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【スワイプは投げられた】1万件超のデータが解き明かす、デートの約束を勝ち取るメッセージ戦略
「いいね」の9割を無駄にする“その他大勢”から脱出せよ。スタンフォード、オックスフォード大学が解き明かす、すべての会話を「未来への布石」に変えるマッチングアプリ攻略術
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おくさん
2025/06/18

今回は久々にマッチングアプリの話。マッチングアプリという名の戦場で、少しでも勝率を上げるためのエビデンス・ウェポンをお届けできればと。

本ニュースレターやNoteでは、これまでにもマッチングアプリ関連で様々なテーマを扱ってきておりまして、例えば、

といったあたりの記事を書いてきました。しかし、一番大事で、一番みなさんが消耗しているであろう、マッチしてから実際に会うまでの「メッセージのやり取り」について、正面からガッツリ語ってこなかったなーと気づいたので今回はこれについて考えてみようかと。プロフィールでどれだけ興味を引いても、このメッセージ交換でコケたら、元も子もありませんからね。

目次

  • 対面デートにつながる勝ちパターン
  • 「ウケる初手」「スベる初手」
  • プロフィール情報を、単なる『質問のタネ』で終わらせるな...
  • 自己開示の黄金律
  • 初デートの前に「答え合わせ」を済ませておくべき
  • 「いいユーモア」と「悪いユーモア」の決定的違い
  • 気持ちが伝わる絵文字の使い方
  • 相手とシンクロする
  • 結局、いつ会うのが正解なのか?
  • おわりに


まずは手始めにマッチングアプリでのメッセージのやり取りを、一体どれくらいの人がうまくやれているんでしょう?というデータを見てみましょう。オックスフォード大学の研究チームが、マッチングアプリの約200万件の会話、1900万件のメッセージという、大規模のデータを分析した研究があるんですが、これがなかなか厳しい現実を突きつけてきます。

なんと、マッチングした後の会話のうち、約4割(39%)は、最初の一通が華麗にスルーされて、そのまま関係が終わるんだそうです。

さらに、会話の約8割(79%)は男性から始めているというデータもあります。つまり、世の多くの殿方が勇気を振り絞って送ったであろう渾身の初手メッセージが、半分近くは返信すらもらえずに屍と化している…。これが、マッチングアプリという戦場のリアルなんですな。

つまり、マッチ自体はスタートラインに立ったに過ぎません。「マッチしてからが本当の戦い」であり、この屍の山を乗り越えてデートにこぎつけるためには、なんとなくメッセージを送るのではなく、エビデンスに基づいた明確な戦略が不可欠だということ。

というわけで、今回のエントリでは、この「対面デートにつながるメッセージの勝ちパターン」を、最新の論文を元に考えていければなと。内容的にはマッチングアプリ以外のチャットメッセージでも十分使えると思うので、何かしら使い道を見つけていただければ幸いです。


本ニュースレターでは、徹底的に調べあげたエビデンスをベースに「より信頼でき、真に価値ある情報」をレポートし、ゴミがあふれるネット上においてキラリと光る質の高いコンテンツをお届けすることを目指しています。あなたの人生を彩るヒントとしてご活用いただければ幸いです。


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対面デートにつながる勝ちパターン

まずはこれだけは絶対に抑えておこうぜ!的な論文として、「デートにこぎつけられるメッセージの言語的特徴」を解析したスタンフォード大学の研究があります。

この研究では、348人の参加者から「実際にデートに至った相手とのやりとり」と「デートに至らなかった相手とのやりとり」の両方のメッセージデータを収集。その言語的な違いを徹底的に分析して仮説を立て、次にさらに大規模な831人のデータでその仮説が正しいかガッツリ検証するという内容になっています。

で、結論として、一体どんなメッセージがデート成功率を高めるのか? 研究チームが突き止めた「勝ちパターン」は以下の通り。

  • 投資:メッセージは「長く」「一文も長く」
    • デートに繋がったメッセージは、繋がらなかったメッセージに比べて、全体の単語数も、一文あたりの単語数も多かった。これは「あなたとの会話にちゃんと時間と労力をかけてますよ」という、コストをかけた誠実さのシグナルになる。一言で返せる内容でも、ちょっと丁寧に膨らませてみるのが吉
  • 相互依存:「俺は」「あなたは」より「俺たちは」
    • デートに繋がった会話では、「we(私たち)」っていう一人称複数の代名詞が明らかに多かった。まだ会ってもいないのに「僕らって〇〇が好きそうですよね」とか「今度〇〇に行ってみるの、僕らなら楽しめそう!」みたいに、自然と「二人で一括り」にする言葉を使うことで、無意識のうちに仲間意識や一体感が芽生えていた
  • 感情:「ネガティブワード」は即死、熱意は「!」で示せ
    • 「嫌い」「最悪」といったネガティブな単語は、関係を終わらせる方向に働いていた。一方で(意外なことに)、「楽しい」「嬉しい」といったポジティブな単語の数自体は、デートの成否に直接関係がなかった。その代わりに、文章の最後の「!」が、熱意や興奮のシグナルとして働いていた
  • 調整&意思決定:「未来」を「具体的」に語り、「迷い」を見せない
    • 「明日」「土曜に」「〇〇駅前で」といった、未来や時間、場所に関する具体的な単語が多いほど、デートの確率は上がった。逆に、「〜ない」「たぶん」「〜かも」といった否定語やためらいの言葉は、関係への不確かさを示すサインになり、デートにつながる確率を下げていた

要するに、「あなたに本気で興味があるから、ちゃんと時間も労力も使っているのです! 来週の土曜日か日曜日、『一緒に』○○水族館に行きたいんだけどどうですか!」っていう前のめりな姿勢を、言葉の端々で示せるかどうかが勝負の分かれ目ってことっすね。

特にマッチングアプリのような会話の相手が多くいる状況では、短く素っ気ない文章になりがちな人が多いんで、「一文を長く、丁寧に」ってを意識するだけでも結構な差別化ができるのではないでしょうか。また、ポジティブワードの数より「!」の方が効くって点も面白いっすね。確かに、ただ「楽しかったです」って言われるより、「楽しかったです!」って言われた方が、なんとなくテンションが伝わってきますもんね。

もちろん、相手の反応とか会話の文脈全体も大事なのは言うまでもありません。しかし、自分の送るメッセージにこれらの要素を盛り込むだけで、デートの確率が上がる可能性があるなら、試さない手はないんじゃないでしょうかー。


「ウケる初手」「スベる初手」

ここからはより各論的な話を扱っていきましょう。まずは誰もが一度は悩むであろうポイントである「初手」、すなわち“ピックアップライン”からです。「マッチしたのはいいけど、最初の一言、なんて送ればいいんだ…?」ってやつですね。

まず、絶対にやってはいけない禁じ手から。それはご想像の通り、「いきなり下ネタ」です。

「そんなの当たり前だろ!」って声が聞こえてきそうですが、実際にはこれが未だに横行しているのが現実だったりするので注意したほうがいいでしょうね。実際、いきなり下ネタから入るとどうなるか?を示したデータもありまして、ユタ州立大学とパデュー大学の研究では、参加者に「マッチした相手から普通の挨拶が来る」か「いきなり性的に露骨なメッセージが来る」かを想像してもらい、その反応を調べています。

結果は、言うまでもないかもしれませんが、性的なメッセージは、普通の挨拶に比べて圧倒的に「想定外」で、かつ「超ネガティブ」に受け止められていたそう 。特に、女性や、真剣な恋人探しを目的としているユーザーほど、そのネガティブな反応は増幅されたらしい。

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要するに、TPOをわきまえない性的な揺さぶりは、相手の目的が何であれ、秒で「ナシ」判定を食らう最悪の一手ってことっすね。カジュアルな出会いを求めている男性でさえ、その反応は決してポジティブではなかった という事実は、肝に銘じておくべきでしょうな。

さて、ここからが本題。クリーンなメッセージなら何でもいいのか?と問われればそんなわけはないでしょう。が、では何を送ればいいのか?と問われれば即答するのは案外難しいのではないでしょうか。

ここで参考になるのが、ケネソー州立大学が行ったオンライン実験 。研究チームは、Tinderのプロフィールを見せた後、①ユーモアだけ、②褒め言葉だけ、③両方入り、④どちらもなし(ただの挨拶)、という4パターンのメッセージを送り、デートしたい気持ちがどう変わるかを調べたらしい。

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この結果が面白くて、

  • 男性参加者は、メッセージの内容はほとんど見ていなかった。彼らのデートのモチベーションを左右したのは、もっぱら相手のプロフィールの魅力だけだった
  • 一方、女性参加者にとって最も効果的だったのは、「ユーモアだけ」か「褒め言葉だけ」という、単機能のシンプルなメッセージだった
  • 「ユーモアと褒め言葉の合わせ技」(例:「Are you from Tennessee? Because you're the only 10 I see!」みたいなキザなやつ )は、ただの挨拶文よりも評価が低かった

だったそう。つまり、良かれと思ってユーモアと褒め言葉をてんこ盛りにすると、女性からは「うわ、狙いすぎ…」「なんかキザで無理…」と逆に引かれてしまう可能性があるってことですな。足し算が常に正義とは限らないという言葉の、まさにその典型例ですな。

では、私たちはどうすればいいのか?この研究から示唆される実践的な戦略は、「シンプルに徹する」ことでしょう。褒めるなら、一つの美点に絞ってサラリと褒める。「笑顔がとても素敵ですね」、これだけでいい。ユーモアで攻めるなら、それに徹する、といった感じでしょうか。

ちなみに、ウェストバージニア大学の別の研究によると、実際のマッチングアプリのチャットで最も多く使われていたのは「やあ、元気?」といった「当たり障りのない」メッセージだったそう 。多くの人が、スベるリスクを避けて無難な一言を選んでいるわけですね。

そう考えると、下手に誉め言葉やユーモアを盛りすぎなくても、一つ褒めやユーモアを入れ込むだけで、ある程度は相手の注意を挽くことはできるはず。とはいえ、ただ褒めるんじゃなくて、相手のプロフィールをしっかり読み込んだ上で、「〇〇(相手の趣味)の写真、すごく良い雰囲気ですね!」というように、具体的かつ人格やセンスに関わる部分をピンポイントで褒める、くらいはしておいた方がよいかもしれません。狙いすぎな印象を与えずに「ちゃんとあなたのことを見てますよ」という誠実さも伝わるくらい、という(難しいですが)適度なレベルを狙いましょう、ということで。


プロフィール情報を、単なる『質問のタネ』で終わらせるな!

さて、マッチングアプリでメッセージのやり取りが始まったとしましょう(おめでとうございます!)。しかし、本当の勝負はここからで、多くの人が陥りがちなのが、「当たり障りのない雑談」の無限ループ。「お休みの日は、何されてるんですか?」「映画鑑賞です」「そうなんですね、僕もです」こんな会話を10往復しても何も深まってないのは明らかでしょう(そもそも10往復もしないうちに切られるでしょうが)。

ほかに、よくあるのが「プロフィールに書いてあることの事実確認」で終わってしまうパターン。例えば、「〇〇がお好きなんですね」「はい、好きです」。「××がお好きなんですね」「はい、好きです」って具合。これでは、相手の記憶にすら残らず、その他大勢の中に埋もれていくだけなのは目に見えているでしょう。

ではどうすれば、この表層的な会話から抜け出し、相手に「お、この人なんか違うぞ?」と思わせるような特別なつながりを築けるのか? そのカギは、「プロフィール情報のうまい使い方」にあります。

この点について、アリゾナ州立大学のシャラビ博士が、『Communication Monographs』誌で発表した実験研究が参考になります。

この研究では、見ず知らずの男女ペア108組を研究室に集めて、リアルな初デートをシミュレーションさせています 。そして、ペアをランダムに2つのグループに分けました。

  • 実験グループ: 会う前に、相手が書いたオンラインデーティング風のプロフィールをじっくり読んでもらう 
  • 対称グループ: プロフィールは見せず、名前や職業といった最低限の情報だけで会ってもらう(いわゆるブラインドデート状態)

この二つのグループを比較することで、「プロフィールを事前に知っていること」が、初対面の会話や満足度にどんな化学反応を起こすのかを、厳密に検証したわけですね。

で、その結果、プロフィールは初デートの体験を良くも悪くも「増幅させる(Amplify)」装置であることが判明したらしい。

具体的には、

  • 期待の増幅: 事前にプロフィールを読んで「この人に会うの、楽しみだな!」と期待値が高まっていた人ほど、実際のデート後の満足感もより一層高くなった
  • ガッカリの増幅: 逆に、プロフィールを読んだにもかかわらず、デート後に「結局、どんな人かよく分からなかったな…」という不確実性が残った場合、そのガッカリ感は、ただの初対面(対照群)よりもはるかに大きかった
  • 自己開示の増幅: 事前にプロフィールを知っている方が、会話の中で自己開示をしたときの「話してよかった感」や満足度が高まった
  • 共通点の増幅: プロフィールという下地がある上で「私たち、似てるかも!」と感じると、その喜びや満足度はさらにブーストされた 

要するに、プロフィール情報は、デートを大成功に導く起爆剤にもなれば、期待外れだった場合にダメージを倍加させる地雷にもなりうる、まさに諸刃の剣ってことですね。

この研究から我々が学ぶべき教訓は、「プロフィール情報を、単なる『質問のタネ』で終わらせるな!」ということでしょう。デートを成功に導くには、相手の不確実性を下げ、「私たち、似てるかも」という感覚を高める必要がある。そのために、プロフィール情報を材料にして、なるべくチャットの段階でより深いレベルの会話に進むべきなんじゃないの、ということですね。

具体的な方法としては、「仮説検証型アプローチ」と呼ばれているものがおすすめ。使い方の例を挙げると、

  • ダメな例(事実確認型): 「プロフィールに旅行好きって書いてありましたけど、どこに行ったことありますか?」
  • 良い例(仮説検証型): 「旅行の写真、東南アジアですよね?あの活気ある感じも素敵ですけど、写真の雰囲気からして、もしかして賑やかな観光地より、ちょっと落ち着いた路地裏とかを散策するのがお好きだったりします?」

って感じ。この「仮説を立ててぶつける」やり方をとることで、「あなたのプロフィールをしっかり読み込んで、あなたという人間を理解しようとしています」という誠実さが伝わるのが分かるでしょう。さらに、相手は単に事実(行った場所)を答えるだけでなく、「なぜそう思ったの?」と自分の内面や価値観について話すキッカケになるのが重要なポイントですね。

(余談ですが、友人にこの手法を教えたら、ChatGPTで仮説検証型アプローチのProjectを作っておいて、相手のプロフィールのスクショをAIに送り、質問を考えてもらっているそうです。まあ毎回質問を考えるのも楽ではないし、これを始めてから返信率や実際に会える確率が上がったらしいし、合理的ではあるかと思います。倫理や誠実さうんぬんはおいておいて。)

初デート前の会話で重要なのは「事実確認」ではなく、「解釈の共有」。プロフィールという断片的な情報から、「あなたって、こういう価値観を持っている人なんじゃないですか?」という自分なりの解釈(仮説)を提示して、その答え合わせを二人で楽しむ。この共同作業をとることで、相手の不確実性を劇的に下げ、二人の距離を縮める最強のエンジンになるというわけですね。

表層的な質疑応答ゲームから卒業して、相手の「人となり」に踏み込むことで対面デートにつながる可能性がぐっと上がるはずです。


自己開示の黄金律

相手の深いところに入り込もうと思えば、まずは自分のことを話すのも大事なポイント。いわゆる「自己開示」ってやつですな。

とはいえ自分の話しばかりしているとナルシストに思われるし、「どこまでプライベートなことを話していいんだろう」なんてのも気になってくるし、意外と難しいのが自己開示なんですよね。

まず、そもそもなぜ自己開示がそこまで重要なのか?という問いについて、シドニー大学の研究チームが素晴らしい示唆を与えてくれてます。研究チームは台湾の若年GBMSM(ゲイ、バイセクシュアル、その他男性と性交渉を持つ男性)330人を対象にした調査で、マッチングアプリ上での自己開示が、ユーザーの心理にどんな影響を与えているかを分析しました。

その結果は、自己開示の概念を根底から覆すような内容で、

  • アプリ上で①正直に、②深く、③ポジティブな自己開示をしている人ほど、人生の満足度が高かった
  • さらに、自己開示をすることで、自分自身に対するネガティブな感情(この研究では「内面化されたホモネガティビティ」)が減少し、それが生活満足度の向上につながっていた
  • つまり、自己開示 → ネガティブな自己認識の緩和 → 幸福度アップ、という強力な好循環が確認された

要するに、自分のことをオープンに話すという行為は、相手に自分を理解してもらうためだけのものではなく、自分自身のメンタルを健全にし、人生をよりハッピーにするためのセルフケアでもある、ということっすね。

では、そのパワフルな自己開示を、相手にもポジティブに受け取ってもらうには具体的にどう実践すればいいのか? ポンペウ・ファブラ大学の研究チームによる、Tinderの会話157個を徹底分析した研究がかなり参考になります。研究チームは、うまくいった会話の中に、驚くほど共通した「自己開示の黄金パターン」が存在することを発見した、と報告しています。

論文中ではこのパターンを「誘発的自己開示シーケンス(Elicited Self-Disclosure Sequence)」と呼んでいます。難しそうな名前ですが、やることはシンプルで、少し私のアレンジを加えたものを以下に示します。

  1. 質問する: まずはあなたから相手に質問を投げかける(例:「お休みの日は何してるんですか?」)
  2. 相手が開示: 相手が質問に答える(例:「最近、キャンプにハマってて」)
  3. 質問を返す: 答えた相手が、こちらに同じボールを投げ返す(はず)(例:「〇〇さんは?」)
  4. 共感・評価: 相手の開示した情報に対し、「キャンプ、いいですよね!」「それ面白い!」といったポジティブなリアクションを返す
  5. 自分も開示: あなたも同じテーマで答える(例:「僕はもっぱら家で映画見てますねー」)。合わせてその理由も話す(例:「休みの日は都会の喧騒から距離を置いてゆっくり時間を過ごしたくて」)
  6. 仮説検証型アプローチ:上述した自分の動機と絡めて相手の動機(理由)の仮説を立てて質問する(例:「もしかして○○さんも人混みのなかであくせく時間を過ごすよりもまったりしたいタイプだったりしますか?」)

ここで重要なのは、質問しっぱなしだったり、自分の話をしすぎたりするのではなく、自己開示の「返報性(reciprocity)」 。あなたが心を開けば、相手も心を開きやすくなるってことですね。

とはいえ、「相手が質問を返してくれない…」という事態もあるでしょう。そんな時のためのリカバリーショットも、この研究では示してくれています。それが「自発的自己開示シーケンス(Volunteered Self-Disclosure Sequence)」呼ばれるもの 。

これは、相手から質問を投げてもらえないときに、自分から積極的に心を開くという方法 。例えば、「実は最近、仕事でこんなことがあって…」と、まず自分の少しパーソナルな情報を差し出します。そうすることで、相手の警戒心を解き、「この人には話しても大丈夫かも」という安心感を与え、相手からの自己開示を引き出す。いわば「信頼の先行投資」みたいな感じですね。ここではなるべく、自分のちょっとした失敗談や自虐のようなトピックを選ぶべきで、自慢に聞こえうるような話題は避けたほうがいいでしょう。あくまで相手が話しやすい空気を作るのが目的なので。

まー、相手が思っていた反応を示してくれなかったとしても、自己開示という行為自体が自分自身の幸福にもつながっていくはずなんで積極的に試してみていただければと。焦りや不安が透けて見えてくるような人とmessageしてても楽しくないですからねー。


初デートの前に「答え合わせ」を済ませておくべき

マッチングアプリの最大の非効率は、なんと言っても「会ってみたら、なんか違った…」という悲劇でしょう。時間も、お金も、そして何より心のエネルギーも消耗しますからねぇ。「会う前に、この人とうまくいく可能性が高いかどうか、ある程度あたりをつけられないものか?」という切実な願いに対するヒントを、ウェストバージニア大学の研究が示してくれています。

この研究では、105人の実際のオンラインデートユーザーから、やり取りしている相手に送ったガチのメッセージを収集。さらに、ただメッセージを分析するだけでなく、参加者たちを追跡調査し、「その相手との初デートは、実際どうだったか?」「2回目のデートはありそうか?」までを徹底的にヒアリングしたらしい 。これにより、「どんな会話をしていたカップルが、実際に次のステップに進んだのか?」という、核心に迫ることができたわけですね。

で、結果的に何が分かったかといえば、

  • 初デートが成功し、「次も会いたい」というポジティブな結果につながったカップルは、デート前のメッセージ交換の段階で、お互いの「パートナーに求める条件」や「恋愛に対する価値観」について話し合っていた割合が、そうでないカップルに比べて有意に高かった!

だったらしい。具体的に数字で見るとその差は歴然で、「パートナーの好み」について話していたグループが報告した「2回目デートの可能性」の平均点は88点。それに対して、その話題に触れなかったグループの平均点は約60点 。かなり大きな差といっていいでしょう。

(ちなみに、当然といえば当然ですが、他の異性とのデートの話など、「自分には他にも選択肢がある」と匂わせる会話をしていたカップルは、見事に次のデートの可能性が低くなっていたそうです。)

要するに、「あなたはどういう人がタイプ?」「私はこういう関係を築きたい」といった、恋愛の核心に触れる話を、会う前にすり合わせておくことで、デート後の「思ってたんと違う…」という事故を防ぎ、関係がうまくいく確率をブチ上げることができる、ということですね。

なぜ、この「事前の答え合わせ」がこれほどまでに有効なのか?理由は3つ考えられています。

  1. 「時間の節約」:価値観が根本的に合わない人と会う無駄を省ける
  2. 「期待値の調整」:相手に対する過度な美化や誤解を防ぎ、等身大の相手と向き合える
  3. 「誠実さのアピール」:「あなたのことを真剣に考えています」という、何より雄弁なメッセージになる

とはいえ、「そんな大事な話、どう切り出せばいいんだよ…」と思う方もいるでしょうが、ポイントは、いきなり「どんな人がタイプですか?」と聞くのではなく、自己開示の流れで自然に切り出すこと。

例えば、「僕は結構インドア派なんで、お家で一緒にのんびり映画を見たりできる関係が理想なんですけど、〇〇さんはどういうお付き合いが心地よかったりしますか?」というように、まず自分の価値観を開示する。そうすれば、相手も話しやすいはず。

個人的には、これってビジネスにおける「期待値調整」と全く同じだよなーと思ってたりします。プロジェクトを始める前にゴールや役割分担を明確にすることで、後のトラブルを防ぐ。恋愛も同じで、関係が本格化する前に「二人の関係における法」みたいなものをすり合わせておくことが、長期的な成功の鍵を握っているんだ、と。

私の場合、恋愛だけでなく友人関係においても、必ず「自分は連絡不精なところがあるから、毎日LINEしないとダメ!って人とは多分うまくいかないんですよねー」みたいに、自分の弱点や特性を先に開示するようにしてます。ついでに、相手がこれだけは許してほしい、と思っていることも効きだすと一気に仲良くなれたりするから面白いものです。

ちなみに、自己開示については、「エビデンスベースの距離の縮め方」というテーマで以前軽く触れていたりするので、こちらもご参考までに。




「いいユーモア」と「悪いユーモア」の決定的違い

マッチングアプリの会話術として、「ユーモアを使ってけ!」なんて主張はよく聞きますな。ユーモアは確かに、人間関係における最強の武器の一つですからね。

以前のNoteで以下のような研究を紹介したことがあったので、もしかしたらプロフィール作成の段階でユーモアを意識されておられる方もいるかもしれません。

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https://note.com/okusanote/n/na1b147c790eb  

しかし、その「ウケ狙い」の一言が、相手をドン引きさせ、静かに会話を終了させる致命的なトリガーになる可能性もあるのがまた難しいところ。

そこでまず大前提として、ユーモアには明確に「良いもの」と「悪いもの」が存在することをしっかり理解しておいた方がよいでしょう

この残酷な事実を突きつけてくれているのが、カンザス大学のメタ分析。これは、過去のユーモアに関する39もの研究、合計15,177人分ものデータを統合したもので、その分析によれば、ユーモアの種類と恋愛関係の満足度の間には、驚くほどハッキリとした傾向が見られたそう。

具体的には、

  • 絶対NGな「悪いユーモア」
    • 攻撃的ユーモア: 他人をイジったり、バカにしたりして笑いを取るスタイル 
    • 自虐的ユーモア: 自分を過度に卑下して「どうせ俺なんて…」と笑いを取ろうとするスタイル(相手を困らせるだけ)
  • 関係を深める「良いユーモア」
    • 親和的ユーモア: 他人や自分を傷つけず、その場の雰囲気を和ませたり、人と人との絆を深めたりするための、温かいジョーク
    • 自己高揚的ユーモア: ちょっとした困難やストレスフルな状況も、笑いに変えて乗り越えようとする前向きなユーモア 

要するに、誰かを貶めるネガティブな笑いは百害あって一利なし。場を明るくし、人とのつながりを生むポジティブなユーモアこそが正義ってことっすね。

では、「ポジティブなユーモアなら、いつでもどこでも万能なのか?」というと、話はそう単純じゃないのがまた難しいところ。ティルブルフ大学が行った研究では、Tinderのプロフィール写真の魅力度(「めちゃくちゃ魅力的」vs「まあまあ魅力的」)を変えながら、ユーモアのある初手メッセージの効果を検証しています。

その結果、

  • 相手が「まあまあ魅力的」な場合、ユーモアのあるメッセージは好印象につながった 
  • ところが、相手が「めちゃくちゃ魅力的」な場合、ユーモアのあるメッセージは逆効果。むしろ、相手からの評価を下げてしまった

だったそう。

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この結果をかみ砕いてみると、ここで使われたユーモアといいうのが、「サンタさんに君の写真を見せて、クリスマスに何が欲しいか伝えるよ」みたいな、キザで軽薄な(flippant)タイプだったことが一因と考えられます。

つまり、イケメンや美女は、手垢のついたありきたりな口説き文句にウンザリしている可能性が高い。そんな相手に薄っぺらいユーモアを投げても、「はいはい、またこのパターンね」と見透かされ、スベるどころか「センスないな…」と評価を落とす危険すらあるわけですね。

実践的な示唆を考えておくと、個人的には、本当の意味で効果的なユーモアとは、「センスの見せびらかし」ではなく、「共通感覚の証明」なんだろうなと思っています。一方的に面白いことを言うのではなく、「あなたと私は、同じポイントで笑える人間ですよ」というシグナルを送ることなんじゃないかと。上述のメタ分析でも、結局のところ、自分のユーモアセンスがどうこうよりも、「二人の間でユーモアが共有されていること」が、関係満足度と最も強く結びついていましたしね。

そのためには、相手のプロフィールや発言の中から「笑いの種」を見つけ出し、二人で育てる感覚が不可欠。例えば、相手のプロフィールに「趣味:筋トレ(BIG3合計500kg目指してます)」と書いてあったら、「BIG3で500kg!すごいですね。僕が持てるのは飲み会のビールジョッキくらいです(笑)」みたいに、相手の土俵に乗りつつ、クスッと笑えるような自己開示をしてみる。これなら、ただのウケ狙いではなく、相手へのリスペクトと親しみやすさを両立させた、極上のポジティブユーモアになるはずです。

安易なジョークに「逃げる」のではなく、相手をよく見て、二人だけの「内輪ネタ」を育てるのがベターなユーモア術なんじゃないかと。お試しあれー。

ちなみに、ユーモアについての研究は以下の記事でもご紹介しておりますのでご参考まで。


気持ちが伝わる絵文字の使い方

まず、衝撃の事実からお伝えしましょう。あなたがどの絵文字を選ぶかで、あなたの「狙い」は相手に筒抜けになっています

リスボン大学の研究チームが行った面白い実験で、参加者に「元気?」という同じメッセージを見せ、そこに添える絵文字を「😊(にこやか)」「😘(投げキッス)」「😉(ウィンク)」などに変えるだけで、受け手が感じる「送り手の意図」がどう変わるかを調べたらしい。

その結果、

  • 友達になりたいなら → 😊(にこやかな顔文字) この絵文字は、純粋な「友好」のシグナルとして最も強く認識された 
  • 恋愛関係になりたいなら → 😘(投げキッスの顔文字) or 🥰(ハートの笑顔) これらの絵文字は、明確な「恋愛感情」のシグナルとして受け止められていた
  • 下心があるなら → 😉(ウィンク) or 🍆(ナス絵文字) これらの絵文字は、疑いようもなく「性的」な意図を持っていると解釈されていた

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要するに、言葉でどれだけ取り繕っても、選んだ絵文字一つであなたの本音は相手にバレてしまうということですね。しかし、これは裏を返せば、意図的に絵文字を使い分けることで、自分の気持ちをより正確に伝えられるということでもあるのではないでしょうか。

しかし、ここで一つ面白い「反常識」がありまして、同研究で、参加者に「あなたならどの絵文字を使いますか?」と尋ねたところ、どの意図を伝える場合でも、約3分の1の人が「絵文字は使わない」という選択をしたのだそう。

これは重要な示唆で、下手に誤解を生む絵文字を使うくらいなら、あえて絵文字を使わず、言葉だけで誠意を伝える。これもまた、極めて高度でクレバーな戦略なのかもしれませんな。

さらに話を進めると、実は、絵文字の使い方は、性格、特に対人関係のスタイルまで反映している可能性があるという報告もあります。

インディアナ大学キンゼイ研究所の研究では、人々の「愛着スタイル(対人関係における基本的なパターン)」や「感情知性(EI)」と、絵文字の使用頻度の関係が調査されています。その結果、

  • 感情知性(EI)が高い人、つまり自分や他人の感情を理解し、うまく付き合う能力が高い人ほど、友人とのやり取りで絵文字を多用する傾向があった
  • 回避型愛着の傾向が強い人、つまり他人と深い関係になるのを避けがちな人ほど、友人や恋人に対して絵文字を使わない傾向が見られた 

要するに、絵文字を巧みに使える人は感情表現が豊かでコミュニケーション能力が高い可能性があり、逆に絵文字をあまり使わない人は、シャイであるか、あるいは意図的に人と距離を置きたいタイプかもしれない、ということですね。

以上から得られる示唆として重要なのは、相手との「絵文字の温度感」を合わせることでしょう。相手がまったく絵文字を使わないのに、こちらが馴れ馴れしく🥰や😘を連発すれば、それはただの「温度差が読めないヤツ」になってしまう。逆に、相手が感情豊かな絵文字で心を開いてくれているのに、こちらが「。」ばかりの塩対応では、関係が進展するはずもありませんよね。

相手が使った絵文字の種類や頻度を観察し、それに合わせるように自分の絵文字を選ぶ。時には、あえて「絵文字なし」で真摯な言葉を伝える。この繊細なチューニングこそが、絵文字を使いこなす極意であり、相手との心の距離を測る最高のリトマス試験紙になるんじゃないでしょうかー。

ちなみに、好感度の上がる絵文字についてはこちらをどうぞ。


相手とシンクロする

絵文字だけでなく、相手の「話し方」に、自分の「話し方」を無意識にチューニングするとデートにつながる可能性が高いかもよ!と感じさせるような研究もあったりします。専門的には「言語的スタイルマッチング(LSM)」なんて呼ばれてたりしますね。

テキサス大学やノースウェスタン大学の研究で、研究チームが注目したのは、会話の中身、つまり「何を話したか」ではなく、「どう話したか」、特に「私」「あなた」「そして」「でも」「〜について」といった、会話の中の短い機能語の使い方です。

研究チームに言わせれば、二人の人間が会話をするとき、無意識のうちにお互いの言葉のリズムやスタイルを真似しあう「言葉のダンス」を踊っているんだとか。そして、このダンスのシンクロ率こそが、二人の未来を予言する、恐るべき指標なんだ、と。

このLSMの予測力は、思っている以上にすごくて、実際実験によると、

  • スピードデート実験: ある実験では、初対面の男女40組のスピードデートの会話を分析。その結果、LSMのシンクロ率が高かったペアは、そうでないペアに比べて、お互いに「また会いたい」と希望する確率が3倍以上も高かった
  • カップルの追跡調査: 別の研究では、交際中のカップル86組のチャット履歴を分析。その結果、LSMのシンクロ率が高かったカップルは、3ヶ月後も関係が継続している確率が、そうでないカップルより圧倒的に高かった(具体的には77% vs 54%)

要するに、会話の「ノリ」や「リズム」が自然にシンクロする二人というのは、理屈抜きで惹かれ合い、かつ関係も長続きしやすい、というわけですね。

このLSMという現象の面白いのは、当人たちも、周りから見ても、ほとんど「無意識」に行われているという点。つまり、意図的に相手の口癖をコピーしたところで、それはただの薄っぺらいモノマネに過ぎず、逆効果にすらなりかねない可能性があるんですよね。

では、どうすればいいのか?結局のところLSMってのは、相手に対する「本物の興味」と「深い傾聴」の結果として、自然に生まれる産物なんでしょうな。相手が情熱的に趣味の話をするなら、こちらも前のめりに熱量のある言葉で返す。相手が静かに、短い言葉で心境を語るなら、こちらも言葉数を減らし、一つ一つの単語を大切にしながら、その世界に寄り添う。相手のメッセージの長さ、句読点の使い方、絵文字の温度感。それら全てが、相手が奏でる「言葉の音楽」のようなものなのかもしれません。その音楽に耳を澄ませ、同じリズムで踊ろうとすること。これこそが、LSMの本質ではないでしょうか。

そう考えると、本当にやるべきことは、小手先のテクニックを学ぶことではなく、

  • 相手のプロフィールを隅々まで読み、相手が紡ぎ出す一言一句に集中し、その人が見ている世界を、自分も同じ視点で見ようと努力すること

なのかもしれません。まあ最初は、「相手のスタイルに合わせよう」と頭で考えるのもありですが、勝手にシンクロするくらいまで理解することで長期的にうまくいく関係性が築けるのではないかと。


結局、いつ会うのが正解なのか?

さて、これまでの章でチャット術を磨けば、いい感じにメッセージのラリーが続くようになるでしょう。となると、次にぶち当たる壁は、おそらく「で、結局、いつ会うのが正解なんだ?」でしょう。最後にこの点についても考えてみましょう。

焦って会おうとして「まだ早い」と引かれてしまうのは怖いし、かといって、慎重になりすぎて「この人、会う気ないのかな?」と思われ、いつの間にかフェードアウトされるのもむなしいですからね。

ここで参考になるのが、サウスフロリダ大学とオックスフォード大学の研究で、それぞれ異なるアプローチながら、よく似た答えを導き出してくれているのでまとめてチェックしてみましょう。

まず結論から言ってしまうと、

  • メッセージのやり取りは、長ければ長いほどいいわけでは断じてない
  • むしろ、ある一定期間を過ぎると、成功確率は急降下する

となります。まず、サウスフロリダ大学の研究では、433人のオンラインデート経験者を調査し、「会うまでのオンラインでのやり取り期間」と「実際に会った後のデートの満足度」の関係を分析。その結果、両者の関係は単純な比例ではなく、「逆U字型の曲線」を描くことが判明したそう。

これがどういうことかといえば、

  • やり取りが短すぎる場合: まだお互いをよく知らず、信頼関係もできていないため、会ってもなかなか盛り上がらない
  • やり取りが長すぎる場合: 会わない期間が長引くにつれて、相手への期待値がどんどん膨れ上がっていく。テキスト上の完璧なやり取りや、厳選されたプロフィール写真から、相手を「過度に理想化」してしまう。そして、いざ会った時に、現実の相手と、自分の脳内で作り上げた完璧な“アバター”とのギャップに直面し、「……あれ?なんか違うぞ?」と勝手にガッカリしてしまう

要するに、ダラダラとメッセージを続けるのは、自分で「期待」という名の時限爆弾をセットしているようなもので、会うのが遅れれば遅れるほど、爆発したときのダメージはデカくなるってことですね。

では、その爆弾が爆発する前、つまりデートの満足度がピークに達する「ティッピング・ポイント(転換点)」はいつなのか?同研究は、その期間がだいたい17日から23日、つまり約2.5週から3週強の間にあると示唆しています。

この「2〜3週間」という数字は、オックスフォード大学が200万件もの会話データを分析した別の大規模研究でも裏付けられています 。その研究によると、電話番号の交換に成功したカップルがマッチングアプリでやり取りしていた期間は、平均で14.2日だったんだそう。

全くアプローチの違う二つの研究が、奇しくも「2〜3週間」あたりが勝負所だと示しているわけですね。

思うに、この「2〜3週間」という期間は、相手への「興味・関心」が、「会うことへのめんどくささ」を上回る、最も熱量の高い時期なんでしょう。1週間じゃまだ相手を知るのに不安があるし、1ヶ月も経てば「もうこのままメッセージ友達でいいや…」と、会うためのエネルギーが失せてしまう。

だからこそ、この熱量を逃してはいけない。やり取りが盛り上がってきたら、その熱が冷めないうちに、「この話、面白いんでもっと直接話してみたいです。来週あたり、軽くお茶でもどうですか?」と、会話の熱をそのままデートの約束に繋げるのがよさげ、って感じでしょうかね。

ダラダラと火の粉を散らすだけで、燃え尽きてしまう前に、勇気を出して「会う」という薪をくべていただければと。


おわりに

長々とマッチングアプリのメッセージ術について語ってきましたが、いかがでしたでしょうか。

結局のところ、マッチングアプリの成功は、「魔法の口説き文句」を知っているかどうかで決まるのではなく、相手とどう向き合い、どう関係を築いていくかという「姿勢」そのものが問われているのだと思います。ただ相手に質問を投げかけるのではなく、プロフィールから相手の人となりを「解釈」し、仮説をぶつけてみる。ただ自分を良く見せようとするだけでなく、勇気を出して自分の価値観や弱さを「自己開示」し、相手の価値観も問うてみる。言葉のリズムや絵文字の温度感を、相手と「シンクロ」させてみる。これら全てに共通するのは、相手という人間に対する、本気の興味とリスペクトです。

結局のところ、本エントリで語ってきた科学的知見は、すべて「誠実であれ」という、古臭くて、しかし最もパワフルな一言に集約されるのかもしれません。小手先のテクニックで自分を偽るな。相手を深く知ろうと努力し、自分を正直に開示する勇気を持て。そして、何より、この面倒くさくて、時に心をすり減らす「対話」というプロセスそのものを、楽しんでやろうぜ、と。

あなたのその真摯な言葉が、無数の「いいね」の中から、たった一つの「運命」を釣り上げる、唯一の釣り針になることをお祈りしております!

ではまた次回!