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😌 独身ラむフの真実
ALSO: 寝酒ゞレンマ、70歳でも若々しい脳の䜜り方
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おくさん
2025/02/21
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目次

  1. 独身女性の方が幞せ?! 男女6000人の倧芏暡調査で明らかになった意倖な性差
  2. 睡眠に「寝酒」は逆効果意倖に少量でもREM睡眠を阻害
  3. 70歳の脳幎霢から芋える、脳を若く保぀メカニズム


独身女性の方が幞せ?! 男女6000人の倧芏暡調査で明らかになった意倖な性差

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「独身女性は䞍幞で寂しい」ずいうステレオタむプは本圓なのかトロント倧孊の研究チヌムが玄6,000人の独身者を察象に実斜した倧芏暡調査で、むしろ独身の男性の方が満足床が䜎い可胜性が明らかになっおいた。

この研究では、2020幎から2023幎にかけお実斜された10の研究デヌタを統合分析。18歳から75歳たでの独身者5,941名(平均幎霢31.7æ­³)を察象に、以䞋の4぀の指暙に぀いお調査を実斜した。


  • 珟圚の関係性ぞの満足床
  • 人生党般ぞの満足床
  • 性生掻ぞの満足床
  • パヌトナヌを求める欲求の匷さ


分析の結果、以䞋のような男女差が芋られた。


  • 独身生掻ぞの満足床女性の方が男性よりも有意に高かった (β = 0.30, p < .001)
  • 人生党般の満足床女性の方が若干高い倀を瀺した (β = 0.10, p < .001)
  • 性生掻の満足床女性の方が高い満足床を報告 (β = 0.08, p = .004)
  • パヌトナヌを求める欲求男性の方が有意に匷い (β = -0.22, p < .001)


芁するに、「女性はパヌトナヌを垞に求めおいる」「誰かず䞀緒にいたほうが幞せ」「男性は䞀人でも平気」ずいったずいうステレオタむプは、デヌタ䞊は間違っおいるかもしれないずいうこずだ。

研究チヌム曰く、


「特に性生掻の満足床に関する結果は驚きでした」「これたでの研究では、カップル関係においお女性の性的ニヌズは軜芖されがちだず蚀われおきたした。しかし今回の調査では、むしろ独身女性の方が充実した性生掻を送っおいるずいう結果が出たのです」


ずのこず。なぜこのような違いが生たれるのか研究チヌムは、以䞋のような芁因を指摘しおいる。


  • 瀟䌚的サポヌトの違い女性の方が、友人関係や゜ヌシャルサポヌトなど、恋愛以倖の関係性から充実感を埗られおいる可胜性がある
  • 関係性における䞍平等異性愛カップルの関係では、家事劎働の偏りや女性の性的快楜の軜芖など、女性にずっおコストの高い偎面がある
  • 経枈的自立瀟䌚の平等化に䌎い、女性が男性に経枈的に䟝存する必芁性が䜎䞋しおいる


個人的には、特に「瀟䌚的サポヌトの違い」が圱響しおいるように感じた。パヌトナヌがいる堎合でも男性のほうが、友人ずの亀流が少ないずいう報告もあったりするので。

この研究は独身生掻に察する私たちの固定芳念を芋盎すきっかけを䞎えおくれるように思う。「独身䞍幞」ずいう単玔な図匏ではなく、性別によっお独身生掻の経隓や満足床は倧きく異なる可胜性がある。特に女性の堎合、独身生掻は決しおネガティブなものではなく、むしろ充実した人生の遞択肢の䞀぀ずなりうるこずを、この研究は瀺唆しおいる。

そうはいっおも、「奜きで独り身でいるわけではない」ずいう人もいるず思う。しかし、先日も「独身ぞの䞍安がデヌトでの緊匵を爆増させる」ずいう論文も玹介した通り、「䞀人でいるのもいいものだ」ずいう䜙裕を感じられおいるほうが結局いいパヌトナヌも芋぀かりやすいのかもしれないなず思った。


睡眠に「寝酒」は逆効果意倖に少量でもREM睡眠を阻害

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「お酒を飲むず眠りやすい」ずいう経隓から、寝酒を習慣にしおいる人は少なくない。しかし、カトリック倧孊の研究チヌムが27の研究を統合分析した結果、アルコヌルによる睡眠ぞの圱響は、これたでの垞識ずは倧きく異なるこずが刀明しおいた。

この研究は、1939幎から2024幎たでに実斜された健康な成人を察象ずした研究27件をメタ分析したもの。

分析の結果、以䞋のような知芋が埗られおいた。


  • 少量のアルコヌル(䜓重1kgあたり0.5g以䞋、暙準的な倧人で玄2杯分)でもREM睡眠に悪圱響
  • アルコヌルの量が増えるほど、REM睡眠ぞの悪圱響も倧きくなる
  • 寝぀きを改善するには、䜓重1kgあたり0.85g以䞊(暙準的な倧人で玄5杯分)の倧量摂取が必芁
  • 深い睡眠(N3)に入るたでの時間短瞮にも、同様に倧量摂取が必芁


芁するに、「眠りを良くする」ずいう効果を埗るには、かなりの量のアルコヌルが必芁だが、そうするず今床はREM睡眠が著しく阻害されるずいうゞレンマが存圚するずいうこずだ。䞋図は、この関係を分かりやすく瀺しおいる。

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アルコヌルず睡眠のゞレンマ。䜓重62kgの成人の堎合、睡眠朜時(寝぀きたでの時間)を短瞮するには玄5杯分のアルコヌルが必芁だが、その量ではREM睡眠の開始が遅れ、総量も枛少しおしたう。


この結果は、これたでの各皮公匏掚奚ずは倧きく異なる。たずえば、米囜睡眠医孊䌚や日本睡眠孊䌚などは、就寝前のアルコヌル摂取は避けるべきずしおいるが、その理由ずしお䞻に挙げられおきたのは、寝酒による䞭途芚醒の増加や睡眠の質の䜎䞋だった。しかし今回の研究では、それらの指暙に぀いおは明確な圱響は芋られおいない。

䞀方で、これたであたり泚目されおいなかったREM睡眠ぞの圱響が、少量のアルコヌルでも生じるこずが明らかになった。REM睡眠は蚘憶の定着や感情の制埡に重芁な圹割を果たすずされおおり、その阻害は日䞭のパフォヌマンスにも圱響を䞎える可胜性がある。

本論文によれば、䞋図の通り、各皮睡眠指暙に察する閟倀は倧䜓こんな感じずなる。

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各皮睡眠指暙に察するアルコヌル摂取の閟倀


文字でもたずめおおくず、

  • REM睡眠開始の遅延䜓重1kgあたり0.35g(暙準的な倧人で玄2杯)から圱響が出始める
  • REM睡眠時間の枛少䜓重1kgあたり0.50g(暙準的な倧人で玄3杯)から圱響が出始める
  • 寝぀きの改善䜓重1kgあたり0.85g(暙準的な倧人で玄5杯)以䞊が必芁
  • 深い睡眠たでの時間短瞮䜓重1kgあたり0.95g(暙準的な倧人で玄6杯)以䞊が必芁


「寝぀きを良くするためには、逆効果になるほどの量が必芁」ずいう今回の発芋は、アルコヌルを睡眠導入剀ずしお䜿うこずの問題点を浮き圫りにしおいるように感じた。研究チヌムは「アルコヌルで寝぀きが良くなるのは事実だが、そのために必芁な量はREM睡眠を著しく阻害する。寝酒は睡眠改善の手段ずしお䞍適切」ず結論づけおいる。

少量でもREM睡眠に圱響が出るこずから、「適床な飲酒なら問題ない」ずいう考えは芋盎そうずいう䞻匵は以前から耳にしおいたが、逆の䞻匵もあったので、このようにメタアナリシスでたずめなおしおもらえたのは倧倉ありがたい。私の飲酒に察する考え方がアップデヌトされる内容だった。今埌飲酒、特に寝酒に関しおアドバむスするずきのベヌスにしたい研究ずなった。


70歳の脳幎霢から芋える、脳を若く保぀メカニズム

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酒に関しお蚀えば、「飲みすぎるず遺䌝子レベルで脳を老化させる」ずいう恐ろしいデヌタもある。

しかし、脳の老化は避けられないものなのか この問いに察する興味深い知芋が、カロリンスカ研究所を䞭心ずした研究チヌムから発衚された。739人の70歳の高霢者を察象にした倧芏暡調査で、生掻習慣によっお脳の老化床合いが倧きく異なるこずが明らかになったのだ。

今回の研究で特に面癜いのは、AIを䜿っお「脳幎霢」を掚定したこず。この手法では、たずAIが18,843人分のMRIデヌタを孊習し、その埌、各参加者の脳の状態から掚定される幎霢Predicted Brain AgePBAを算出する。そしお実幎霢70歳ずの差を「Brain Age Gap (BAG)」ずしお分析しおいる。BAGが倧きいほど脳が実幎霢より老けおおり、小さいほど若々しい脳を維持できおいるずいうこずになる。

䞋図の通り、本論文では、脳の維持Brain Maintenanceず認知予備力Cognitive Reserveずいう2぀の抂念が瀺されおいる。図では、PBAが実幎霢より若い堎合脳の構造が保たれおいる状態ず、PBAが実幎霢より高い堎合萎瞮が進んでいる状態が察比されおいる。右偎のMRI画像は、実際の症䟋を瀺しおおり、同じ70歳でもBAGがマむナス3.7幎若い脳、0幎平均的、プラス3.7幎老けた脳ず、個人差があるこずが分かる。

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若い脳ず老けた脳

そしお若い脳ず老けた脳に関連する生掻習慣等を分析した結果ずしお明らかになったポむントをたずめおみる。


  • 運動䞍足の人は、脳が平均より1.75歳老けおいたβ = 1.75 [95% CI 1.13, 2.38], p < 0.000
  • 糖尿病患者は脳が0.78歳老けおいたβ = 0.78 [95% CI 0.32, 1.24], p = 0.001
  • 脳卒䞭の既埀がある人は0.53歳老けおいたβ = 0.53 [95% CI 0.10, 0.96], p = 0.046
  • 炎症マヌカヌCRPが高い人≥8 mg/Lは0.54歳老けおいたβ = 0.54 [95% CI 0.13, 0.96], p = 0.011
  • 血糖倀の高い人も0.46歳老けおいたβ = 0.46 [95% CI 0.11, 0.81], p = 0.011


特に興味深いのは、定期的な運動習慣のある人は、肥満であっおも脳の老化を抑制できおいたこずだろういわゆる「肥満パラドックス」の䞀䟋ずいえるのだろうか。むしろ、運動習慣のある肥満者は、運動習慣のない暙準䜓重の人ず比べお、脳幎霢が玄1.92歳若かったβ = −1.92 [95% CI −3.15, −0.69], p = 0.002。

たた、男女差も芋られ、男性では倧脳皮質の薄さ、脳の小血管病倉、炎症マヌカヌ、血糖倀ず脳幎霢の関連が匷く、泚意力や芖空間認知の䜎䞋が目立った。䞀方、女性では実行機胜の䜎䞋ずの関連が匷かった。

さらに、脳の構造解析からは以䞋のような関係も明らかになっおいる。


  • 倧脳皮質が薄い人ほど、脳幎霢が高かったβ = −3.16 [95% CI −4.54, −1.78], p < 0.001
  • アルツハむマヌ病に関連する脳領域の萎瞮も、脳幎霢の䞊昇ず関連しおいた
  • 癜質病倉の皋床が重症な人ほど、脳幎霢が高かった


ざっくりたずめれば「生掻習慣病のリスク芁因は、脳の早期老化にも圱響する」ずいうこずだ。特に運動䞍足、糖尿病、脳卒䞭、炎症、血糖倀の高さは、脳の老化を加速させる芁因ずなっおいる。圓たり前のようだが、しっかりデヌタで瀺されるずやはり説埗力がある。

本ニュヌスレタヌの読者局を考えるず、70歳時点での脳の状態はただ遠い未来の話に思えるかもしれない。しかし、この研究が瀺すように、老埌の脳の状態は今の生掻習慣で倧きく倉わっおくる。幎を重ねおから新しい習慣を身に぀けるのは、脳の可塑性が䜎䞋するこずもあり、若い時よりもずっず難しい。今からいい習慣を぀けおおいたほうが、将来の脳の健康を守れる可胜性は高くなるだろう。特に、運動習慣が肥満の圱響すら打ち消せるずいう発芋は、生掻改善のモチベヌションになるのではないか。

私たちの脳は、䜿えば䜿うほど、そしお早くから䜿えば䜿うほど、より良い状態を保おる。明日からでも、たずは15分歩くずころから始めおみおはどうだろうか。

ちなみに、習慣に関しお蚀えば、「習慣ず脳の科孊」ずいう本が最近読んでずおも面癜かった。専門的な郚分もあるが、かなり読みやすく曞かれおいるず思う。