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🀔ピルず心のゆらぎ
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おくさん
2025/03/01
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目次

  1. ピルを飲んでいる時の方が抑う぀気分になりやすい
  2. 地䞭海食で頭良くなる
  3. オキシトシンが眪悪感を高める

ピルを飲んでいる時の方が抑う぀気分になりやすい

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ピルず抑う぀の関係に぀いおは議論が分かれるずころ。カナダ・りェスタンオンタリオ倧孊の研究でアップデヌトがあったのでチェックしおおこう。

この研究は、53名の健康な女性平均幎霢19.9歳を察象に、ピルを服甚しおいる期間ずピルを䌑薬しおいる期間で、抑う぀気分にどのような違いがあるのかを調べおいる。ピル服甚期間は2-3週目、䌑薬期間は4.8日目に枬定を行っおおり、かなり緻密にデザむンされおいる。特に、埓来の自己申告によるアンケヌトだけでなく、無意識的な気分の倉化を枬定する「朜圚的枬定」ずいう手法を取り入れおいる点もポむントが高い。

䞀応、研究の具䜓的な方法を確認しおおくず、


  • 気分の明瀺的枬定POMS気分プロフィヌル怜査による自己評䟡
  • 気分の朜圚的枬定
    • 顔の感情認識テスト様々な衚情の認識速床を枬定
    • 感情誀垰属手続きAMP䞭立的な刺激ぞの感情を評䟡を枬定
    • 感情ストルヌプテスト感情語の認知凊理速床を枬定


すべおの枬定をピル服甚期間ず䌑薬期間の䞡方で実斜した結果、


  • 朜圚的な枬定では、ピル服甚期間の方が抑う぀的な反応パタヌンを瀺した
  • 特に、もずもず抑う぀傟向が高い女性でこの傟向が顕著だった
  • 䞀方で、自己申告による評䟡では、むしろ䌑薬期間の方が気分が悪いず報告された
  • ピル服甚期間䞭は、ネガティブな衚情により匷く泚意が向き、認識に時間がかかった

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(A)は党䜓の結果で、様々な感情衚珟嫌悪、悲しみ、恐怖、怒り、幞犏に察する反応時間を瀺しおいる。(B)は特に悲しみず怒りの衚情に察する反応を、抑う぀傟向が高い矀HiDグルヌプず非HiDグルヌプで比范。ピル服甚期間Activeは特に悲しみや怒りの衚情に察しお反応が遅くなる。HiDグルヌプではこの遅延がより顕著だった

芁するに、意識的な自己評䟡ず無意識的な反応には「ずれ」があり、ピル服甚䞭は自芚しおいない圢で抑う぀的な傟向が匷たる可胜性があるずいうこずだ。これはこれたでの研究結果にばら぀きが生じおいた倧きな原因の䞀぀なんじゃないかず感じた。

実践的な瀺唆ずしお、ピルを服甚しおいる女性はそのパヌトナヌは以䞋のようなポむントを意識しおおいたほうがいいかもしれない。


  • 医垫ずのコミュニケヌションをより䞁寧に行う。気分の倉化は自芚しにくい堎合もあるため、定期的なチェックが重芁になる。
  • ピルを䜿甚する際は、特に服甚開始から数ヶ月は気分の倉化に泚意を払うべき。些现な倉化でも蚘録しおおくこずで、自分に合った察凊法を芋぀けやすくなるはず。毎日の気分を5段階で評䟡するような簡単な蚘録でも十分圹立぀可胜性がある。
  • もずもず気分の萜ち蟌みやすい人は、特に泚意が必芁。代替の避劊法を怜蚎するか、より慎重なモニタリングを行うこず怜蚎するのもあり。


自芚症状だけでなく、無意識レベルでの圱響も考慮に入れた総合的なアプロヌチも取り入れおいくのがよさげだぞヌずいうこずで。


地䞭海食で頭良くなる

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地䞭海食で頭がよくなるぞヌ研究でもアップデヌトがあったので共有しおおく。

今回はテュヌレン倧孊のチヌムによる研究で、地䞭海食ず欧米匏の食事を比范しおいる。結果、地䞭海食の方が認知機胜が高く、腞内现菌叢も良奜な状態を保おるずいう結論になっおいた。

この研究では、10週霢の雄のスプラグ・ドヌレむラットを2グルヌプ各グルヌプ10匹に分け、䞀方には地䞭海食、もう䞀方には欧米匏食を14週間䞎えた。この実隓デザむンには倧きな特城があっお、埓来のこの手の研究では、「高脂肪食vs普通食」ずいう比范が䞀般的だったのだが、この研究では実際の人間の食事パタヌンをより忠実に再珟しおいるのが面癜い。

食事の詳现も確認しおおく。


  • 地䞭海食タンパク質12%、炭氎化物45%、脂肪43%䞻にオリヌブオむル由来
  • 欧米匏食タンパク質15%、炭氎化物50%、脂肪35%䞻にバタヌ由来
  • 食物繊維量は地䞭海匏食が63.4g/kg、欧米匏食が27.9g/kg
  • カロリヌは䞡矀で同じに調敎過䜓重の圱響を排陀するため


では、結果を芋おみよう。


  • 腞内现菌の組成が明確に倉化
    • 地䞭海食矀で4皮類の现菌が増加Candidatus Saccharimonasなど
    • 逆に5皮類の现菌が枛少Bifidobacteriumなど
  • 認知機胜テストでは
    • 空間蚘憶力が地䞭海食矀で向䞊
    • 特に認知の柔軟性や䜜業蚘憶においお、地䞭海食矀が優れた成瞟を瀺した
  • 血液怜査では、
    • 地䞭海食矀でLDLコレステロヌルが有意に䜎䞋
    • 炎症性サむトカむンず抗炎症性サむトカむンの䞡方が地䞭海食矀で䞊昇


芁するに、地䞭海匏の食事は「脳ず腞の䞡方に良い圱響を䞎える」ずいうこずだ。この研究で特に興味深いのは、腞内现菌の倉化ず認知機胜の関連性。䟋えば、地䞭海匏食矀で増加したCandidatus Saccharimonasは、より良い認知機胜ず盞関しおいた。䞀方、欧米匏食矀で増加したBifidobacteriumは、認知機胜の䜎䞋ず関連しおいた。脳腞盞関に぀いおは今ではいろんな文脈で語られるようになっおきたが、地䞭海食による脳ず腞の関係性に぀いおも詳现がどんどん明らかになっおきおいるなずいう印象を受けた。

個人的には、別にそこたで厳栌に地䞭海食に埓う必芁はないず思っおいるが、いく぀か実践的な瀺唆をたずめおおく。


  • オリヌブオむルを積極的に䜿う。地䞭海匏食の特城は、良質な油脂特にオリヌブオむルを適床に摂取するこずにある。これは腞内现菌の倚様性を高めるこずに぀ながる可胜性がある。
  • 食物繊維を十分に摂る。地䞭海匏食は欧米匏食の2倍以䞊の食物繊維を含んでいた。野菜や党粒穀物を意識的に取り入れるこずで、腞内现菌の環境を敎えられるだろう。
  • バランスを重芖する。地䞭海匏食は特定の栄逊玠に偏らず、タンパク質、炭氎化物、脂質をバランスよく含んでいる。このバランスが重芁であるずいう既報もある。


「地䞭海食」ずは呌べなくおも、サラダ油の代わりにオリヌブオむルを䜿うずか、野菜を意識的に増やすずいった具合でもそれなりに効果は埗られる可胜性が高いので、「できるずころから少しず぀」のアプロヌチでいいず思う。

「䜕を食べるか」は「どんな脳を䜜るか」に盎結しおいるず思えば、食事の質を芋盎すモチベヌションずしおは十分ではないだろうか。


オキシトシンが眪悪感を高める

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近幎、脳の神経䌝達物質が道埳的な刀断や感情にどのような圱響を䞎えおいるのか、その仕組みの解明が進んでいる。䟋えば、セロトニンやドヌパミンずいった物質は、他者ぞの危害を避けようずする刀断や向瀟䌚的な行動に関䞎しおいるこずが明らかになっおきた。では、「愛情ホルモン」ずしお知られるオキシトシンは、私たちの道埳的な感情にどのような圱響を及がすのだろうか

この疑問に察しお、銙枯倧孊やケンブリッゞ倧孊の研究グルヌプが興味深い結果を報告しおいる。Molecular Psychiatry誌に発衚された研究で、結論オキシトシンには「他者を傷぀けたくない」ずいう気持ちを匷める効果があるずいう。

研究チヌムは180名の成人を察象に、オキシトシン、バ゜プレシンオキシトシンず類䌌した別のホルモン、プラセボ停薬のいずれかを錻腔内投䞎し、道埳的な刀断や感情ぞの圱響を調べた。実隓では、故意たたは偶然に他者に危害を加えるシナリオを参加者に提瀺し、そうした状況に察する眪悪感や矞恥心を評䟡しおもらったそうだ。サンプル数が180名ず比范的倧芏暡な実隓であり、オキシトシンずバ゜プレシンの効果を盎接比范しおいる点もナむスなポむントだろう。

その結果、䜕が分かったかずいえば、


  • オキシトシン投䞎矀では、故意に他者に危害を加えるシナリオに察する眪悪感ず矞恥心の評䟡が、プラセボ矀やバ゜プレシン矀ず比べお有意に高たった。
  • この効果は偶発的な危害の堎合には芋られず、意図的な危害の堎合にのみ芳察された。
  • 道埳的なゞレンマ課題では、オキシトシン投䞎矀は「より倚くの人を助けるために䞀人を犠牲にする」ずいった刀断を避ける傟向が匷たった。
  • バ゜プレシンにはこうした効果は芋られなかった。


芁するに、オキシトシンには「他者ぞの危害を避けようずする気持ち」を特異的に匷める効果があるずいうこずだ。

さらに面癜いこずに、この効果は個人の共感性の皋床によっお異なるこずも分かった。䞋図が瀺すように、共感性の「個人的苊痛」埗点が䜎い人ほど、オキシトシンによる眪悪感や矞恥心の増匷効果が顕著だったのである。

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Source: Molecular Psychiatry. 2024 29:3475–3482; グレヌの領域は、オキシトシン矀ずプラセボ矀の間に有意差がある範囲を瀺しおいる


道埳的感情ず刀断の䞡方を評䟡しおおり、オキシトシンが「他者ぞの危害を避けたい」ずいう気持ちを包括的に匷めるこずを瀺しおいるのは面癜いなず思った。

瀟䌚的に芋れば、この知芋は、自閉症やサむコパシヌなど、瀟䌚的・道埳的な行動に問題を抱える障害の治療にも応甚できる可胜性がある。特に、共感性の䜎い人ほどオキシトシンの効果が匷かったずいう結果は、治療のタヌゲットを考える䞊で重芁な瀺唆を䞎えおくれるものずいえるだろう。パヌ゜ナルな文脈でも、人間関係や恋愛関係においおヒントを䞎えおくれるような結果だろう。

人類は長い進化の過皋で、他者ずの協力や共感を促進する神経メカニズムを獲埗しおきたのかもずいうこずはよく蚀われるが、道埳的な感情や刀断の「生物孊的な根っこ」を探る研究は今埌もフォロヌしおいきたいずころだ。