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子育ての科学#2|わが子を「ナイスガイ」にしたいんです!
「両親の喧嘩って子供の成長にどう影響する?」「子供にスマホ見せるのってどうなんすか?」など、一度乗り出したら途中で降りられない「ジェットコースター」を乗りこなすヒントを科学は教えてくれている。
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おくさん
2024/08/28

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「子育て系研究まとめ」の続きデース(前回はこちら)。

本ニュースレターでは、徹底的に調べあげたエビデンスをベースに「より信頼でき、真に価値ある情報」をレポートし、ゴミがあふれるネット上においてキラリと光る質の高いコンテンツをお届けすることを目指しています。あなたの人生を彩るヒントとしてご活用いただければ幸いです。

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目次

  1. わが子を「ナイスガイ」にしたいんです!
  2. ママの笑顔が子どもの心を育てる?妊娠中のポジティブマインドの威力
  3. パパの喧嘩
  4. 体罰は子どもの脳を変える?「叩かない子育て」の重要性
  5. AIアシスタントに潜む思わぬ落とし穴
  6. スクリーンタイムって結局どうすればいいんすか?
  7. テレビ、見せていいの?悪いの?~質と文脈で変わるスクリーンタイムの影響~
  8. パパ・ママのストレス、子どものスクリーンタイムに影響大?
  9. スポーツアニメが子どもの未来を変える?
  10. 次回予告


わが子を「ナイスガイ」にしたいんです!

ママの笑顔が子どもの心を育てる?妊娠中のポジティブマインドの威力

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「子どものメンタルを安定させたげたい!『いいやつ』に育ってほしい!」ってのは多くの親が抱く願いでしょう。最近だと子供でも精神に問題を抱えるケースは増えてますからねぇ。じゃあ親に何ができるんだろう?ってのが気になるわけですが、フィンランドで行われた最近の研究によると、子供が生まれる前からできることはあるのでは?みたいな話になってます。

この研究では、約2,600組の母子を対象に、妊娠中のお母さんの心の状態と、生まれてきた子どもの精神的健康の関係をチェック。さらになんと子どもが18歳になるまで追跡調査したんだとか。すごいですねー。

さて、結果はどうだったかといえば、


  1. 妊娠中にポジティブな気分で過ごしたお母さんの子どもは、精神的な問題が少ない傾向にあった
  2. 好奇心旺盛なお母さんの子どもも、メンタルが安定している傾向があった
  3. 周りのサポートをしっかり受けていたお母さんの子どもも同様の結果に。


って感じ。「えっ、お腹の中にいるときのママの気分が、18歳になった子どものメンタルに影響するの??」と驚く方も多いかもですが、実は、胎児期の環境が子どもの将来に大きな影響を与えることは、他の研究でも指摘されているんですよね。

では、これから妊娠を考えている方や、現在妊娠中の方は、どんなことに気をつければいいのでしょうか?ってことで、以下で推奨されることをまとめておきますのでご参考までに。


  1. ポジティブな気分を大切に:楽しいことや嬉しいことを意識的に確認するようにする
  2. 好奇心を持つ:新しいことに挑戦したり、知らないことを学んだりする
  3. サポートを受け入れる:周りの人の助けを遠慮なく求める
  4. ストレス解消法を見つける:自分に合ったリラックス方法を見つけておく
  5. 専門家に相談する:不安なことがあれば、遠慮なく医師や助産師に相談する


もちろん、「常に前向きでいなきゃ」なんてプレッシャーを感じる必要はなし。妊娠中はホルモンバランスの変化で、気分の浮き沈みがあるのは自然なことですからね。大切なのは、全体的にポジティブな気持ちで過ごすよう心がけることですよーっとこで。


パパの喧嘩

「夫婦喧嘩は犬も食わない」なんて言葉がありますが、子どもの成長にとって両親の喧嘩のインパクトはかなり大。最近の研究によると、特にお父さんの喧嘩の対処法が、子どもの心の成長に大きな影響を与えるかも?ってことが示されてたりします。

ここではアメリカのイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の研究チームが、約4,000組の家族を対象に面白い調査を実施してくれています。研究チームは、父親の夫婦喧嘩の頻度や対処法と、子どもの社会性や感情のコントロール能力との関係を調べたんだそうな。

さて、結果はどうだったかといえば、


  1. 夫婦喧嘩が多い父親ほど、子育てへのエンゲージメントや温かさが低下し、育児ストレスが高くなる傾向に。
  2. その結果、子どもの社会性や感情のコントロール能力にマイナスの影響が見られた
  3. 一方、建設的な方法で喧嘩を解決する父親の場合、この悪影響が大幅に軽減した


てことで、親の喧嘩の仕方で子どもの将来が変わる可能性がある、と。当然のようにも感じますが、実際に子どもは両親の関係性から多くのことを学んでることも科学で示されているんですねー。

とはいえ、夫婦で全く対立が発生しないことはないでしょうから、議論をするときには以下のポイントに注意するとよさげ。


  1. 冷静な話し合いを:感情的にならず、落ち着いて話し合うことを心がけましょう。
  2. 妥協点を探る:お互いの立場を理解し、折り合いをつけることも大切。
  3. 子どもの前での激しい口論は避ける:子どもに不安を与えないよう配慮を。
  4. 解決後のフォロー:喧嘩の後、子どもに「もう大丈夫だよ」と安心させることも忘れずに。
  5. 子どもとの時間を大切に:夫婦関係が難しいときこそ、子どもとの関わりを増やしてみるよう意識する


実際、この研究では建設的な方法で喧嘩を解決する父親は、むしろ子育てにより積極的に関わる傾向があることが確認されていて、複数の方向から子供によりよい効果がみられるんじゃない?と考察されてますね。

もちろん、この研究にも限界はあって、例えば、一時点のデータだけを使用しているため、長期的な影響や因果関係ははっきりとはわからないとか、母親の影響については調査されていないので家族全体のダイナミクスを完全に理解するにはさらなる研究が必要、みたいなところは注意すべきでしょう。

そうはいっても、


  • 夫婦喧嘩そのものは悪いことではない
  • 大切なのは、どう解決するか
  • そして、その過程が子どもたちの大切な学びの機会になっている


ってのは重要な気づきなんじゃないでしょうかー。


体罰は子どもの脳を変える?「叩かない子育て」の重要性


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「体罰は百害あって一利なし」ってのは様々な研究で示されている話。体罰を受けて育った子供はうつや不安症のリスクも高いし行動上の問題も示しやすいし、大人になってからの社会的地位も低くなりがちだし、みたいな様々なデメリットが示されてるんですな。この辺はちょっと調べるだけでもいっぱいデータが見つかるんで割愛しますが、今回は「体罰は脳の働きも変えちゃうんだぞー」というちょっとニッチな角度からチェックしてみましょう。

一例として、フロリダ州立大学の研究を見てみましょう。ここでは、11〜14歳の子ども149人を対象に調査が行われていて、研究チームは、子どもたちの脳波を測定しながら、ゲーム形式の課題に取り組んでもらってます。さらに2年後、子どもたちの不安やうつの傾向もチェックしたんだそう。

その結果、


  1. 体罰を受けていた子どもは、不安やうつの症状が増加。
  2. 体罰を受けていた子どもの脳は、「エラー」に対してより敏感に反応していた。
  3. 一方で、「報酬」に対する反応は鈍くなっていた。


って感じ。体罰を受けることで子どもの脳の反応が変わる、ってわけですな。まーそうだろうなーという感じもしますが、研究チームによると、このような脳の反応の変化が、不安やうつのリスクを高める可能性があるんだそうな。

ということで「こどもに手をあげるのはやめましょう」という当然の結論に落ち着くわけですが、人間なんでちょっとイライラしてしまうこともあるはず(特に自身が体罰を受けて育った場合にそういう衝動にかられやすいことが示されてたりしますね)。となればあらかじめ対策を用意しておくのが大事で「てをあげそうになったら」のIF-THENル―ルを事前に設定しておくのがおすすめ。具体的なTHENのパターンはこんな感じです。


  1. ポジティブな強化:良い行動はどこにあったか?を探すようにしてみる
  2. タイムアウト:問題行動があったら、短時間静かな場所で過ごさせて距離をとる。
  3. 自然な結果:行動の結果を体験させる(おもちゃを乱暴に扱えば壊れる、など)
  4. 話し合い:年齢に応じて、なぜその行動が問題なのか説明する。
  5. モデリング:親自身が手本となる行動を示す。


ってことで、体罰は子どもの行動を一時的に変えるかもしれませんが、長期的には脳の発達にネガティブな影響を与える可能性があるんだなーってのはあらためて頭に入れておいていただくとよろしいかと。


AIアシスタントに潜む思わぬ落とし穴

「アレクサ、今日の天気は?」「Siri、宿題を手伝って」。便利な音声アシスタントを使っている人も多いはず。ただ、最近の研究では、これって子どもの成長を阻害しているのでは?みたいなデータがぽつぽつ発表されてたりするんですよね。

例えば、ケンブリッジ大学のアンモル・アローラ先生の研究が有名で、音声アシスタントが子どもの社会的・感情的発達に与える影響として、主に以下3点が指摘・懸念されてたりします。


  1. 不適切な応答:子どもに危険な行動を勧めてしまうこともある
  2. 社会性の発達阻害:「ありがとう」や「お願いします」を言う必要がない。
  3. 学習プロセスの妨げ:単に答えを与えるだけで、考える過程が省略されてしまう。


要するに、人間の脳が急速に発達する幼少期に、これらのデバイスと過度に関わることで、共感力や批判的思考力の発達に長期的な影響が出る可能性があるんじゃない?って話ですね。

まーそうはいっても便利グッズを簡単に手放すことは難しいのが人情というもの。そこでアローら先生はいくつかのティップスを提示してくれてたりするので、ここでも共有してみましょう。


  1. 使用時間を制限する:一日のうち、音声アシスタントを使う時間帯を決めてしまう
  2. 人間との対話を優先:質問は、まず家族に向けるよう促す
  3. 礼儀を教える:デバイスに話しかけるときも、「ありがとう」「お願い」を使うよう指導、親自身もそうする
  4. 批判的思考を促す:デバイスの回答について、「なぜそう思う?」と子どもに問いかけてみる。
  5. オフラインの遊びを増やす:外遊びや対面でのコミュニケーションの機会を積極的に作る。


もちろん、テクノロジーとの付き合い方を学ぶことも、現代を生きる子どもたちにとっては重要なスキルなんで、音声アシスタントを完全に禁止する必要はなし。結局大切なのは、バランスを取ること、ってわけですな。


スクリーンタイムって結局どうすればいいんすか?

テレビ、見せていいの?悪いの?~質と文脈で変わるスクリーンタイムの影響~

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イメージしやすい話でしょうが、子供たちのスクリーンタイムはここ数十年でかなり伸びているのは間違いないところ。実際、過去30年間、乳幼児を対象としたテレビ番組が増え続けているし、1997年から2014年の間に、0歳から2歳の子どもたちのスクリーン利用時間は2倍になった、みたいなデータもあったりします。

界隈では「2歳までのテレビ視聴は絶対ダメ!」なんて主張もあるんですが、逆に「意外と悪くないのでは?」みたいな話もあって、意外と「スクリーンタイムとの付き合い方」については判断が難しいんですよね。ってことで、今回はいくつか最近のデータを置いておくので、ご参考にしていただければと。

まずは、スマホやテレビ時間も上手に使えば子どもの成長にプラスになる可能性があるぞーって話から。ポーツマス大学とパリ・ナンテール大学の研究チームが、過去20年間に発表された478の研究をまとめてくれた研究をチェックしてみましょう。

要点をいくつかまとめてみると、


  1. 内容が大事:単純に視聴時間を制限するより、何を見せるかが重要。
  2. 年齢に合った内容を:子どもの年齢に適した内容なら、プラスの効果が期待できる。
  3. 一緒に見るのがベスト:親や大人が一緒に見て、対話しながら視聴すると効果的。
  4. バックグラウンド視聴に注意:バックグラウンドで画面がついているのは避けたほうが良い


って感じ。要するに、「スクリーンタイムは善か悪か」じゃなくて、「質」と「文脈」が重要だってわけですな。これを具体的な行動レベルまで落とし込むとすると、


  1. 内容を吟味する:年齢に合った、教育的な内容を選ぼう。
  2. 一緒に視聴する:可能な限り、子どもと一緒に見て、対話を楽しもう。
  3. 視聴後の対話:見た内容について、感想を聞いたり、質問したりしてみよう。
  4. 他の活動とバランスを:スクリーンタイムが他の活動(外遊びや読書など)を奪わないように。
  5. バックグラウンドのテレビをオフに:食事中や遊び中のバックグラウンド視聴は避けよう。


ってとこですね。もちろん、この研究結果を「テレビ漬けでOK」と解釈するのは間違いで、研究者たちも、スクリーンタイムが他の重要な活動(特に社会的交流)に取って代わるべきではないと警告しているんで、その点は注意。

まーこれを見ていて一番大切なのだなーと思ったのは、テレビやスマホを「子守りの代わり」にするべきではないということ。スクリーンは人間関係を「補完」するツールであって、それに取って代わるものではないんだなーと。


パパ・ママのストレス、子どものスクリーンタイムに影響大?

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「子育てのストレスで、つい子どもにスマホを...」なんて経験がある方も多いはず。実際に、研究でもそのような傾向は確認されていて、親のストレスと子どものスクリーンタイムには密接な関係があるんだそうな。

例えば、スイスの研究チームは、3歳以下の子どもを持つ462人の親(主にお母さん)を対象に、約10ヶ月にわたる調査を実施。その結果、いくつかの事実が判明していて、


  1. 親のストレスが高いほど、子どものスクリーンタイムが増加
  2. スクリーンメディアに対して肯定的な親ほど、子どものスクリーンタイムが長い
  3. 特に、ストレスが高く、スクリーンメディアに肯定的な親の子どもは、スクリーンタイムが大幅に増加


って感じ。具体的な数字で見ると、


  • スクリーンメディアに否定的な親:
    • ストレス低→子どものスクリーンタイム約9.5分
    • ストレス高→子どものスクリーンタイム約10分
  • スクリーンメディアに肯定的な親:
    • ストレス低→子どものスクリーンタイム約17.5分
    • ストレス高→子どものスクリーンタイム約28分


って感じで、親のストレスで子どものスクリーンタイムが倍近く増えてたらしい。研究チームは、スクリーンメディアが「現代の新しいおしゃぶり」として機能している、みたいな表現をしていたのが印象的でしたね。

上述の通り、「子守りの代わり」にスマホ・テレビってのはあまり好ましくないんで、親御さんは、


  • まずは自身のストレスを管理する術を学ぶ
  • ストレスを感じた時に子供に提示する遊びの選択肢を再考する(ブロック、外遊びなど)
  • スクリーンメディアへ過度に肯定的になってはいないか


といったところを再確認していただくとよろしいのではないかと。


スポーツアニメが子どもの未来を変える?


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上記を踏まえたうえでいざ子供にテレビ・スマホを見せる、となったとき、何を見せるでしょうか?個人的には「スポーツアニメを見せたらいいんじゃない?」と提案することが多かったりします。実際、これはエビデンスがある話でして、子供の頃に見たスポーツアニメが、大人になってからの健康にも良い影響を与えるってデータが報告されてるんですよね。

例えば、中国の研究チームが1,202人の大人を対象に行った調査があります。研究チームは、子供の頃のスポーツアニメ視聴経験と、現在の運動習慣や精神的健康との関係を調べたんですな。

その結果、


  1. 子供の頃にスポーツアニメをよく見ていた人ほど、大人になってから運動する傾向が高い。
  2. その結果、不安やうつの症状が少ない傾向も。
  3. 特に、アニメを見て実際にスポーツをしていた子供たちに、この効果が顕著だった。


ってことがわかったんだそうな。子供の頃にみたスポーツアニメってかなり長期的な影響があるんでは?って感じますよね。研究チームによると、スポーツアニメは子供たちのスポーツへの興味を引き出し、実際の参加を促す可能性があり、そして、アニメきっかけで始めたスポーツの経験が大人になってからの運動習慣につながり、結果として精神的健康にも良い影響を与えるんだ、と想定しておられます。なるほどねぇ。

といってもむやみやたらにスポーツアニメを見せればいい!ってわけではないのは当然の話で、親としてどうすればいいのでしょうか?についていくつかのアドバイスをまとめておきましょう。


  1. スポーツアニメを積極的に見せる:子供と一緒に楽しむのもいいかも。
  2. アニメと現実をつなげる:アニメで見たスポーツを実際に体験する機会を作る。
  3. 多様なスポーツに触れる:いろんなスポーツアニメを見せることで、子供の選択肢を広げる。
  4. アニメの内容を話し合う:単に見るだけでなく、感想を聞いたり、話し合ったりする。
  5. 適度な視聴時間:アニメ視聴と実際の運動のバランスを取る。


次回予告

長くなってきたので今回はこの辺で。次回も子育て系研究のまとめは続きまして、、

  • いい親子関係を築くには?
  • 親の年齢ってなんか関係ある?
  • 何人兄弟がいいとかある?
  • 妊娠中に気を付けるべきことは?

といったところをお伝えできればと。次回もお楽しみに。

ではまたー。