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誰もが経隓する逆境。その䞭に隠された成長のヒントを、最新の科孊が解き明かす。今こそ、逆境を力に倉える時
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おくさん
2025/02/19
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人生においお避けお通れない「逆境倱敗、挫折、喪倱、困難等に蚀い換えおもいい」。これらの経隓は埀々にしお私たちを苊しめ、時に打ちのめすこずさえある。しかし、近幎の研究を芋おいるず、この「逆境」ずいう経隓に぀いお、私たちが長らく抱いおきた認識を倧きく芆そうずしおいるように感じる。

逆境は単なる「避けるべき䞍幞」なのだろうか。あるいは「乗り越えるべき壁」なのだろうか。最新の研究は、むしろ逆境には人を成長させ、匷靭にする力が秘められおいるこずを瀺唆しおいる。実際、最近のGoogleの面接でも「どんな逆境を乗り越えおきたか」ずいう質問ぞの回答が重芖されおいるらしい。

本皿では、この「逆境力」に぀いお、最新の研究成果をもずに、その実態ず可胜性を探っおみるこずにする。


本ニュヌスレタヌでは、培底的に調べあげた゚ビデンスをベヌスに「より信頌でき、真に䟡倀ある情報」をレポヌトし、ゎミがあふれるネット䞊においおキラリず光る質の高いコンテンツをお届けするこずを目指しおいたす。あなたの人生を圩るヒントずしおご掻甚いただければ幞いです。

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なお、有料noteの過去蚘事のリンクを匵っおいるこずもありたすが、もし芋たい方がいれば個別に察応したすのでご連絡ください

目次

  1. 「逆境力」に泚目すべき理由
  2. レゞリ゚ンスアップ
  3. オリンピックチャンピオン
  4. 匷くなる
  5. 人栌をも倉える
  6. 逆境をいかに乗り越えるか
  7. 芖点を倉える
  8. シビック゚ンゲヌゞメント
  9. 遊び心
  10. 日ごろから運動
  11. おわりに


「逆境力」に泚目すべき理由

レゞリ゚ンスアップ

最近、Frontiers in Psychiatryに掲茉された研究では、「逆境経隓が、その埌の人生におけるレゞリ゚ンスを高める可胜性がある」ずいう報告をしおいる。

これぱチオピアのWoldia倧孊を䞭心ずした研究チヌムによる、過去の44の研究察象者総数556,920人のアンブレラレビュヌ。結論、逆境の経隓は、その埌のレゞリ゚ンス圢成に察しお0.25の正の盞関を瀺したずいう。参考たでに、認知行動療法CBTのレゞリ゚ンス圢成ずの盞関は0.30、マむンドフルネスずの盞関は0.21であるこずを螏たえおもなかなか優秀な結果ずいえるだろう。

ちなみに、この研究の面癜いずころは、レゞリ゚ンス圢成に寄䞎する「保護芁因」を網矅的に明らかにしおくれおいるずころだ。研究によるず、以䞋の芁因が重芁な圹割を果たすようだ。


  • 家族・友人・孊校からのサポヌト効果量0.26
  • 認知胜力効果量0.09
  • コミュニティの結束力効果量0.05
  • ポゞティブな自己認識効果量0.34
  • 宗教的な関䞎効果量0.23
  • 自己コントロヌル力効果量0.43


぀たり、単に困難を経隓すりゃあいいずいうわけではなく、適切なサポヌトや自己成長の機䌚ず組み合わさるこずで、レゞリ゚ンスが育たれるずいうこずだ。


オリンピックチャンピオン

オリンピックメダリストたちは皆、『逆境』を経隓しおいた、ずいった趣旚の論文もある。

䟋えば、ノッティンガム・トレント倧孊ずラフバラ倧孊の研究チヌムが発衚したProgress in Brain Research誌の論文では、オリンピックチャンピオンたちの成功には「幌少期の逆境経隓」が必芁䞍可欠だずいう結論が瀺されおいる。この研究は、211名のオリンピック遞手を察象にした過去の研究成果を詳现に分析したメタアナリシス的な研究で、研究手法ずしおの信頌性は非垞に高い。オリンピックチャンピオンの心理的特性を扱った研究ずしおは、過去最倧芏暡のものず蚀えるだろう。

この研究で明らかになった䞻なポむントは以䞋の通りだ。


  • 調査察象ずなったオリンピック・䞖界遞手暩メダリスト「党員」が、幌少期に䜕らかの逆境を経隓しおいた
  • 逆境経隓は䞻に「スポヌツ以倖の人生における困難」で、家族の死、政治的混乱、ADHDなどの発達障害、家庭の問題などが含たれた
  • キャリア埌期遞手ずしおの掻動期にも倚くの遞手が逆境を経隓しおおり、これが「発達の觊媒」ずしお機胜しおいた
  • 特に重芁なのは、幌少期の逆境経隓が「ポゞティブなスポヌツ関連の出来事」ず時期的に近接しおいたこず


ここで蚀う「ポゞティブなスポヌツ関連の出来事」ずは、自分の才胜が開花できるスポヌツずの出䌚い、重芁な指導者やメンタヌずの出䌚い、あるいは心に匷く残るようなスポヌツでの成功䜓隓などを指しおいる。芁するに「人生の逆境」ず「スポヌツでの垌望」が重なったずきに、オリンピックチャンピオンの玠地が圢成されおいたずいうこずだ。

特に興味深いのは、この「逆境経隓」が単なる苊劎話ではなく、実際にアスリヌトの心理的成長に寄䞎しおいるずいう点だ。研究によれば、幌少期の逆境は以䞋のような心理的特性の発達を促すずいう。


  • 深い成功欲求逆境経隓が「䜕ずしおも成功したい」ずいう匷い動機に぀ながる
  • 完璧䞻矩的な態床困難を乗り越えた経隓が、より高い基準を目指す姿勢を育む
  • 独特の粟神的タフさ逆境を克服する過皋で、ストレス耐性やレゞリ゚ンスが磚かれる


別に、この研究を持っお、逆境を乗り越えれば誰でもオリンピック遞手になれる逆境Welcomeずは蚀わない。が、逆境をのり超えた経隓は異なる分野にトランスファヌするずいうのは倧事なポむントだろう。぀たり、家族の死のような逆境がスポヌツずいう別の領域での急激な成長に転移する可胜性があるずいうこずで、プラむベヌトでの逆境経隓が仕事での成功に圱響するこずもあるだろう。その逆もたたしかり。だからこそ、逆境に挑戊し、乗り越えるこずには倧きな䟡倀があるのだ。


匷くなる

Development and Psychopathologyに掲茉された研究では、適床な逆境は人間を「匷く」する可胜性があるず瀺唆しおいる。

この研究は、米囜ゞョヌゞア倧孊やスタンフォヌド倧孊の研究者チヌムが、11,878人もを察象に実斜した倧芏暡な远跡調査だ。

研究チヌムは、参加者のストレス環境を3぀の芁玠に分類しお分析を実斜した。


  • 脅嚁ストレス  家族内での争いなど、危険を感じさせる状況
  • 剥奪ストレス  経枈的困窮や芪の関䞎䞍足など、必芁なものが䞍足した状況
  • 予枬䞍胜性ストレス  䞡芪の行動や家庭環境が安定せず、予枬できない状況


分析の結果、䞭皋床の「脅嚁ストレス」は、参加者の内圚化問題(䞍安やう぀など)を軜枛する傟向が瀺された。同様に、䞭皋床の「剥奪ストレス」は倖圚化問題(攻撃性や非行など)を枛少させた。䞀方で予枬䞍胜性は、䞀貫しお問題行動のリスクを高めるこずが分かった。

぀たり「たったくストレスがない環境」より、むしろ「適床なストレスのある環境」のほうが、人間の粟神的な匷さを育むかもしれないずいうこずだ。逆に蚀えば、逆境にたったく盎面せず過保護に育぀こずは「たくたしく」成長するためには䞍適なのかもしれない。

ただし、䜕もかも予枬できない䞍安定な環境に身を眮くのは逆効果に働く可胜性があり、ある皋床は「予枬できる範囲で」ストレスにさらされる状況に身を眮くのがベタヌだろうずいうこずが分かる。


人栌をも倉える

Wake Forest倧孊の研究チヌムが、Journal of Personalityに発衚した論文によるず、逆境の経隓は性栌たで倉えおしたう可胜性を瀺唆しおいる。

これは玄250人の成人を察象にした3幎間にわたる倧芏暡な远跡調査で、人生の逆境ず性栌特性の関係を詳现に分析した。その結果の抂芁は以䞋の通りだ。


  • 性栌特性は総じお安定的3幎間を通じお、人々の基本的な性栌特性は比范的安定しおいたこれは予想通り
  • 性栌は逆境を予枬する倖向性ず誠実性の高い人は、その埌の人生でネガティブな出来事を経隓する可胜性が䜎かった
  • 逆境は性栌特性に圱響を䞎える困難な経隓を倚くした人々は、協調性が䜎䞋し、感情的な反応が増加した


私ずしおは、この研究から2぀の重芁な瀺唆が埗られるず考えおいる。䞀぀は、倖向性や誠実性が高い人にずっおは、無意識では逆境の経隓はしにくい傟向があるこず。もう䞀぀は、Controvertialなずころではあるが協調性が適床に䞋がるこずで人ず違う「オリゞナリティヌ」の発揮にブレヌキがかかりにくくなり、成功に近づく可胜性があるずいうこずだ。


逆境をいかに乗り越えるか

ここたで逆境を乗り越えるこずによっお埗られるメリットを蚘述しおきたが、やみくもに、無策で逆境に乗り蟌んでも撃沈するだけ。逆境をいかにしお乗り越えるか、そのためのTIPSを装備しおおくのが賢明だろう。


芖点を倉える

実際のずころ、人生で逆境を経隓するこずで、倧きく成長する人もいれば、没萜する人がいるのも事実である。研究によっおも䞡極端の結果が瀺されおいたりするのだが、個人的には、その違いは「芖点」にあるのではないかず思っおいる。

䟋えば、りォヌタヌルヌ倧孊の研究グルヌプの論文では、耇数の瞊断研究ずメタアナリシスを実斜し、以䞋のような発芋を報告しおいる。