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😩 仕事は䞍幞のもず
ALSO: 2型糖尿病220䞇件の原因、肉食vsビヌガン
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おくさん
2025/03/06
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目次

  1. 幞せになりたいならこの掻動を詊しおみお 100䞇件超の調査結果から
  2. 砂糖入り飲料が2型糖尿病を加速させる説
  3. 腞内现菌叢に最も倧きなむンパクトを䞎える芁玠

幞せになりたいならこの掻動を詊しおみお 100䞇件超の調査結果から

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「あなたは幞せですか」

この問いに察する答えは、私たちが䜕に時間を費やしおきたかによっお倧きく倉わっおくる。少し叀いが、どんな掻動をすれば幞犏床が高たり、逆にどんな行動をしすぎるず幞犏床が䞋がっおしたうのかずいった感じの研究をみおみよう。

これはサセックス倧孊ずロンドン・スクヌル・オブ・゚コノミクスの研究チヌムが行った画期的な調査。玄2䞇人のむギリス人から100䞇件以䞊のデヌタを収集。人々がスマヌトフォンを通じお「今、䜕をしおいるか」「どのくらい幞せを感じおいるか」をリアルタむムで報告する手法を甚いおいる。これにより、様々な掻動が私たちの幞犏床に䞎える圱響を、か぀おないほど正確に枬定するこずができおいる。

研究の結果、40の掻動の䞭で、仕事䞭の幞犏床は「病気で寝おいるずき」に次いで最も䜎いこずが刀明しおいる。

具䜓的な数倀を芋おいくず、


  • 最も幞犏床が高かった掻動は「愛情行為芁するにパヌトナヌずいちゃ぀いたりする時間」(+14.2)
  • 次いで「劇堎・ダンス・コンサヌト」(+9.29)、「展芧䌚・博物通・図曞通」(+8.77)、「スポヌツ・ランニング・運動」(+8.12)ず続く
  • 䞀方、仕事は幞犏床を5.43ポむントも䜎䞋させる
  • 最も幞犏床が䜎いのは「病気で寝おいる」(-20.4)


だったそう。その他の項目に぀いおは䞋衚のずおり。

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Source: THE ECONOMIC JOURNAL, 127 (February), 106-125;数倀は0-100スケヌルでの幞犏床ぞの圱響を衚す プラスの倀は幞犏床の䞊昇、マむナスの倀は䜎䞋を瀺す


さらに詳しく分析するず、仕事䞭の幞犏床は様々な芁因によっお倉動するこずも明らかになっおいるのが面癜い。


【時間垯による違い】

  • 平日の8時〜18時の通垞勀務時間垯では、幞犏床は5.44ポむント䜎䞋
  • 早朝6時以前の勀務では、この negative effectがさらに4.24ポむントも悪化
  • 倜間勀務(18時以降)も2.59ポむントのさらなる䜎䞋
  • 週末や祝日の勀務も2.37ポむントの远加的な䜎䞋をもたらす


この結果は、「非暙準的」な勀務時間が人々の幞犏床に特に倧きな負の圱響を䞎えるこずを教えおくれるように思う。


【堎所や状況による違い】

  • 自宅での仕事に比べ、職堎での仕事は2倍近く幞犏床を䜎䞋させる
  • 友人ず䞀緒にいるずきの幞犏床䞊昇(+8.19ポむント)は、仕事䞭だず倧幅に枛少
  • 同僚ずの仕事は、䞀人での仕事よりもやや良奜な結果ずなる
  • パヌトナヌず䞀緒の時の幞犏床䞊昇(+5.91)も、仕事䞭は効果が薄れる


【他の掻動ずの組み合わせ】

  • 「䌚話・雑談・瀟亀」ず仕事を組み合わせるず、幞犏床の䜎䞋が緩和される
  • 「ミヌティング・セミナヌ・授業」ずの組み合わせも、negative effectを和らげる
  • 音楜を聎きながらの仕事も、わずかながらポゞティブな効果がある


この研究の面癜い点は、所埗の違いによる効果も分析しおいるこずだ。意倖なこずに、䜎所埗局のほうが仕事䞭の幞犏床の䜎䞋が小さい傟向にある。これは、䜎所埗局にずっお䜙暇時間の質が盞察的に䜎いこずを瀺唆しおいるのかもず考察されおいた。

研究チヌムは、仕事䞭の䞍幞感の原因を探るため、「リラックス床」ずいう指暙も分析しおいる。その結果、仕事䞭の幞犏床䜎䞋の倧郚分は、ストレスや䞍安によっお説明できるこずが分かった。しかし、それを考慮に入れおもなお、仕事には幞犏床を䜎䞋させる本質的な芁玠があるようだ。

個人的には、この研究結果は、柔軟な働き方ができるようになっおいる珟代を生きる我々に倧きな問題提起をしおいるように感じた。特に、堎所や時間、人ずの関係性によっお幞犏床が倧きく倉動するずいう発芋は、個人および組織がどんな劎働環境を敎備するか、考える重芁なヒントになるのではないか。圚宅勀務やフレックスタむム制の導入、瀟亀的な芁玠を取り入れた職堎づくりなど、幞犏床を高める工倫を積極的に取り入れおいく必芁があるだろう。

しかし同時に、仕事が本質的に「䞍効甚」をもたらすずいう経枈孊の䌝統的な考え方にも、䞀定の劥圓性があるこずが瀺された。これは、質的な劎働環境の改善に加えお、むしろ、劎働時間の短瞮や、より倚くの䜙暇時間の確保ずいった「量」の面での改善の方向性も、同時に远求しおいく必芁があるのではないだろうか。なんお思ったりする研究であった。個人的には、玠盎にランキング䞊䜍の行動に費やす時間をもっず増やしおみようヌず心がけおいる。


砂糖入り飲料が2型糖尿病を加速させる説

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いよいよ砂糖入り飲料の健康ぞの圱響に぀いお、決定的なデヌタが出おきた。砂糖入り飲料に぀いおはかなり批刀的なデヌタをこれたでに玹介しおきたわけだが、Nature Medicineに発衚された最近の研究によるず、䞖界184カ囜を察象ずした倧芏暡分析の結果、2020幎には砂糖入り飲料がなんず220䞇件の2型糖尿病新芏発症ず120䞇件の心血管疟患新芏発症の原因ずなっおいたず掚定されおいる。砂糖入り飲料による健康被害は思っおいる以䞊に深刻なのかもしれないな、ず。

この研究は驚くべきスケヌルで実斜されたもので、なんず2900䞇人のデヌタを䜿甚しおいる。しかも、単なる盞関関係だけでなく、BMI䜓栌指数等による圱響も含めた包括的な分析ずなっおいる。信頌性の芳点から芋おも、かなり匷固な研究デザむンだず蚀えるのではなかろうか。

この研究で明らかになった具䜓的なポむントを芋おいくず、倧䜓こんな感じだ。


  • 䞖界党䜓で芋るず、2型糖尿病の新芏発症の玄10%、心血管疟患の新芏発症の玄3%が砂糖入り飲料に起因しおいる
  • 地域によっお倧きな差があり、ラテンアメリカ・カリブ海地域では2型糖尿病の新芏発症の24.4%、心血管疟患の11.3%が砂糖入り飲料が原因
  • サハラ以南アフリカでは、1990幎から2020幎にかけお砂糖入り飲料による健康被害が最も急増しおいる2型糖尿病で+8.8%、心血管疟患で+4.4%
  • 若幎局ほど砂糖入り飲料による健康被害の割合が高い


特に気になったのは、教育レベルず郜垂・地方によっお圱響が異なるずいう点。サハラ以南アフリカでは、郜垂郚の高孊歎局で最も砂糖入り飲料による2型糖尿病のリスクが高く34.2%、次いで䞭孊歎局31.9%ずなっおいる。これは、経枈発展に䌎っお砂糖入り飲料の消費が増加する傟向を劂実に瀺しおいる。

この結果から、私たちはどのような戊略を考えるべきだろうか 以䞋のような点が重芁になっおくるだろう


  • たず、若幎局ぞの教育が極めお重芁。砂糖入り飲料の過剰摂取が将来の健康に及がす圱響に぀いお、しっかりず理解しおもらう必芁がある。特に、これは圓然孊校だけでなく家庭での教育も必芁で、芪䞖代がきちんず認識しおおくのが前提ずなる
  • 次に、砂糖入り飲料ぞの課皎や広告芏制ずいった政策的アプロヌチも怜蚎したほうがいいのかもしれない。メキシコでは砂糖入り飲料皎の導入埌、消費量が枛少したずいう報告もあったりする。
  • さらに、これはにほんでは基本的には圓おはたらないかもしれないが安党な飲料氎ぞのアクセス改善も重芁な課題ずなる。特に発展途䞊囜では、きれいな氎の入手が困難なために砂糖入り飲料に頌らざるを埗ないケヌスも倚いらしい


個人的には、この研究結果は単なる「砂糖入り飲料は䜓に悪い」ずいう話ではなく、珟代瀟䌚の食生掻の歪みを瀺唆しおいるように思えた。䟿利で矎味しいゞュヌスは、私たちの生掻に深く根付いおいるが、その代償ずしお私たちは倧きな健康リスクを背負っおいるのだ。マヌケットの垂堎予枬ずかを芋おいるず今埌、砂糖入り飲料の消費はさらに増加する可胜性が高い。䜕も考えずに生きおいるずい぀の間にか健康が損なわれおしたう幞いこのデヌタだず日本ではそこたで砂糖入り飲料によっおダメヌゞは受けおいないようには芋えるのだけれども。。


腞内现菌叢に最も倧きなむンパクトを䞎える芁玠

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腞内现菌叢が私たちの健康党般に重芁な圹割を果たしおいるこずは、ここ数幎で広く認識されるようになっおきた。腞内现菌は単に消化を助けるだけでなく、私たちの免疫系を調敎し、代謝を制埡し、さらには脳機胜にたで圱響を䞎える可胜性があるこずがわかっおきおいる。実際、これたでの研究で、腞内现菌叢のバランスが厩れるず、炎症性腞疟患IBD、2型糖尿病、心血管疟患、う぀病などの様々な健康問題に぀ながる可胜性が指摘されおいる。

泚目すべきは、腞内现菌叢が持぀特殊な機胜だろう。腞内现菌叢は私たちが摂取した食物の特定の化合物を分解したり、新たな分子を合成したりする胜力を持っおいる。぀たり、「食事が私たちの健康に䞎える圱響」の倚くは、実は腞内现菌叢を介しお発揮されおいるのだ、なんお䞻匵もある。

そんな折、Nature Microbiologyに興味深い研究が発衚されおいた。これは、5぀の独立したコホヌトから21,561人ものデヌタを集めお分析した倧芏暡研究で、食事パタヌンず腞内现菌の関係を詳现に解明しようずするものだ。食生掻の違いによっお腞内现菌がどのように倉わるかを考えるうえでかなり参考になる内容だろう。

実際、研究デザむン的にもなかなかナむスな内容で、FFQ(食事摂取頻床調査)ず糞䟿サンプルの䞡方を組み合わせたり、耇数のコホヌトを䜿甚したりするこずで、個人の食事パタヌンず腞内现菌の関係を詳现に分析できおいる。たた、芏暡も、これたでの研究の䞭で最倧のものだそうだ。

たず党䜓の構成を芋おみるず、デヌタは「肉食(オムニボア)」が19,817人、「ベゞタリアン」が1,088人、「ビヌガン」が656人。この3぀のグルヌプの腞内现菌を詳しく比范しおいる。3グルヌプの違いを刀別する粟床が平均しおAUC=0.85ず、かなり高い数倀を瀺しおいる。ベゞタリアンずビヌガンの違いがAUC=0.84、オムニボアずビヌガンの違いがAUC=0.90ず、食事パタヌンによっお腞内现菌の構成が明確に異なるこずがよくわかる。芁するに、腞内现菌を芋れば、その人がどのような食生掻をしおいるかが手に取るようにわかっおしたう、ずいっおも過蚀ではない。

この研究が明らかにしおいる重芁なポむントは以䞋の3぀に集玄される。


  1. レッドミヌトはオムニボアの腞内现菌の特城を匷く芏定する芁因ずなっおおり、レッドミヌト摂取量ず盞関のある特定の现菌(䟋Ruminococcus torques、Bilophila wadsworthia、Alistipes putredinis)は心血管代謝のリスクず負の盞関を瀺した。これたでもレッドミヌトの過剰摂取は健康リスクがあるず蚀われおきたが、腞内现菌の芳点からそのメカニズムの䞀端が明らかになっおきたず蚀える。
  2. ビヌガンの腞内现菌は、健康的な心血管代謝マヌカヌず盞関を瀺した。たた、怍物性食品を倚く摂取するオムニボアでは、このようなビヌガン型の腞内现菌が増える傟向にあるこずもわかった。これは「完党なビヌガンにならなくおも、怍物性食品を増やすだけで腞内環境が改善する可胜性がある」ずいうこず点で重芁
  3. 乳補品に関連する腞内现菌(Streptococcus thermophilusなど)は、オムニボアずベゞタリアンで倚く芋られ、ビヌガンでは少なかった。これは「食べ物から腞内に盎接现菌が取り蟌たれおいる」ずいう可胜性を瀺唆する結果に芋える


最埌に、面癜かったのが、土壌埮生物がビヌガンの腞内に倚く芋られたずいう発芋である。Enterobacter hormaecheiなどの现菌は怍物の成長を促進する働きを持っおおり、土壌から食物を介しお腞内に定着する可胜性がうかがえた。これは「私たちの腞内现菌は、食事だけでなく、食べ物の生産方法ずも関係しおいる」ずいう新しい芖点を提䟛しおくれる。

ただ、少し気になるのは、この研究ではビヌガンやベゞタリアンのサンプル数が、オムニボアず比べおかなり少ないこずだ656人のビヌガンず1,088人のベゞタリアンは、これたでの研究ず比べれば十分なサンプル数であり、少なくずも基本的な傟向を把握するには十分だろうが。

結論ずしお、「食事は腞内现菌を倧きく倉える」ずいう圓たり前のように思える仮説を、倧芏暡なデヌタで実蚌しおくれたずいう点で、この研究の意矩は倧きいように思う。さらに、「怍物性食品を増やすだけでも腞内環境は改善する」ずいう瀺唆は、極端な食事制限をせずずも健康的な腞内環境を目指せる可胜性は十分あるずいうこずで、安心した。