なつがいを作ることで知られていて、その社会行動や交尾行動は、ヒトと驚くほど似ていることがわかっており、人間に一般化できる可能性が比較的高いとも言われますね。


研究チームは、200頭以上のハタネズミを対象に、交尾から長期的な関係形成までの過程を詳細に観察。その後、脳内の神経活動を分析し、3D画像化することで、行動と脳の関係を探ってます。


その結果、オスとメスがほぼ同じパターンで脳を活性化させていることが判明。オスメスともに、7つの主要な回路に分類される68の脳領域が、つがい形成に関与していたらしい。この結果は、テストステロン、エストロゲン、プロゲステロンなどの性ホルモンの影響を受けて性差が生じ、オスとメスは別の経路で「愛を感じる」みたいな仮説を覆すような内容になってますね。また、これは前から知られてましたけど、特定の部位だけでなく、脳全体のネットワークが協調して働くことで長期的な関係性が生まれるってのも大事でしょうね。


そして特に驚きだったのは、性別に関係なく、交尾時のオスの射精が関係形成に関わる68領域の神経活動の最大の予測因子として働いていたこと。つまり、オスだけでなく、射精に至ったオスと交尾していた雌でもこれらの関係形成に関連する脳活動が活発化していたんだそうな。研究チームのことばを借りれば「神経反応が共有されていた」ってことがはっきり確認できたみたい。


ザックリ結論付ければ「愛」と「セックス」は脳のレベルでつながっていて、快楽を通じて絆は深まっていく、そしてその神経基盤は男女でかなり似通っているんだって感じですね。もちろん性行為だけが愛を育むわけではないですけど、大きな役割を担っているのも間違いないってのがよくわかりますな。


「男/女はこうあるべき」は「義務的セックス」を生む

性別ベースの役割をめぐる社会的規範や期待が、カップル間の性行動にどう影響するのか?に焦点を当てた研究がJournal of Sex & Marital Therapy誌に掲載されておりました。


結論から言ってしまえば、

  • 伝統的な性別役割への固執は、性的欲求の低下につながる一方で、セックスの頻度は逆に増える!

ってなことが分かったらしい。


こちらはイスラエルの研究チームが25歳から50歳までの675人を対象に実施したオンライン調査。参加者の性別、年齢、宗教、学歴などの情報に加え、伝統的性別観の支持度、パートナーへの性的欲求、実際のセックス頻度などを尋ねたんだそう。ちなみに、「伝統的性別観の支持度」ってのは、"掃除はほとんど女性の仕事"、"家のルールは男性が決めるべき "みたいな記述にどのくらい同意するかで測定されてます。


その結果、どのようなことが分かったかといえば、

  • 男女ともに伝統的な性別役割を強く支持するほど、パートナーへの性的欲求は低下する傾向が見られた
  • が、伝統的性別観への支持が強いほど、セックスの回数は増えていた

だったそうで、欲求は低いにも関わらず実際に行為に及ぶ回数はむしろ増えるらしい。この相反するような結果に見える結果に対して研究チームは、

伝統的な価値観の中では、個人の欲求よりも性的義務の遂行が優先されるのかもしれない。つまり、自分がしたいからではなく、パートナーのために、あるいは夫婦の務めとして、セックスに臨んでいる可能性がある

とのことで、「別にしたくはないけどそれが『普通の夫婦』だろう」って意識が原動力となって行為自体は増えているのじゃないか、と。


さらに、この研究では男女差でも面白い結果が得られていて、

  • 男性は自分自身の性欲に基づいてセックス頻度が決まりやすいのに対し、女性はパートナーの欲求を重視する傾向が強かった

研究チームは、「女性は男性の欲望に応えなければというプレッシャーを感じているのかもしれない」と指摘していて、「男女平等」にはまだまだ程遠いんじゃないのかねぇって感じですね。


もちろん、この研究にも限界はあって、アンケートによる横断調査ゆえ因果関係ははっきりしないとか、文化的・宗教的な背景による違いにも注意が必要。そうはいっても、私たちの性生活が無意識のジェンダーバイアスに影響されている可能性は十分あるだろうなーって考えるきっかけとしては十分でしょうな。「女性はセックスを我慢すべき」「男性は常に性欲が強い」みたいな思い込みが「歪んだ」性行動を生んでいるってデータもありますしね。

まーこの問題は社会全体の課題であり、個々のパートナーの問題でもあり、なかなか解決が難しいですけど、結局「本当は何をしたいのか」「相手の気持ちはどうなのか」みたいにパートナーとの会話と自問を繰り返していくほかないでしょうねー。


ロボットとの性的関係に興味がある

近年ロボット分野での進展が著しく、「人間とロボットの人間関係」が現実味を帯びてきてる中で、その心理的背景に迫った興味深い研究結果が報告されてました。


これはJournal of Social and Personal Relationships誌に掲載された論文で、結論としては、

  • 女性に敵対的な態度を持つ男性ほど、ロボットとのセックスに関心が高い

みたいな内容になってます。


こちらはカナダの研究チームが大学生223人を対象に実施した調査で、架空のシナリオを提示し、ロボットとの友情や性的関係にどの程度賛成できるかを尋ねたんだそう。


その結果、男女で大きな違いが浮き彫りになってます。

  • 一般的に、男性は女性よりもロボットとのセックス(ロボセクシュアリティ)に高い関心を示す一方、女性はロボットとのプラトニックな友情(ロボフレンドシップ)に魅力を感じる傾向が強かった
  • さらに男性の中でも、女性を下に見るような敵対的セクシズムの傾向が強いほど、ロボットを性的パートナーとして見なす傾向が顕著だった(つまり、女性蔑視とロボセクシュアリティには密接な関係が見られた)
  • 一方、社会的地位の差を重んじる価値観(社会的優位志向)が薄い場合は、男性の方がロボットセックスに強い関心を示したが、その志向が強まると男女差はなくなった
  • また、カジュアルセックスに寛容な人ほど、ロボットとのセックスには消極的という意外な結果も得られた

だったそう。


女性を下に見る男性が、自分の欲望を満たす道具としてロボットを求めているんだとしたら、それはなんとも悲しい話で、パートナーを支配し搾取するための手段として、テクノロジーが悪用されかねない可能性があるって点は倫理的な議論が欠かせないでしょうな。一方で、多様な生き方を認め合う社会の実現には、ロボットとの関係性も選択肢のひとつとして考える必要があるのかもなーとも感じる内容でしたね。実際、孤独感を解消する存在としてのロボットには最近かなり期待できるデータが出てたりしますしね。

まー結局これまでの「常識」が通用しなくなり、オープンマインドでの議論が必要でしょうけど、その過程で私たち自身の在り方も見直すきっかけになれば最高ですねぇ。


ダメージが少ない浮気

「浮気の相手が同性か異性かによって浮気に対する印象が違うんでは?」という趣旨の研究結果が報告されてました。これはアメリカの研究チームが異性愛者の男性を対象に行った調査で、まず156人の男性を対象に、架空のシナリオを読んでもらってます。内容は、長期交際中の恋人が、他の男性、男っぽい女性、女らしい女性のいずれかと親密な関係になるという設定。


その結果、男性は恋人が「他の男性」と浮気した場合に有意に強い嫌悪感を示した一方、女らしい女性との浮気にはそれほど否定的ではなく、むしろ性的な興奮すら覚える傾向が見られたらしい。

さらに2つ目の研究では、138人の男性に架空の恋人と浮気相手の写真を見せながら、同様のシナリオを読んでもらったところ、1つ目の研究と同じように、男性の浮気には強い嫌悪感を抱く一方、女らしい女性の浮気には寛容な反応が見られたんだそう。要するに、男性は「パートナーの女性がどの性の人と浮気したか?」によって感じるダメージが変わってくるのだ、と。


研究者曰く、

男性にとって最大の脅威は、他人の子を育てるはめになることだ。これは女性が浮気相手の場合には課せられないリスクである。だから男性は、恋人が他の男性に寝取られることを最も恐れるのだろう。

ってな進化的な説明をしておりました。一方で、

女らしい女性は男性への関心を持っていそうだと認識されやすく、性的な機会として見なされやすい。だから男性は、恋人のそうした浮気に性的興奮すら覚えるのかもしれない

とも推測してて、浮気相手の女性も自身の子を産んでくれるポテンシャルのある対象として無意識に感じてしまうのかもしれないってわけですね。

まあ本研究は架空のシナリオで現実には違うかもとか文化的な背景によって違いがあるかもとかこれまた色々限界はありますけど、性の多様性が徐々に一般化している現代において、いろいろ考えさせられる内容ではありましたな。