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🧬 マりス ≠ ヒト
ALSO: 絵文字が倚い人ほど䞖枡䞊手、性善説で恋愛もうたくいく
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おくさん
2025/02/22
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目次

  1. ヒトずマりスでは、PD-1の機胜に倧きな違いがあった
  2. 絵文字の䜿い方でわかる、あなたの恋愛傟向
  3. 䞖界を良いものず信じおいる人ほど恋愛が䞊手くいく説


ヒトずマりスでは、PD-1の機胜に倧きな違いがあった

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普段は、むメヌゞしやすくお日垞生掻で実践もしやすいような論文の䞭から、特に面癜かったもの、実践的なものを共有しおいる。が、たたには自分の専門分野に近い話もしおみようずいうこずで、私が最近ずいっおも䞀か月以䞊さかのがる気もするが読んで心躍った論文を取り䞊げおみようず思うちなみに、以前に領域のTwitterもやっおいたのだがい぀からかやめおしたった。たた再開しようかな。。。䞭身に぀いおは「ふヌん」「わかった気もするしわからん気もする」で結構なのだが、少しでも分野の面癜さが䌝われば幞いだ。

医孊の研究においお、マりスを䜿った実隓は極めお重芁、ずいうのはご存じの通り。新薬の開発やメカニズムの解明など、マりスなしには珟代医孊は成り立たないのだ。しかし極端な話、マりス実隓の前提には、マりスず人間はほずんど同じだからマりスで圓おはたるこずは倧䜓人間でも行けるよね、ずいう考えがある。

ずころが、この床Science Immunology誌に発衚された研究で、私たちヒトず実隓甚マりスでは、重芁な免疫分子である「PD-1」の機胜に倧きな違いがあるこずが明らかになった。この発芋は、がん免疫療法の研究に倧きな圱響を䞎える可胜性がある。

たず、簡単にPD-1ずは䜕か説明しよう。PD-1は1992幎に発芋された免疫现胞の衚面にある分子で、いわば「ブレヌキ」のような圹割を果たす。通垞は過剰な免疫反応を抑制する重芁な働きをするのだが、がん现胞はこのPD-1を利甚しお免疫现胞の攻撃から逃れるこずがわかっおいる。

そこで登堎したのが、PD-1を阻害する「抗PD-1抗䜓」。これはPD-1の働きを邪魔するこずで、免疫现胞のブレヌキを解陀し、がん现胞ぞの攻撃を掻性化させる薬。2015幎にはこの研究でノヌベル賞が授䞎されおいお、名前を聞いたこずがある人もいるかもしれない。がん治療に革呜的な進歩をもたらした薬ずいう認識で十分だ。

で、今回の研究では、UCSDのHui博士らの研究グルヌプが、ヒトのPD-1huPD-1ずマりスのPD-1moPD-1を詳现に比范。するず、予想以䞊の違いが芋぀かった。具䜓的には、


  1. 抑制機胜の匷さの違い
  • huPD-1はmoPD-1よりも匷い免疫抑制効果を瀺した
  • これはPD-1ずそのリガンドPD-L1/L2ずの結合力の違いに起因
  • huPD-1は现胞内のシグナル䌝達も効率的

2構造の違い

  • アミノ酞配列の䞀臎率は玄60%ず予想倖に䜎い
  • 特に现胞内領域で倧きな違いが芋られた
  • ヒトのPD-1には「PEQ」ずいう重芁な配列があるが、マりスにはない

3進化的な違い

  • げっ歯類のPD-1は進化の過皋で機胜が匱たっおいった可胜性
  • 箄6,000䞇幎前の共通祖先から分岐しお以降、異なる進化を遂げたのかも


ざっくりいえば、思っおいた以䞊にヒトのPD-1ずマりスのPD-1は違っおいるから認識を改めおおこうね、ずいうこずだ。この発芋は、がん免疫療法の研究に重芁な瀺唆を䞎えるこずになるだろう。なぜなら、これたでのPD-1阻害薬の研究の倚くはマりスモデルを䜿っお行われおきたから。マりスでの実隓結果をそのたたヒトに倖挿できない可胜性が思っおいた以䞊に高いこずを瀺しおいるのだ。

実際、これたでもマりスでは芋られなかった副䜜甚がヒトで発生するケヌスや、逆にマりスで効果があった治療法がヒトでは効果が限定的なケヌスが確認されおいた。この研究は、そうした「皮差」の分子レベルでの理由の䞀端を明らかにしたず蚀える。

もちろん、これはマりスモデルが無意味だずいうこずでは決しおない。珟代の技術を駆䜿すれば、ヒト型のPD-1を持぀マりスを䜜補するこずで、より正確な前臚床詊隓を可胜にするこずだっおできる。きちんず「䞡者はどこたで同じでどこたで同じなのか」を認識しおおくこずが重芁なのだ。

あず、個人的には、この研究は「進化」の芳点からも非垞に面癜いず感じた。なぜげっ歯類のPD-1は機胜が匱たる方向に進化したのかおそらく、げっ歯類特有の生態や病原䜓ずの関係が圱響しおいるのだろうかずいった具合に思考を巡らせた。

最埌に、この論文および生呜科孊分野の面癜さをもう䞀぀。生呜科孊の研究では、実隓結果が予想ず異なるこずはよくある。でも今回は、「予想に反した結果」がかえっお重芁な発芋に぀ながったずいうのが玠晎らしい。぀たり「ヒトずマりスは䌌おいるはず」ずいう前提が、実は「そうでもない」ずいうこずが刀明し、そこから新しい知芋が埗られた。このように、研究の過皋で「思い蟌み」を芆すこずで、新しい発芋に぀ながるこずは珍しくない。そういう意味で、この研究は基瀎研究の醍醐味を䜓珟しおいるようにも感じた。私が心躍ったのも、そんな「思い蟌みを芆す発芋」の面癜さに改めお觊れられたからかもしれない。

正盎、読者の皆さんの日垞ではほずんど無関係な話であろうが、たたにはこんな話もよかろうかず。もしここたで読んでくれおいた人がいたならずおもうれしい。なるべく簡単に、ポむントだけかい぀たんで話した぀もりだが、もしわからないこずや気になるこずがあったならコメントなどしおほしい。理解しおもらえるたで嬉々ずしお説明するので。


賌読䞭



絵文字の䜿い方でわかる、あなたの恋愛傟向

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ここからはい぀も通りの話に戻そう。

スマホでのコミュニケヌションが圓たり前になっおきた珟代瀟䌚だが、「絵文字」の䜿い方は人によっおばら぀きが倧きいず感じる。最近の研究では絵文字が、実は私たちの心理状態や人間関係の質を映し出す鏡になっおいるかもしれないずいった内容になっおいた先日、「絵文字䞊手は恋愛䞊手」なんお論文も玹介したしたね。

これはむンディアナ倧孊のキンれむ研究所のチヌムが、Plos One誌に発衚した研究。研究チヌムは320人(女性191人、男性123人、その他6人)を察象に、絵文字の䜿甚頻床ず、個人の愛着スタむル、感情知性ずの関係を分析しおいる。

具䜓的な枬定項目は以䞋の通り。

  • 愛着スタむル12項目の質問で枬定(回避型、䞍安型の2軞で評䟡)
  • 感情知性30項目の質問祚で枬定
  • 絵文字䜿甚友人、家族、恋人、仕事関係者ずの䜿甚頻床を4段階で評䟡

デヌタを、盞関分析および性差に぀いお怜定を行っおいる。

その結果、回避型愛着スタむルが高い人ほど、友人や恋人ずの絵文字䜿甚が少なくなる傟向が芋られた。䞀方で感情知性が高い人は、特に友人ずの絵文字䜿甚が倚くなっおいた。

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Source: PLOS ONE. 2024 Dec, e0308880

ざっくりたずめるず「人ずの芪密な関係を避けたがる人は絵文字も避け、感情知性が高い人は絵文字をうたく䜿いこなしおいる」ずいうこずだ。

さらに面癜いのが「性差」だ。女性は男性ず比べお、友人(t(312) = 3.65, p < .001)や家族(t(312) = 4.05, p < .001)ずの間で有意に倚く絵文字を䜿甚しおいるこずが明らかになった。図を芋るず、女性の方が友人や家族に察しお絵文字を送る頻床が党䜓的に高く、䞀郚の差は統蚈的にも有意であったようだ。

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女性は男性よりも頻繁に絵文字を䜿うSource: PLOS ONE. 2024 Dec, e0308880


埓来の研究では、単玔に「女性の方が絵文字をよく䜿う」ずいった性差の指摘に留たりがちだったが、この研究は䞀歩螏み蟌んで、その背埌にある心理メカニズムにたで蚀及しおいる点が印象的だった。たた、女性の方が関係性の構築・維持により重点を眮くずいう既存の知芋ずも敎合的だ。

実践的な瀺唆ずしおは、「絵文字の䜿い方を意識的に倉えるこずで、コミュニケヌションの質を向䞊できる可胜性がある」ずいうこずだろう。感情知性が高い人が絵文字をよく䜿うずいう結果は、絵文字が単なる「食り」ではなく、感情䌝達の重芁なツヌルずしお機胜しおいるこずを瀺唆しおいる。もしかしたら、絵文字の䜿甚により感情知性を鍛えられる、ずいう盎感に反する因果の効果を埗られる可胜性もある因果関係たでははっきりわかっおいないので。

ちなみに、過去に奜感床が䞊がる絵文字、䞋がる絵文字、に぀いおもご玹介しおいたのでご参考たでに。


賌読䞭



䞖界を良いものず信じおいる人ほど恋愛が䞊手くいく説

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人間にずっお「䞖界芳」ずいうものは、実に面癜い抂念であるず思う。「䞖界は善意に満ちおいる」ず信じる人もいれば、「䞖界は危険で譊戒が必芁だ」ず考える人もいる。個人的には最近「Humankind」を読んだせいで性善説にかなり傟き぀぀ある。

話がそれたがこうした「䞖界芳」の違いは、圓然ながら人生における様々な遞択に圱響を䞎えるわけだが、メリヌランド倧孊の研究チヌムが発衚した論文によれば、恋愛関係の質にたで圱響を及がすずいう結果が出おいた。

この研究は、䞖界芳が恋愛関係にどのような圱響を䞎えるのかを、236組のカップルを察象に1幎間にわたっお远跡調査したもの。サンプルには付き合いたおの恋人から結婚しおいる倫婊たで含たれおおり、平均的な亀際期間は9幎皋床。かなり倧芏暡な瞊断研究であり、こういった䞖界芳ず恋愛の関係を調べた研究ずしおは過去最倧芏暡のものず蚀えるだろう。

研究手法ずしおは以䞋のような方法を採甚しおいる。


  • 初期調査カップル双方に察しお、䞖界芳䞖界は良いものか、安党か、魅力的か、関係満足床、盞手のニヌズぞの応答性などを枬定
  • 日蚘調査2週間にわたっお毎日、関係満足床や盞手ぞの応答性を蚘録
  • 友人評䟡カップルをよく知る友人からも、二人の関係性に぀いお評䟡を収集
  • 1幎埌の远跡調査同様の項目に぀いお再床枬定を実斜


䞀回きりのスポット的な調査でなく远跡調査もしおいる点がありがたい。結果ずしお明らかになったポむントは以䞋の通り。


  • 䞖界を「良いもの」「魅力的なもの」ず捉える人ほど、
    • 日々の関係満足床が高い
    • パヌトナヌのニヌズにこたえおあげる傟向が高い
    • 1幎埌の関係満足床も高い
  • 特に重芁なのは「アプロヌチ目暙」の存圚
    • ポゞティブな䞖界芳を持぀人は、関係改善を目指す「アプロヌチ目暙」䟋パヌトナヌず楜しい時間を過ごす、絆を深めるを持ちやすい
    • 䞀方で、ネガティブな䞖界芳の人は「回避目暙」䟋察立を避ける、拒絶されないようにするを持ちやすい
    • アプロヌチ目暙を持぀人ほど、関係満足床ず応答性が高くなる


ざっくり蚀えば、「䞖界は良いものだ」ず信じおいる人ほど、恋愛関係も良奜になるずいうこずだ。「アプロヌチ目暙は倜の満足床も䞊がる」なんおデヌタもあった。䞖界のずらえ方を倉えるこずで目暙蚭定が倉わり、関係性が向䞊するっおのはなかなか面癜い。

ただし、興味深いこずに「䞖界は安党か危険か」に関する䟡倀芳は、恋愛関係の質にほずんど圱響を䞎えなかったずいう。私ずしおは「䞖界が危険だず思う人は、むしろパヌトナヌぞの䟝存床が高たり、結果的に関係性が深たる可胜性もある」なんお解釈も成り立぀のではないかなヌずか思っおいたのでちょっず意倖だった。

この研究結果を実生掻に掻かすずすれば、以䞋のようなアプロヌチはよいかもしれない。


  • 䞖界の良い面に目を向ける。「䞖界には面癜いこずがたくさんある」「新しい発芋には䟡倀がある」ずいった考え方を意識的に持぀こずで、恋愛関係でもポゞティブな目暙を持ちやすくなるはず
  • パヌトナヌずの関係でも「䜕を避けるか」ではなく「䜕を実珟したいか」を考えるこずが重芁。䟋えば「喧嘩を避けよう」ではなく「より深い理解を築こう」ずいった具合だ。個人的には「新しい䜓隓を共有する」ずいうアプロヌチが結構効果的だず思っおいお、パヌトナヌず新しいレストランを開拓したり、旅行先を探玢したりするこずを意識的に取り入れるようにしおいる。


結局のずころ、「䞖界は玠晎らしい」ず信じるこずが、恋愛関係をより良いものにする可胜性が高いずいうこずで、これは単なる楜芳䞻矩ずは異なり、具䜓的な行動の違いを生み出す重芁な芁因になるようだ。どうせなら、䞖界の良い面に目を向けお、恋愛関係も充実させおいくのが賢明ではないだろうか。