【オルガズムの科学2025年版】の続きです！

このシリーズでは、男性と女性の「イケる」確率にはかなり大きなギャップがあるけど、その差を埋めるには（要するに女性が「イキやすく」するには）どうすればいいのか？を扱ってます。絶対学校では教えてくれない内容ですけど、グレートな人生を送るうえでは真面目にしっかり勉強しておきたいトピックではないかと思っております。

前回は、

• 人として尊重する
• 「絶頂に達する権利は男女平等」と認識すべし
• イク土台は良い関係性にあり
• 「ワンナイト」vs「付き合っている」
• 友達からの「評判」をあげるのがコツ

といった点を取り上げました。要するに、テクニックやら体位やらを意識するよりも、コンテクスト的なところから見直すのがベターでっせ！って話でしたね。

👫【オルガズムの科学2025年版】科学者が真面目に調べてわかった、女性が“イキやすくなる”条件（前編）
おくさん 2025-04-15

今回もその続きで、さらに社会的・心理的な要素をいくつか検討したのち、お待ちかねのベッドの上でのお話に進みまして、どこを弄るか？体位はどうするか？オイルってどうなのか？といったいわゆる「テク」寄りのトピックを扱っていければと思っております。カップル両者で話し合い、試しながら、自分たちにあった方法を模索するヒントとして使っていただければ幸いです。

本ニュースレターでは、徹底的に調べあげたエビデンスをベースに「より信頼でき、真に価値ある情報」をレポートし、ゴミがあふれるネット上においてキラリと光る質の高いコンテンツをお届けすることを目指しています。あなたの人生を彩るヒントとしてご活用いただければ幸いです。

目次

1. イケるまで「時間かけてもいいんだ」と思えるかどうか
2. 「男らしさ」を傷つけたくないという心理が邪魔をする
3. ユーモアのセンス
4. 女同士の方がイケる率が高い問題〜アソコの刺激が鍵
5. イケる体位
6. オーガズムと性的満足度がアップするかもなオイル
7. カラダの感覚に気づける女性はイきやすい
8. 走れば走るほどイキやすくなる!?
9. 靴下をはいたままベッドイン
10. おわりに：オーガズムは権利であり、科学的に探求すべきもの

イケるまで「時間かけてもいいんだ」と思えるかどうか

前回紹介したミシガン大学の研究で、

• ①「自分自身がオーガズムに達しようと意識していること」と②「パートナーが自分をオーガズムに導いてあげようと意識していること」の両方がオーガズムに達する確率と性的満足度の向上につながる

ってなデータがありましたな。そのほかの研究をみていても、「女性は自己成就予言がオルガスムの経験を妨げる」なんて報告は複数ありまして、女性がオルガスムに達するにはまず女性自身のモチベーションを高めなければいけないわけです。

で、The Journal of Sex Researchに掲載されたラトガース大学の研究では、

• 女性がオーガズムを追求するかどうかは、環境要因や相手の態度によって大きく左右される！

ってことが示されてます。特に、女性が「このセックスはすぐ終わるだろうな」と思ってると、オーガズムのモチベーションが下がっちゃうんだそうな。逆に「時間はたっぷりあるからゆっくり焦らずいこう」と思える状況だと、オーガズムのモチベーションが高まる、と。自己啓発的に「イケると強く信じればイケる！」みたいな話では決してなくて、やっぱりコンテクストから整えていくことが大事なわけですね。

研究の手法はシンプルで、ヘテロセクシャルの女性たちに「架空のセックスシナリオ」を読んでもらって、その状況でどれくらいオーガズムを追求するか／達成できそうかを回答してもらったそう。研究チームはシナリオの中の変数として、

• 性行為にかけられる時間（20分 vs 数時間）
• パートナーの態度（女性の快楽重視 vs 自分本位）

といった要素を変えてみたらしい。

で、結果的に何が分かったかといえば、

• 「性行為の時間が十分にある」と思った女性は、オーガズムを追求する傾向が強かった
• 「パートナーが自分の快楽を優先してくれる」と感じた女性も、オーガズムを追求する傾向が強かった
• 逆に「時間が限られている」「パートナーは自分の満足しか考えてない」と感じると、女性はオーガズムを諦めがちになっていた

ってことがわかったらしい。忙しい現代人にとってはちょい難しいところかもしれないですけど、「この後は予定がないからゆっくりできる」ってのは女性にちゃんと伝えておいてあげたほうがいいのかもしれませんね。「この後も仕事があるのでは？」「早く終わらせたいと思ってるのでは？」って疑念が「イク」ための邪魔になってしまうかもしれないんで。

ちなみに、この研究の面白いところは、「目標追求」の一般的な心理メカニズムがセックスにも適用されてるって点です。研究を率いたGrace Wetzel先生（SNSでも「オーガズム平等」を提唱してる方）によれば、「目標追求の強さは、結果の価値と、それが達成可能だと思う度合いで決まる」んだそうな。つまり女性にとってオーガズムが重要で、かつ達成可能だと思えれば、より積極的に追求するようになるってわけですな。

もちろん、オーガズムがセックスの唯一の目標じゃないってのは研究でも示されてますけど、女性がオーガズムを一つのゴールとして追求すると、実際に達成する確率も上がるし、オーガズムに達することが性的・関係満足度の向上と関連するってデータは多いんで、大きな価値があるってのはまず認識したほうがいいんでしょうね。

我々男性としては、「イカなきゃ」ってプレッシャーをかけるのは逆効果なので要注意ですが、「あなたの快楽を大切にしたい」「ゆっくり時間をかけて気持ち良くなりたい」っていうメッセージを、言葉と行動の両方で伝えるのがポイントなんでしょうねぇ。

「男らしさ」を傷つけたくないという心理が邪魔をする

続いても心理的なポイント。Social Psychological and Personality Science誌に発表されたタンパ大学の研究によると、「男らしさを傷つけたくない」って心理がオーガズムを偽る行為に関連してるぞ！ってこともわかってます。

この研究でのキーコンセプトは「precarious manhood（不安定な男らしさ）」ってやつ。これは「真の男性」としての地位は獲得するのが難しいくせに、失うのは簡単だという信念のことですね。つまり「男は常に自分の男らしさを証明し続けなきゃいけない」みたいな社会的プレッシャーがある、という話。

研究チームはこの信念が女性のオーガズムと関連していることを検証するため、3つの実験を実施。結果的に何が分かったかといえば、

• パートナーよりも多く稼いでいる女性は、稼ぎが少ない女性と比べて2倍の頻度でイッたふりをしていた
• パートナーの「男らしさの不安定さ」を高く認識している女性ほど、性的ニーズを伝えることが少なく、イッふりをする傾向が強かった
• 「男らしさが脆い」男性パートナーを想像するよう指示された女性たちも、正直なセックスコミュニケーションをする可能性が低かった

って感じだったそう。多角的なアプローチによって、「男性の男らしさはもろい！慎重に扱ってあげないと！って思ってる女性ほどオーガズムを偽る傾向が強いみたいよ！」ってことが示されたわけですね。

この研究で重要なのは、脆弱な男らしさの認識とイッたふり関連性は「コミュニケーション不安」によって部分的に説明されていた点でしょう。つまり、「彼に正直な性的フィードバックを伝えてしまうと彼の男らしさを傷つけてしまう」って感じてる女性ほどパートナーとのコミュニケーションに不安・困難を感じ、正直なコミュニケーションをしづらくなってしまうんだ、と。で、こういった不安が高い女性ほど、「セックス中に何が気持ちいいか」を伝えにくくなってるという連鎖反応が起きているみたいなんですな。

当然、女性が男性の脆弱性を過剰に解釈している可能性も十分あるんで、男性のプライドを守るつもりが、結果的に女性自身の満足を犠牲にしてるってことで、なんとも悲しい話っすね。

研究チームは男性向けにこんなコメントをしておられます。

もしあなたがパートナーの反応に不安を感じていることに気づいたら、なぜそう感じているのかを慎重に検討し、積極的に会話の一部に取り入れてみて下さい。

ちゃんと言葉にしてコミュニケーションとろうぜってなアドバイスは、男性にも女性にも同様に当てはまりそうですね。

ってことで、あなたが女性であれば、「男だから○○」と決めつけずに、個人として見る視点は大事にすべきだし、男性であれば、「もっとこうしてほしい」と言われても「俺の男としての価値が否定された！」って受け取る前にどうしてそう思ったのか聞いてみる姿勢が大事ってとこでしょう。

結局のところ、いい関係性を築くには、寝室内外でのコミュニケーションが肝要なんでしょう。「セックス中に言いにくいこと」も、日常会話の延長で話せる関係性を作っていくのが理想なんじゃないかなーとか思いましたねー。

（👇カップルのコミュニケーションに関して激しくおすすめの本）

夫婦・カップルのためのアサーション: 自分もパートナーも大切にする自己表現

ユーモアのセンス

「ユーモアが大事よね！」ってのは過去にも繰り返しお伝えしてきた話。

• 【ユーモアの秘めし力】女性のユーモア、ストレス解消にユーモア、ウェルビーイングとユーモア、知能とユーモアetc.
• 職場でのユーモアに隠された意外な科学
• （良くも悪くも）人間関係を大きく左右する【ユーモア】を学んでおこうぜ！
• おすすめ書籍：ユーモアは最強の武器である: スタンフォード大学ビジネススクール人気講義

  
  

ユーモアの秘めたるパワーについては話しても話しきれないようなトピックですが、最近の研究によると、男性のユーモアが女性の「イケる」確率まで引き上げるぞ！ってことまで報告されていたりします。

例えば、ニューヨーク州立大学オルバニー校のGordon Gallup博士が行った研究が有名。

研究では、男性と恋愛関係にある女子大生を対象に、オーガズムの頻度や強度と、パートナーの特徴との関連性を調査。

その結果として、まず、女性がペニス-膣性交でオーガズムを経験する頻度には、以下のような要因が関係してることがわかったそう

• パートナーの収入（r = .291）
• パートナーの自信の高さ（r = .270）
• パートナーの魅力度（r = .411）

さらに、オーガズムの強度に関しては、

• パートナーへの魅力度（r = .427）
• 週あたりのセックス回数（r = .275）

ってな感じで相関が出たそう。つまり、女性はより魅力的で、収入が高く、自信に満ちたパートナーとのセックスでより頻繁にオーガズムを経験する傾向にあるってことですね。この結果は、進化心理学的に考えると「良い遺伝子を持つ男性」「リソース獲得能力の高い男性」とのセックスで体が強い快感を与えることで、そういう男性を選ぶよう促しているんじゃないか？って解釈がなされてたりします。

さらに面白いのが、「パートナーのユーモアのセンス」が上記の様々な要素と関連していた点。つまり、ユーモアのセンスが高いと評価されたパートナーは、

• 自信が高い（r = .276）
• 収入が高い（r = .291）
• 女性がセックスを自ら始める頻度が高い（r = .294）
• そのパートナーとのオーガズム頻度が他のパートナーより高い（r = .408）

https://doi.org/10.1177/147470491401200507 

なんて結果も出たそう。これも、「良いパートナー選びのフィードバック機能としてのオーガズム」の観点から説明されてまして、「ユーモアのセンス」って実は知性の代理指標になってるんじゃないか？って仮説が立てられてます。頭の良い男性ほど笑わせる能力が高く、それがリソース獲得能力および収入にも結びついてるんじゃないか、と。「ユーモアは最強の武器である」あたりを読んだ方ならかなり納得の話しじゃないでしょうか。

ちなみにこの研究では、性的満足度に関しても、パートナーへの身体的魅力、肩幅、オーガズムの頻度・強度などが影響してることがわかったそう。面白いのは、「彼をどれだけ愛しているか」という評価よりも、「彼がどれだけ魅力的か」「オーガズムの強度・頻度」のほうが性的満足度との相関が高かったこと。うーん、ロマンチストには少々厳しい研究結果かもしれませんな。

まあ肩幅とか収入はそう簡単に変えられないとしても、「ユーモアのセンス」は意識してみてもよいかもしれませんね。過去の記事でも繰り返し述べている通り、ここでいう「ユーモア」はお笑い芸人レベルのものは決して求められていないんで。

女同士の方がイケる率が高い問題〜アソコの刺激が鍵

「オーガズムギャップ」の数値を再確認しておきましょう。

• 男性が性行為でイク確率は約95%
• 一方女性は65%ほど

これは男女で性交渉を行った場合の数字ですが、面白いことに、女性同士のカップル（レズビアン）だと、オーガズムに達する確率がグンと上がって86%くらいになるっていう研究結果があったりするんですよ。つまり「女性がイケないのは生物学的な問題じゃなくて、セックスの"やり方"に問題がある」んじゃないか？と考えられたりするわけです。

この謎を解明すべく、ラトガース大学の研究チームが、Social Psychological and Personality Science誌に面白い論文を発表しております。

研究チームは2つの調査を実施。まず第一の調査では、ヘテロセクシャル女性（59.5%）とレズビアン女性（40.5%）、合計476人を対象に性行為に関するアンケートを実施。

結果、まずオーガズムの重要性に関しては、両グループ間で差がなかったそう。つまり、ヘテロもレズビアンも「イクことは大事」と思ってるわけです。ここ大事。

しかし、実際の体験には明らかな違いがあって、レズビアン女性はヘテロ女性よりも「クリトリス刺激」をより多く受けていると報告してたんですよ。そして、このクリトリス刺激の増加が「オーガズムへの期待」や「オーガズム目標の積極的な追求」と密接に関連してたそう。

つまり単純化すると、こんな感じの連鎖が起きてるってこと

✅レズビアン女性 → より多くのクリトリス刺激 → オーガズムを期待 → 積極的にオーガズムを追求 → より多くオーガズムを経験

✅ヘテロ女性 → クリトリス刺激が少ない → オーガズムをあまり期待しない → あまり積極的に追求しない → オーガズムに達する確率が低い

これを確認するために、研究チームは第二の実験も行ってます。これは481人のバイセクシャル女性を対象に、架空のシナリオを読んでもらうというもの。参加者はランダムに2つのグループに分けられ、それぞれ「ロマンチックなディナーの後、ベッドルームに移動して性的な行為が予想される」というシナリオを読んでもらってます。違いは、パートナーが男性か女性かというところだけ。

すると、女性パートナーを想定したグループの方が、クリトリス刺激やオーガズムへの期待・予想がずっと高かったんですよ。これは性的スクリプト（性的状況での反応の仕方として社会的に学習したパターン）が、パートナーの性別によって大きく異なることを示していることがよくわかりますね。

結果を受けて研究チームは、

女性パートナーを持つ男性/女性が、自分自身またはパートナーのオーガズムを増やしたいなら、クリトリス刺激を含む多様な性行為を通じてオーガズムの追求を促す環境を作るべき。
（中略）
これらの結果は、男性とのセックスが本質的に劣っているとか、男性が『下手な愛人』だという意味ではない。問題は、ヘテロセックスに関連する支配的な性的スクリプトが、十分なクリトリス刺激や女性の快楽への十分な焦点を含んでいないことだ

とのこと。要するにコンテクストとやり方の問題なんだ、と。

考えてみれば、この研究結果はかなり納得いくところがあるでしょう。ヘテロのセックスは、往々にして「挿入」に焦点が当てられがちで、クリトリス刺激はおまけみたいな扱いになることも多い。しかし解剖学的に考えると、女性のオーガズムにはクリトリスの刺激が重要なのは明らかですからねぇ（この点については「オルガスムの科学」をどうぞ）

この研究で面白いのは、「性的スクリプト」という概念が鍵を握ってるってところ。私たちは無意識のうちに「男女のセックスはこういう流れでやるもの」「レズビアンセックスはこういうもの」みたいな台本を頭の中に持っていて、それに従って行動してるわけです。で、その台本の中に「クリトリス刺激」がどれだけ重視されているかが、オーガズムの頻度に大きく影響するって話。

そう考えると、ヘテロカップルでも、この「台本」を書き換えれば状況は改善する可能性が高そう。「挿入だけがセックスじゃない」「女性もオーガズムに達する権利がある」といったこれまで触れてきた「コンテクスト」の話を改めて認識して、クリトリス刺激をより中心に据え、じっくり時間をかけた性行為を心がければ、女性のオーガズム率はもっと上がるんじゃないでしょうか。

イケる体位

どんな体位を選ぶかで「イク確率」が大きく変わってくるぞ！っていう研究結果もチェックしておきましょう。

まず基本的な事実としてお伝えしておくと、クリトリス刺激なしの膣挿入だけでは、女性の59%が「半分以上の性交でオーガズムに達しない」と報告してたりします。一方で、クリトリス刺激が加わると、オーガズム率は大幅にアップすることが分かってまして、基本的には自然とクリトリスに刺激がいく体位を選択するのがよいでしょう

実際、研究によると、特に3つの体位が女性のオーガズム確率を上げることがわかってまして、その共通する理由の一つが「自然とクリトリス刺激が得られやすい」ってことだったりするんですよね。では早速三つの体位をチェックしてみましょう。

まず一つ目の体位は、「女性上位・正面向かい合わせ」の体位。俗に言う「カウガール（騎乗位）」っすね。この体位のメリットは、クリトリス刺激が多いだけでなく、女性側が挿入の速度や深さをコントロールできるってこと。それに単純に「上に乗ってる感覚」が好きな人もいるんじゃないかと考えられてます。

これはチェコの11,000人以上のヘテロセクシャル成人を対象にした最近の研究でも裏付けられてまして、参加者に13種類の性的体位でのオーガズム頻度を尋ねたところ、騎乗いが明らかにイキやすい傾向を示したらしい。

ちなみに、この研究で最も頻繁に使用されていた体位は「正常位」だったものの、これは女性のオーガズムの一貫性とは関連がなかったそう。つまり、みんなが一番よくやる体位は、実は女性がイクのにはあんまり効果的じゃないかもしれないっぽい。これまたコミュニケーションの課題を感じさせられますねぇ。

（👇参考：みんなの好きな体位）

二つ目の効果的な体位は「座位・正面向かい合わせ」。いわゆる対面座位で、これもオーガズムの一貫性と関連していたそう。

このカウガールと対面座位の両方が効果的な理由は、体の位置関係によってクリトリスがパートナーの体と直接接触したり、摩擦を受けやすくなるから、らしい。

一方で、男が大好きな「後背位（ドギースタイル）」は、女性のオーガズムの一貫性が低くなる傾向があったそうです。これは、男性パートナーの陰嚢が特別大きくない限り、手やセックストイを使わないと直接的なクリトリス刺激の機会が少ないからだと考えられてます。

３つの体位が、「コイタル・アライメント・テクニック（CAT）」ってやつ。難しい名前ですが、要は「修正版正常位」みたいなものです。

やり方を頑張って説明してみると、こんな感じ：

1. 男性パートナーが陰茎の根元が相手のクリトリスに触れるまで体を前に傾ける
2. そして両パートナーは、陰茎とクリトリスの接触を常に維持するために骨盤を前後に揺らしたり、ロックしたりする
3. ポジショニングには、男性パートナーが普通の正常位から骨盤に覆いかぶさるような位置にシフトすることがポイント

言葉で説明するとややこしいですが、要するにCATは通常の正常位の「出し入れ」パターンとは違って、「協調的な骨盤の動き」が必要になる体位ですね。

ハングルで恐縮ですが、イメージはつかんでいただけるかと。https://m.post.naver.com/viewer/postView.nhn?volumeNo=31084237　　

とにかくこの章でのキーポイントは、最も頻繁に使用される正常位やバックが、女性にオーガズム体験をもたらしやすいものではないということ。つまり、「オーガズムギャップ」を埋める簡単な方法の一つは、新しい体位を試すことかもしれません。

個人的には、なんでこういう基本的なことが学校で教えられないんだろう？って思ったりしますね。性教育といえば避妊とか病気の話で終わっちゃって、肝心の「お互いが気持ちよくなる方法」については全然触れないじゃないですか。これじゃあ若いカップルは独学で試行錯誤するしかないわけで…。ネットで情報を得るにしてもポルノだと正しい知識が得られないですしねぇ。

まぁとにかく、体位についても「クリトリス刺激が得られるかどうか？」を意識してみようぜってことで。

オーガズムと性的満足度がアップするかもなオイル

こっからは小ネタ的な話をいくつかサクッと紹介しておきます。まずは「飲んでおくとイキやすくなる（かもよ）！」なオイルについて。

結論から言えば、そのオイルというのが「月見草オイル」ってやつ。 これはPMSの症状緩和や更年期障害の改善に使われるハーブサプリなんですが、最近の研究では、オーガズムに達する率も上げてくれるかも？ってことが報告されていたりします。

そもそも月見草オイルってなに？ってとこについて簡単に説明しておくと、これは月見草という植物の種子から抽出された油のことで、リノール酸（60-65%）とガンマリノレン酸（7-14%）という多価不飽和脂肪酸がたっぷり含まれてます。特にガンマリノレン酸は、直接プロスタグランジンに変換される成分。

で、このプロスタグランジンってのが重要でして、こいつには血管の拡張作用があり、また子宮や卵管の収縮を刺激するんですよ。これらの作用が女性の性的反応を高める可能性があるというわけ。とくにプロスタグランジンEは子宮や卵管の収縮を促進することで、オーガズム時の感覚を強める効果があるんじゃないかって推測されてたりします。

さて、この研究ではどんなことをしたのかというと、若い女性110人を対象に、二重盲検法で検討を実施。介入群の女性たちは1日1000mgの月見草オイルカプセルを8週間毎日飲み、対照群は見た目が全く同じプラセボカプセル（中身はパラフィン）を同期間飲んでもらってます。そして介入前、介入4週間後、8週間後に「女性性機能インデックス（FSFI）」というアンケートを使って性機能を評価したらしい。

結果はというと、介入群の性機能スコアが介入前と比較して有意に向上したんだそう。総合スコアは介入前が22.62だったのに対し、4週間後には24.96、8週間後には27.02まで上昇したとのこと。

https://doi.org/10.1016/j.sexol.2022.07.002　　

さらに上の表を詳しく見ていくと、性機能の6つの次元（欲望、興奮、潤滑、オーガズム、満足度、痛み）のうち、特に「オーガズム」と「性的満足度」の次元で、介入群と対照群の間に統計的に有意な差が見られてることが分かります。

オーガズムのスコアは介入前の3.67から8週間後には4.30まで上昇し、性的満足度のスコアも3.52から4.46まで上がってますね。これは結構大きな改善だといってよいでしょう。

まあまだまだ限界も多い研究ですが、「何か特別な技術や道具を使わなくても、サプリメントを飲むだけでイケる確率が上がるかも」っていうのは、なかなかワクワクする内容ではないでしょうか。現時点では、副作用も少ないし選択肢の一つとして検討してもいいかもなーくらいの位置づけでしょうね。

特に「イキにくい」とか「性的満足度が低い」って悩みを持つ女性にとっては、試してみる価値はありそうな気がしますね。

ただ、もちろん「サプリメントだけで全てが解決！」なんてことはなくて、パートナーとのコミュニケーションや心理的な要素も女性の性的満足度には大きく影響するのはこれまでさんざん確認してきた通り。オイルはあくまで「選択肢の一つ」として考えるのが良いかと。

一応おすすめのサプリはこちら。ご興味あれば。

カラダの感覚に気づける女性はイきやすい

「内受容感覚（インテロセプション）」って言葉を聞いたことがある人もいるかもしれません。これは、自分の体の内側から来る感覚を感じ取る能力のことで、例えば、お腹が空いた感じとか、喉が渇いた感じとか、心臓のドキドキとかを敏感に察知する能力っすね。最近の研究によると、この内受容感覚が女性のオーガズムと深い関係があるかもしれないと報告されていたりします。

例えば、イギリスのエセックス大学とサセックス大学の研究チームが『Brain Sciences』に発表した最近の論文によると、内受容感覚への気づきが高い女性ほど、オーガズムの頻度と満足度が高い傾向があったんだそうです。研究の中を少し深ぼってみましょう。

まず面白い発見の一つが「女性は一般的に、パートナーとのセックスよりも自慰のほうがオーガズムに達する頻度が高く、満足度も高い」という点。研究では318人の女性を調査したところ、自慰でのオーガズム頻度の平均は65.46%だったのに対し、パートナーとのセックスでは44.49%だったらしい。やっぱり男性に比べるとかなり低いですねぇ。

で、この研究のメインの焦点である女性の「内受容感覚への気づき」について。研究チームは「多次元内受容感覚認識評価（MAIA）」という尺度を使って、内受容感覚のさまざまな側面を測定したところ、内受容感覚の中でも特に3つの要素がオーガズムと関連していることがわかったらしい

1. 「気づき（Noticing）」：体の感覚に気づく能力のことで、これが高い女性は自慰でもパートナーとのセックスでも、オーガズムの頻度が高かった。つまり「あ、今こういう感じがする」って自分の体の微妙な感覚に気づける女性ほど、イきやすい、と
2. 「注意調整（Attention Regulation）」：体の感覚に注意を向け続ける能力のことで、これが高い女性は特に自慰でのオーガズム頻度と満足度が高かった。しかしパートナーとのセックスではそんなに関係なかった。これはパートナーがいると「相手のことも考えないと」という気持ちから、自分の感覚に集中しにくくなるからかもしれない
3. 「体への信頼（Body Trusting）」：自分の体を安全で信頼できるものと感じる度合いのことで、これが高い女性は単独でもパートナーとのセックスでも、オーガズムの満足度が高かった

面白いのは、パートナーとのセックスではオーガズムの頻度を予測するのは「気づき」だけだったのに対して、満足度を予測するのは「体への信頼」だけだったって点。パートナーとのセックスでは「自分の体の感覚に気づくこと」と「自分の体を信頼すること」の2つがそれぞれ別の形で重要ってことですね。

さらに私が個人的に面白いと思ったのは、内受容感覚と女性のオーガズムを結びつける生物学的なメカニズムについても論文では触れられていたこと。なんでも、オーガズムは解剖学的にも神経学的にも「内受容感覚」としての特徴を持っているらしいんですよ。特に「C線維」というのが関係していて、これは感情的なタッチ体験に関わる神経線維だそうです。

また、迷走神経も内受容感覚とオーガズムを結びつける重要な役割を果たしているみたい。迷走神経は子宮頸部や子宮を支配しており、これらはオーガズム時の刺激や子宮収縮に関連してます。解剖学的に考えると、「内受容感覚が敏感な人=オーガズムも感じやすい人」という図式は理にかなってるわけですな。

となると気になるのが「どうやったら内受容感覚を鍛えられるか？」という話でしょう。これについては詳細を話し出すとまた長くなるので、ご要望があれば今後まとめたいと思います（以前に私も数か月トレーニングしてみたことがありましたが、結構自分でもわかるくらい改善が見られたので、オーガズムに問題がなかったとしてもやってみる価値はあるんじゃないかと）。簡単にリストアップだけしておくと、

• 心拍数検知トレーニング
• • 自分の手を使わずに心拍数を数えるタスクを繰り返し行い、その結果について詳細なフィードバックを受ける方法
• マインドフルネス（特に身体感覚への集中）
• • 体内で起こる変化（呼吸、心拍、胃の動きなど）に意識を向けるマインドフルネス瞑想。特に身体的な感覚に注意を向けるプログラムが、内受容感覚の向上に有効
• 運動（有酸素運動・筋力トレーニング）
• • 定期的な運動は、脳が受け取る内受容的シグナルの性質を変化させ、身体の変化をより正確に読み取れるようにしてくれる。有酸素運動だけでなく、筋力トレーニングも有効とされている
• 内受容感覚訓練（Interoceptive Training）
• • 体系的なプログラムとして、内受容感覚の精度を高めるための訓練法が開発されており、脳の特定回路（前部島皮質など）を変化させることがfMRI研究で示されている
• バイオフィードバック
• • 心拍や呼吸など体内の状態をリアルタイムで可視化し、その変化に意識的に注意を向けることで、内受容感覚を鍛える方法。仮想現実やアバターを使った実験的なアプローチも研究されている

といった感じっすね。特に、マインドフルネスについては、最近は「セクシャルマインドフルネス」なんて議論もあったりします。カップル両者のセックス中のマインドフルレベルがイケる確率と関連しているぞ！なんて報告も増えてきてるんですよね。これについては過去にNoteを書いているのでこちらも参考まで。

また、内受容感覚について書籍で学びたい方には、アニー・マーフィー・ポール先生の「脳の外で考える」がはげしくおすすめ。記憶力とか創造力とか、日常生活の様々な文脈で使えそうなヒントが盛りだくさんなんで。

とにかく、「もっと自分の体の感覚に気づけるようになろう」と意識したほうが、結果的にはイキやすく満足度の高いセックスライフにつながるかもしれない、ということで。パートナーと一緒にトレーニングしてみるのもいいかもですねー。

内受容感覚がメインの焦点ではないのですが、こちらのイベントも何かしら参考になるところがあるかもしれません。ご興味あればご参加くださいませー。

【5/9(金)14:30-17:35】東京大学AIセンター連続シンポジウム 第21回「超身体性」の創発――道徳観の構成論的理解とAI実装に向けて（ハイブリッド開催）

走れば走るほどイキやすくなる!?

前章で、運動で内受容感覚が鍛えられるぞ！てな話にさらっと触れましたが、運動によって直接的にイキやすくなる効果も期待されてたりします。

例えばイスラエルのベン・グリオン大学の研究チームがInternational Urogynecology Journalに発表した論文によると、ランニングが女性のオーガズムの頻度と強度を高める可能性がある！と報告してます。

この研究では、週に少なくとも1回ジョギングする180人の女性を対象に、彼女たちのセックスライフとの関連性を調査。参加者を「週に12マイル（約19キロ）以上走るグループ」と「12マイル未満のグループ」の2つに分けて比較したところ、長距離を走るグループのほうが、28%も高い確率で「より良いクライマックス」に達し、オーガズムの強度も3分の1ほど高いという結果が出たらしい。

なぜランニングがオーガズムの質を高めるのか？ 研究チーム曰く、

クリトリスへの血流改善、骨盤底筋の強化、自尊心やボディイメージの向上、またはこれらの組み合わせによって説明できるかもしれない

とのことで、身体的、心理的、社会的な複数の要因が複合的に絡んだ結果じゃないかってことですな。ちなみに、骨盤底筋は女性の性的快感と密接に関わっている筋肉で、オーガズム時の収縮にも関係することが知られています。なんで、この筋肉が強化されれば、オーガズムの頻度・強度が増す可能性があるってのは納得でしょう。

まあこの研究だけでは因果関係は謎ですけど、心血管系の健康改善、ストレス軽減、エンドルフィン放出のついでくらいにとらえながら「セックスライフも向上するかも？」くらいで運動もやってみるとよいのではないかと。ゲーゲル体操とかは若干難しいんで、ランニングとかで同じ効果が得られるならうれしいですよねぇ。

靴下をはいたままベッドイン

みなさん、セックスのとき靴下はどうしてますでしょうか？ 「当然脱ぐでしょ」って思った方が大半かもしれません。しかし実は「靴下はいたまま」のほうが、オーガズムの確率が上がるかもしれないという研究結果があるんですよ。

この主張の大本は、オランダのフローニンゲン大学の神経科学者ゲルト・ホルステージ氏によるもの。2005年に欧州ヒト生殖発生学会で発表された研究で、彼のチームは性的刺激中の脳活動をPETスキャナーで調べたところ、スキャナーの中で被験者を快適にするために靴下を履かせたところ、「冷たい足」が気にならなくなって、なんとオーガズムの確率が上がった、と。

実験結果では、靴下を履く前は50%のカップルしかオーガズムに達することができなかったのに対し、靴下を履いた後は80%のカップルがオーガズムに達することができたそうで、なかなかの違いじゃないかと。まあこの研究では13組のカップルのみを対象にしたものなんで一般化はできないでしょうが、個人的には、別に大した弊害があるわけでもないんで試してみるのはありじゃないかと思ってたりします。

実際、クリーブランドクリニックによれば、ベッドで靴下を履くと特に人の快適さのレベルが上がるし、足の末梢血管が拡張して、中心体温を下げるし、リラックスにつながるし、ってなことが報告されてますしね。

まあ要するにポイントは「快適さ」にあるはず。最近の研究者のコメントを見ていても「最初の研究の研究者たちは、靴下が快適さに関連している可能性があり、そして快適さがオーガズムに関連している可能性がある」と説明してたりします。「冷たい足（または散らかった部屋や隣の寝室にいる子供たちなど、他のこと）に気を取られていると、性的反応を妨げる可能性がある」と。このような「気が散ること」が結果的にこれまで指摘してきた「オーガズムの追求」を阻害してしまうかもってわけですね。

加えて、個人的には「新しい変化」「多様性」の観点から見ても、靴下をはいたまままぐわってみるってのはありなんじゃないかなあとか思ったりしましたね。興味があってカップル両者が同意するようなら試してみるのはありじゃないかと。

おわりに：オーガズムは権利であり、科学的に探求すべきもの

今回は前回に続いて、「オーガズムの科学2025年版」として、女性のオーガズムに関する最新研究を紹介してきました。「時間をかけてもいいんだと思えるか」「男らしさを傷つけたくないという心理」「クリトリス刺激の重要性」「効果的な体位」など、多岐にわたる要素がオーガズムの頻度と満足度に影響することがお判りいただけたかと思います。

個人的に最近一番意識しているのは、「内受容感覚」とオーガズムの関連性。自身の体の内側の感覚に気づき、注意を向け、体を信頼できるほど、オーガズムの頻度や満足度が高いという研究結果は、セックスがただの「テクニック」の問題ではなく、自分自身の体との関係性の問題でもあることがよくわかります。これってセックス以外の様々な領域でのウェルビーイングにも通じる考え方じゃないかなーと思ってたりもします。（本文中では以前トレーニングしたことがある旨書きましたが、トレーニングをやめてしばらく放置してたらもとに戻ってしまったので（笑）、また最近取り組んでいる次第です）

靴下を履いたままセックスするとオーガズム率が上がるかもしれないとか、月見草オイルが性的満足度を高める可能性があるとか、ランニングによってオーガズムの強度が増すかもしれない、みたいに「フツーに」生きてればあまり頭に思い浮かばない要素がオーガズムに影響する、といった多角的なヒントが得られるのも科学の面白いところです。これらは決して「シルバーブレット」ではありませんが、パートナーと試してみる選択肢を増やしてくれますよね。

忘れてはいけないのが、オーガズムを「ただの性的快楽」と矮小化せず、全体的な幸福感や関係満足度、自己肯定感にも関わる重要な要素として位置づけることでしょう。古い性役割の観念や誤った思い込み、コミュニケーション不足がオーガズムの妨げになっているとすれば、それらを見直すことは単に「よりイきやすくなる」だけでなく、より健全で互いを尊重し合う関係性の構築にもつながるはず。これは殿方にもよく意識しておいていただきたいポイントですね。

最後に、ここで紹介した研究はあくまで「平均的な傾向」を示したものであり、個人差があることを忘れないでいただければと。何が自分自身やパートナーにとって心地よいのか、何がオーガズムへの道を開くのかは、人それぞれ異なります。研究結果はあくまでヒントであり、最終的には自分たちのペースで、コミュニケーションを大事にしながら探求していくことが大切です。

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ではまた！