1. 5万人の調査でわかったエナジードリンクと睡眠の意外な関係
2. モテたいならブランドロゴの「サイズ」に気を付けるべし
3. IQとパートナーシップ

5万人の調査でわかったエナジードリンクと睡眠の意外な関係

エナジードリンクは、勉強や仕事の最中・合間の気分転換として人気が高い。しかし、BMJ Open誌に掲載された最新の研究で、その習慣的な摂取が睡眠に深刻な影響を与える可能性が明らかになった。

この研究が特に注目に値するのは、その規模の大きさだ。約6万人という大規模なサンプルに基づいており、これまでの小規模研究では見えなかった傾向を明確に示している。調査対象となった学生の特徴は以下の通り。

1. 平均年齢: 24歳
2. 性別構成: 女性が66%
3. 摂取頻度:
4. • 女性の約50%、男性の約40%がエナジードリンクを「全く飲まない」
   • 女性の約6%、男性の約8%が「週4-6回飲む」
   • 女性の約3%、男性の約5%が「毎日飲む」

調査の結果、以下のような衝撃的な事実が判明している。

• 睡眠時間の減少: 毎日エナジードリンクを飲む学生は、飲まない学生と比べて1日あたり約30分も睡眠時間が短い。具体的には、飲まない人が7時間40分なのに対し、毎日飲む人は7時間10分程度。
• 不眠症状の増加:
• • 女性：毎日飲む人の51%が不眠症状を報告（飲まない人は33%）
  • 男性：毎日飲む人の37%が不眠症状を報告（飲まない人は22%）
• 睡眠の質の低下: 習慣的な摂取者は、寝つきが悪く、起床時の目覚めも悪い傾向が顕著に見られた。

参考文献より

では、なぜエナジードリンクはこれほど睡眠に影響を与えるのか。その理由として、以下のような要因が考えられる。

1. 高カフェイン: 覚醒効果が強く、就寝時の寝つきを妨げる
2. 糖分の影響: 高糖分による血糖値の変動が、睡眠の質に影響を与える可能性
3. その他の刺激物質: タウリンやグアラナなどの成分も、覚醒作用に関与している可能性

いずれも過去、複数の研究で示されている仮説であり、個人差はあろうが十分に納得度の高い説明だろう。

もちろん、この研究では睡眠状態やエナジードリンクの摂取量は全て自己申告によるものであり、報告バイアスの可能性は否定できない。また、因果関係までは明確に示されていない点にも注意が必要だ。それでも、エナジードリンクの習慣的な摂取を見直すきっかけとしては十分だろう。

あなたが習慣的にエナジードリンクを飲んでいるのであれば、「目先の覚醒効果」と「長期的な睡眠の質」のバランスを考え直してみてはいかがだろうか。

モテたいならブランドロゴの「サイズ」に気を付けるべし

ブランド品を身につける人の性格や行動傾向について、これまでも様々な研究が行われてきた。

Evolutionary Psychological Scienceに掲載された2024年の研究で、ブランドロゴの大きさや服の色が、他者からの印象に大きな影響を与えることが明らかになった。

この研究は2つの実験から構成されており、以下のような興味深い結果が得られている。

【実験1：ロゴサイズの影響】

• 対象: 357名の大学生（女性62%）
• 方法: ラルフローレンのポロシャツを使用し、同じデザインでロゴサイズのみを4段階（なし、小、中、大）に変えて印象評価
• 結果:
• • 大きなロゴの着用者：短期的な性的関係を好み、威圧的な社会的地位の獲得を目指す性格であると評価された
  • 小さなロゴ/ロゴなしの着用者：長期的な関係や育児に投資的で、協調的なスキルで地位を獲得するだろうと評価された

【実験2：色の影響】

• 対象: 133名の大学生（女性52%）
• 方法: 同じデザイン・ロゴサイズで、鮮やかな色（青・赤）と地味な色（カーキ色）を比較
• 結果:
• • 鮮やかな色の着用者：短期的な関係志向が強く、支配的と評価された
  • 地味な色の着用者：長期的な関係や育児への投資的と評価された

この研究が特に興味深いのは、以下3つのポイントだ。

1. 進化心理学的視点: 動物の世界でも、派手な外見的特徴は交配競争と関連している。人間社会でも同様のパターンが見られる可能性が示唆された。
2. 社会的シグナル: 高級品の「目立つ度合い」が、その人の行動戦略や価値観を示すシグナルとして機能している。
3. 複数の要素: ロゴサイズだけでなく、色の選択も同様の効果を持つことが示されているのも面白い。

（潜在的な）恋愛関係における服装選択のヒントについては以前にもお伝えしていたが、ロゴ、色も意図せず特定のメッセージを発信している可能性があるというのはさらに押さえておきたいところだ。自身が望む恋愛関係のスタイルに応じて、ロゴサイズや色を意識的に選択し、望む印象を作り出したい。

研究者のDaniel J. Krugerは「贅沢品の誇示的な消費は、単なる富のアピール以上の意味を持つ可能性がある」と指摘している。ブランド服好きの皆様はご注意を。

IQとパートナーシップ

知能が高いほど、学業成績や社会経済的地位が高くなる傾向があることは、これまでの研究でも知られていた。

Personality and Individual Differences誌に掲載された最新の研究で、男性の知能が恋愛関係の質にも大きな影響を与えることが明らかになった。

この研究では、異性愛カップルの男性202名（18-65歳、平均交際期間3.36年）を対象に、知能（ICARを使用）、パートナーとの関係性を評価し、それぞれの関係性を探っている。パートナーとの関係性については、パートナーへの態度、性的強制、関係への投資などを測定した。

主な結果は以下の通りだ。

1. 知能が高い男性ほど、パートナーへの侮辱や性的強制が少ない
2. 知能が高いほど、サイコパシー的傾向や関係を損なう行動が少ない
3. 知能の高さは、関係への投資や満足度の高さと相関

知能の高さは自己コントロールの高さと関連する、といった知見も考慮すると、さもありなん、という結果だ。

さらにこの研究で面白いのは、「文字・数字系列」のテスト成績が、関係性の質と特に強い相関を示した点だ。この種の問題は、以下のような能力と関連することが知られている。

1. パターン認識能力
2. 順序的推論能力
3. 衝動制御能力
4. 結果予測能力

これらの能力は、健全な関係性の維持に重要な役割を果たすと考えられる。

一方で、以下の項目については、知能との有意な相関が見られなかった。

• 嫉妬心の程度
• パートナーへの暴力
• 関係維持のための利益供与行動

この結果から、以下のような実践的な示唆が得られるのではないか。

1. 関係性の予測: 知能の高さは、より健全な関係性を予測する指標の一つとなる可能性がある
2. 問題解決能力の重要性: 特に、論理的思考や問題解決能力が関係性の質に影響を与える
3. 予防的アプローチ: 関係性の問題を予防する上で、認知能力の向上が一つの方法となるかもしれない。

「頭の良さ」が単なる学業や仕事の成功だけでなく、親密な関係性の質にも影響を与えるというのは興味深い。ただし、これはあくまでも一般的な傾向であり、個々の関係性の成功を決定づけるものではないことには当然注意が必要であろうが。