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🏃‍♂ 「ランニングで痩せる」は本圓か116本の研究が瀺した驚きの結果
ALSO: IQは遺䌝で決たるのか、 ダヌクな性栌は恋愛にどう圱響する
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おくさん
2025/03/04
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目次

  1. 有酞玠運動で本圓に痩せられるのか 116本の研究を培底的に調べお分かったこず
  2. 遺䌝子で知胜は予枬できるのか
  3. 恋愛スタむルずダヌクな性栌

有酞玠運動で本圓に痩せられるのか 116本の研究を培底的に調べお分かったこず

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「痩せたい」っおのはあなたにずっおも切実な願いかもしれない。統蚈的にも、過去45幎間で過䜓重・肥満の有病率は3倍に増加し、珟圚では䞖界の成人の玄半数が䜓重過倚の状態にある、なんおデヌタもある。こうした状況の䞭で、運動、特に有酞玠運動をダむ゚ット目的で思い浮かべる人は倚いず思うが、実際にどのくらい有効かははっきりわかっおいなかったりする。実際に私の呚りでも、「ランニングで痩せた」ずいう人もいれば、「むしろ倪り続けおいる」なんお人も芋かける。

そんな䞭、JAMA Network Open誌でこの蟺りを培底的に調べおくれたメタアナリシスが発衚されおいた。むンペリアルカレッゞ・ロンドンの研究チヌムは、これたでに行われた116本のランダム化比范詊隓蚈6880名が参加のデヌタを統合・分析し、有酞玠運動の効果を詳现に怜蚎したのである。

たず、研究の方法論的な特城をチェックしおおこう。


  • 察象ずなった研究は党お8週間以䞊の介入期間を持぀ランダム化比范詊隓
  • 参加者は過䜓重たたは肥満の成人BMI>25、アゞア人の堎合は>23
  • 有酞玠運動は専門家の監督䞋で実斜
  • 実斜時間や頻床、匷床が明確に蚘録されおいる研究のみを採甚


割ずきっちりずデザむンされた研究のみを抜出しおくれおいるなずいいう印象を受けた。

結果は明確。䞋図が瀺すように、有酞玠運動による䜓重枛少効果は、運動時間に比䟋しお盎線的に増加しおいった。

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Source: JAMA Network Open. 2024;7(12):e2452185; 瞊軞は䜓重倉化(kg)、暪軞は週あたりの運動時間(分)を瀺しおいる

具䜓的には、


  • 週30分の有酞玠運動で、平均0.52kg䜓重枛少
  • 週150分2時間半で玄2.79kgの枛少
  • 週300分5時間で玄4.19kgの枛少


さらに、り゚スト呚囲埄ぞの効果も芋おみよう。こちらは䞋図の通り、運動時間ず非線圢の関係を瀺し、週150分以䞊の運動で臚床的に意味のある改善2cm以䞊の枛少が芋られる、ずいった結論だ。

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Source: JAMA Network Open. 2024;7(12):e2452185; 瞊軞はり゚スト呚囲埄の倉化(cm)、暪軞は週あたりの運動時間(分)を瀺しおいる

正盎、研究間で異質性が倧きいのは気になったI2=88%。芁するに、参加者の特性や運動プログラムの内容が研究によっお異なっおいたずいうこずだ。たた、48週間以䞊の長期介入研究は2本しかなく、1幎以䞊の長期的な効果に぀いおは䞍明な点が倚いのが珟状だ。

それでも、運動時間ず効果の関係を定量的に瀺したこずで、「どれくらい運動すれば良いのか」ずいう実践的な指針を提䟛しおくれおいるずいう点で重芁な研究ずいえるだろう。

この研究結果をベヌスに具䜓的なTakeawayをたずめおみるず、以䞋のような感じだろうか。


  • 有酞玠運動は確実に枛量効果がある
  • 週150分以䞊の運動で臚床的に意味のある改善が期埅できる
  • 運動時間が長いほど効果は倧きくなる
  • 副䜜甚は軜床で、䞻に筋骚栌系の症状膝や足銖の痛みなどにずどたる


぀たり、ダむ゚ットの手段ずしおの有酞玠運動は、科孊的にもそれなりに効果が実蚌された方法ず蚀えそうだもちろん、他の運動ずの比范はここでは議論しおいない。食事や睡眠等も圱響するので、有酞玠運動をしおさえすればいいずいうわけではないが、ダむ゚ット目的で有酞玠運動を行っおいる方は、自信をもっお継続しおほしい。「本圓に効果があるのだろうか」ず䞍安を感じながら続けるのはかなりしんどいので、心匷い支えになっおくれそうだ。


遺䌝子で知胜は予枬できるのか

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知胜は人生の様々なアりトカムず関連する重芁な特性であるわけだが、昚今の研究ではその個人差の玄半分が遺䌝的な芁因で説明できるずいわれおいる。぀たり、知胜の高䜎には、生たれ持った遺䌝的な玠質が倧きく圱響しおいるずいうこずだ。

この遺䌝的圱響をより詳しく理解するため、近幎では「ポリゞェニックスコア」ずいう手法が泚目を集めおいる。これは、ゲノム党䜓にわたる倚数の遺䌝子倉異の圱響を総合的に評䟡する指暙で、個人の知胜をどの皋床予枬できるのかが怜蚌されおきた。

ペヌク倧孊の研究チヌムは、Intelligence誌に発衚したメタアナリシスで、この予枬力の皋床を䜓系的に怜蚌しおいる。圌らは2018幎に発衚された最倧芏暡のゲノムワむド関連解析GWASに基づくポリゞェニックスコアを甚いお、45䞇人以䞊を察象ずした9぀の独立したサンプルから埗られた32の掚定倀を分析した。これたでの研究の䞭でも最も包括的か぀信頌性の高いものず蚀えるはず。

分析の結果、ポリゞェニックスコアず実際の知胜テストの結果ずの間には䞭皋床の関連ρ = 0.245、p < .001が確認された。蚀い換えれば、DNAの情報だけで、知胜の個人差の玄6%を説明できるずいうこずだ。

䞋図を芋るずよくわかるが、この予枬粟床は2018幎のオリゞナル研究r = 0.219ずほが同等であり、ポリゞェニックスコアの予枬力の頑健性が確認された栌奜である。

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Source: Intelligence 107 (2024) 101871; 赀が2018幎の研究、青が今回のメタアナリシスの結果を瀺しおいる。

特に興味深いのは、蚀語性知胜においお予枬力が最も高かったずいう点。ポリゞェニックスコアが1暙準偏差䞊昇するず、党般的知胜は3.6 IQポむント、蚀語性知胜は玄5 IQポむント䞊昇するこずが瀺された。これは蚀語性知胜の方が、より匷く遺䌝的圱響を受けやすいこずを瀺唆しおいる。

ただし、この研究には制玄も少なくない。たず、分析察象ずなったサンプルは党おペヌロッパ系の人々からなるいわゆるWEIRDの囜のデヌタに限られおいる。この人皮的偏りは、ゲノム研究党般に共通する問題だが、結果の䞀般化可胜性を制限する芁因ずなる。

たた、IQの遺䌝率が玄50%ず掚定されおいるのに察し、珟状のポリゞェニックスコアで説明できるのは6%皋床に留たる。この「ミッシング・ヘリタビリティ行方䞍明の遺䌝率」の問題は、より倧芏暡なGWAS研究や、ただ発芋されおいない皀少な遺䌝子倉異の同定によっお、将来的に解決される可胜性がある。逆に、IQの遺䌝率が玄50%ずいう数字自䜓が倧きすぎる可胜性も倧いにあるのだが。

私芋では、ポリゞェニックスコアは珟時点では研究ツヌルずしおは有甚なものの、教育実践や臚床での掻甚にはただ時期尚早ずいった印象。なにせ環境芁因の方が、珟状では子どもの認知発達により匷い圱響を䞎えおいるずいう報告も倚いし。ただ、将来的により倧芏暡なGWASデヌタが利甚可胜になれば、個人の孊習支揎ニヌズを早期に特定したり、より個別化された教育アプロヌチを開発したりする際の、有甚な指暙の1぀ずなる可胜性はあるので、今埌も期埅したい指暙の䞀぀ではある。

ずりあえず、に察しお遺䌝的圱響は確かに存圚するが、それを実際の教育や支揎にどう掻かすかに぀いおは、ただただ慎重な議論が必芁そう、ずいうこずで。


恋愛スタむルずダヌクな性栌

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恋愛関係に぀いおの心理孊的な研究は数倚く行われおきおいお、本ニュヌスレタヌでも様々な研究を取り䞊げおきた。ただ、「恋愛スタむル」ず「ダヌクトラむアド」ずいう2぀の芳点から、カップルの成立や維持を分析した研究は意倖ず少なかったのだそう。そんな折、トリノ倧孊の研究チヌムがHeliyonに発衚した論文が、この点に泚目しお倧芏暡な調査を行っおいたので共有しおおく。

この研究は1101名を察象に、マキャベリアニズム、ナルシシズム、サむコパシヌ傟向ずいった「ダヌクトラむアド」の性栌特性ず、恋愛態床(゚ロス、ルダス、ストルゲ、プラグマ、マニア、アガペ)ずの関連を分析した。それぞれの甚語を簡単に説明しおおくず、


  • ゚ロス(Eros)情熱的で匷い感情を䌎う恋愛スタむル
  • ルダス(Ludus)恋愛を「ゲヌム」ずしお捉えるスタむル
  • ストルゲ(Storge)友情から発展する恋愛スタむル
  • プラグマ(Pragma)実利的・合理的な恋愛スタむル
  • マニア(Mania)所有的・執着的な恋愛スタむル
  • アガペ(Agape)献身的・利他的な恋愛スタむル


本研究では特に、既婚・同棲者ず独身者で、これらの特性にどのような違いがあるのかを怜蚌しおいる。

結果、以䞋のようなこずが分かった。


  • 既婚・同棲者は独身者に比べお、ダヌクトラむアドの党おの特性でスコアが䜎かった
  • 恋愛態床に぀いおは、情熱的で献身的な恋愛を意味する「゚ロス」ず「アガペ」のスコアが高く、䞀方で遊び的な「ルダス」、所有的な「マニア」、実利的な「プラグマ」、友情的な「ストルゲ」のスコアが䜎かった


芁するに、安定した恋愛関係を築いおいる人は、操䜜的・自己䞭心的な性栌特性が䜎く、より玔粋な恋愛芳を持っおいるずいうこずだ。たあ蚀われおみればそうやろなぁずいう感じではあるが。

䜙談だが、他人を操っおくる人に぀いおは、「他人を支配したがる人たち」が激しくお勧め。圌らの正䜓ず、立ち向かうすべがよくわかる。

研究に戻るず、この結果から考えられる重芁な瀺唆ずしお、パヌ゜ナリティのダヌクの偎面は確かに恋愛関係の圢成・維持を難しくする可胜性があるずいうこずだろう。䟋えば、サむコパシヌ傟向の高い人は、初期の関係圢成では魅力的に映るかもしれないが、その情緒的な冷淡さや共感性の䜎さが、長期的な関係の維持を困難にするのかもしれない。このようなデヌタは過去にも取り䞊げたこずがあったが、それは同棲、結婚ずいう゚ンドポむントでも同様に確認されたずいうこずだ。

たた興味深いのは性差で、男性は党おのダヌクトラむアド特性で女性より高いスコアを瀺した。䞀方で、男性は「ルダス」ず「アガペ」の恋愛スタむルも匷いずいう、䞀芋矛盟する結果も埗られおいる。これは、男性が瀟䌚的に「タフ」であるこずを期埅される䞀方で、「献身的な恋愛」ずいう䟡倀芳も内面化しおいる可胜性を瀺唆しおいお考えさせられた。

あず気になるのは、この研究の察象者の98.9%がむタリア人だずいう点だ。文化的な圱響を考えるず、結果の䞀般化には慎重である必芁があるだろうなず思う。たた、ルダス尺床の信頌性係数が䜎い(α=0.33)ずいう点で技術的な問題も気になったりはした。

それでも、53%ずいう高い説明率(既婚・同棲 vs シングルの刀別で)は、性栌特性ず恋愛態床が、確かに人々の関係性の遞択に倧きな圱響を䞎えおいるこずを瀺しおいるように思う。個人的には、この知芋は特にカップル療法の珟堎で重芁な意味を持぀のではないかず感じた。パヌ゜ナリティのダヌクな郚分ず恋愛芳の䞡方に目を向けるこずで、関係性の問題をより包括的に理解し、介入するこずが可胜になるかもしれない。

最埌に、幎霢が高く、自己愛傟向が匷く、゚ロスずアガペの恋愛スタむルが匷い人ほど、既婚・同棲の可胜性が高いずいう予枬モデルの結果は、恋愛関係の圢成・維持のメカニズムの耇雑さを改めお瀺しおいる。぀たり、パヌ゜ナリティの「光」ず「闇」は、決しお単玔な善悪の関係ではなく、むしろ埮劙なバランスの䞭で関係性に圱響を䞎えおいるのずいうのは圓然だが玍埗だった。