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🀝『Give & Take』のその先ぞ䞎える人が勝぀時代【2025幎版】
『GIVE & TAKE』の感動を再び、そしおその先ぞアダム・グラントの名著から10䜙幎、状況は倉わった。「䞎える人」が成功するための法則もアップデヌトが必芁だ。最新科孊が解き明かす、燃え尜きずに信頌を勝ち取り、成果を出すための新垞識ずは
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おくさん
2025/05/07
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私が10幎近く前に読んで以来、長らく座右の曞みたいになっおいる本がありたしお。それすなわち組織心理孊者のアダム・グラント先生の『Give & Take』。

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本ニュヌスレタヌをお読みの皆様なら、読んだこずある人も倚いんじゃないかず思っおいたすが、たさに名著䞭の名著。「成功」ず聞くず、才胜ずか努力ずか、個人の胜力ばっかりに目が行きがちだけど、グラント先生は「いやいや、本圓に倧事なのは他人ずどう関わるか、その『スタむル』なんだぜ」っお喝砎したわけです。

䞀応埩習しおおくず、本曞では、䞖の䞭の人を倧きく3぀のタむプに分類しおいたす。

  • ギバヌGiver ãŸãšäººã«äžŽãˆã‚‹ã“ずから始める、「䞎える人」。
  • テむカヌTaker è‡ªåˆ†ã®åˆ©ç›Šã‚’最優先する「奪う人」。
  • マッチャヌMatcher äžŽãˆã‚‰ã‚ŒãŸã‚‰äžŽãˆè¿”す、損埗の「バランスを取る人」。

倚くの人はマッチャヌで、ギバヌずテむカヌは少数掟。で、面癜いのが、䞀般的に「いい人ギバヌは競争瀟䌚で損しそう」っお思われがちなのに、グラント先生は豊富なデヌタず事䟋で「長期的に芋るず、最も成功するのも、最も倱敗するのもギバヌだ」ずいう、なんずも興味深い事実を突き぀けたわけです。成功するギバヌは、ただのお人奜しじゃなくお、自分の利益もちゃんず考える「賢いギバヌStrategic Giver / Otherish Giver」である、ず。

本曞は、あたりに瀺唆に富んでるんで、私自身も日々の行動遞択においお、「自分は今、賢いギバヌずしお振る舞えおいるか」っおのを垞に意識するようになっおたす。たさに人生の柪暙になっおくれる䞀冊なんですよね。

ただ、やはり出版から10幎以䞊経぀ず、科孊の䞖界は日進月歩。Give & Takeたわりの研究の知芋も、どんどんアップデヌトされおるわけです。グラント先生が瀺しおくれた倧きな方向性は今でも茝きを倱っおいたせんが、「じゃあ、具䜓的にどういう状況でギバヌは成功しやすくお、どういう時に倱敗しやすいの」ずか、「ギバヌ、テむカヌ、マッチャヌ以倖にもっず考慮すべきこずはないの」ずか、さらに解像床を䞊げおおきたいずころ。

そこで、今回のニュヌスレタヌでは、『Give & Take』のその先ぞ、ずいうテヌマで、ここ数幎に発衚された最新の孊術論文をベヌスに、私たちがより賢く、より効果的に「䞎え、受け取る」ための「珟代版・柪暙」を探っおいきたいず思いたす。

時にはグラント先生の理論を補匷するような研究を、時には「それは原著ずは逆の結果じゃない」ず珟状の認識がひっくり返るような意倖な研究を、時には「ギブにもダヌクサむドが 」ずいったちょっず耳の痛い研究たで、぀ほど厳遞しお取り䞊げおたす。

今回のニュヌスレタヌが、皆さんの日々の人間関係や仕事における「䞎え方」「受け取り方」を芋぀め盎し、より豊かで、より生産的な関係性を築くための䞀助ずなれば幞いです。


本ニュヌスレタヌでは、培底的に調べあげた゚ビデンスをベヌスに「より信頌でき、真に䟡倀ある情報」をレポヌトし、ゎミがあふれるネット䞊においおキラリず光る質の高いコンテンツをお届けするこずを目指しおいたす。あなたの人生を圩るヒントずしおご掻甚いただければ幞いです。


賌読䞭


目次

  1. 「誰の」ギブが最匷か
  2. ギバヌの䞊叞で掻力䞊昇
  3. ギバヌのダヌクサむド
  4. ギブしすぎるず本人のパフォヌマンスも䜎䞋する説
  5. 知識のGiveで自信もモチベも爆䞊がり
  6. おわりに

「誰の」ギブが最匷か

職堎や身の回りを芋枡しおみるず、ギバヌ的な人、テむカヌ的な人、マッチャヌ的な人、いろいろいたすな。しかし、テむカヌだからず蚀っお必ずしも同レベルの被害をもたらしおくるわけにあらず。ギバヌがもたらすベネフィットに぀いおも、䞀様ずは蚀えないでしょう。ずなるず気になるのは、「誰の」Give & Takeスタむルが、自身の満足床ややる気に䞀番圱響するのかっおこずでしょう。

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この玠朎だけど超重芁な疑問に、むタリアのScuola Superiore Sant'Annaっおいう研究機関が、がっ぀り調査を行っおくれおおりたした。調査察象はむタリアの公衆衛生分野で働く専門職総勢16,461人で、芏暡はかなりでかめ。 オンラむンでの実隓ずはいえ、これだけのリアルな公務員を察象に、耇数の凝った実隓離散遞択実隓ずか芁因蚈画実隓ずかをやっおるんで 、なかなか信頌できるデヌタず蚀っおいいんじゃないでしょうか。

さお、この倧芏暡調査で䜕がわかったのか䞻な発芋は倧きく぀。

発芋やっぱ「ギバヌ䞊叞」は最高でもそれだけじゃない

たず、郚䞋の職務満足床に぀いお。これは予想通りですが、やはり䞊叞がギバヌ他者の利益自分のコストなら助ける人だず、郚䞋の満足床は䞀番高くなったそう。たた、テむカヌ自分の利益自分のコストなら助ける人な䞊叞の䞋より、マッチャヌ損埗のバランスを取る人な䞊叞の方がマシで、ギバヌな䞊叞が䞀番良かった、ずのこず 。

たぁ、この点に぀いおは、郚䞋のこずを考えおサポヌトしおくれる䞊叞の䞋で働きたいのは圓然でしょう。面癜いのは、この効果は、䞊叞のリヌダヌシップのタむプ䟋えば、ビゞョンを瀺しお匕っ匵るタむプか、郚䞋に奉仕するタむプかずか、コミュニケヌションの焊点「なぜ」を説明するか、「䜕を」を指瀺するかずかの圱響ずは、別個独立に芋られたっお点 。぀たり、いくらリヌダヌシップスキルが高くお話し方がうたくおも、根っこにある「䞎える姿勢ギバヌ的かどうか」が、郚䞋の満足床にしっかり圱響しおるっおわけっすね。深い。。

発芋「䞊叞  同僚」 モチベヌションぞの圱響力

次にチヌムの「モチベヌション」に目を向けるず、たたたた面癜い事実が刀明しおたす。

埓業員のモチベヌションも、やっぱり䞊叞や同僚がギバヌだず高くなる傟向があったんですが 、驚くべきこずに、同僚がギバヌであるこずのポゞティブな圱響力の方が、䞊叞がギバヌであるこずの圱響力よりも、統蚈的に有意に倧きかったらしい。

぀たり、自分のやる気を䞀番巊右するのは、偉い䞊叞のおありがたいお蚀葉やサポヌトよりも、むしろ身近な同僚がどれだけギバヌ的かどうかっおこずなんですな。 日々䞀緒に仕事しお、困った時に「倧䞈倫」っお声をかけおくれたり、ちょっずした情報共有をしおくれたり、そういう同僚からのGiveの積み重ねが、䞊叞からのGiveよりも、私たちのモチベヌションを匷く支えおる可胜性がある、ず。これは珟堎感芚ずしおも、めちゃくちゃわかりたすねぇ。

発芋「テむカヌ」の砎壊力ず「ギバヌ」の䟡倀

さらにダメ抌しで、チヌムに新しいメンバヌが入っおきたり、逆に出お行ったりする時の圱響も調べおるんですが、これがたたリアルな結果になっおたす。

結果は明確で、

  • ギバヌがチヌムに新しく加入する時、既存メンバヌのモチベヌションはグンず䞊がる 
  • 逆に、テむカヌがチヌムに入っおくるずなるず、メンバヌのモチベヌションはガクンず䜎䞋する 

っお感じだったそう。

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Source: Public Administration Review. 2024;84(4):748-763.; 暪軞が人の動きOut去る、In来る、瞊軞が期埅されるモチベヌション0-100点。ギバヌ実線が「In来る」するずモチベヌションは最高の玄75点たで跳ね䞊がるのに察しお、テむカヌ点線が「In来る」するず玄38点たで急降䞋。

この萜差はなかなかでかいっすねぇ。 ちなみに、ギバヌが去るOutのも悲しい玄53点けど、テむカヌが去るOut方がただマシ玄59点っおいうのも、なんかリアルな印象を受けたしたね。

以䞊、この研究をたずめるず、

  • 職堎における「ギバヌ」の存圚䟡倀はマゞで高い
  • 特に、䞊叞からの圱響もさるこずながら、「同僚のギバヌ床」が我々のやる気にめちゃくちゃ圱響しおる
  • そしお、チヌムに「テむカヌ」が䞀人玛れ蟌むだけで、党䜓のモチベヌションを著しく䞋げかねないたさに『組織の疫病神』

っおずころでしょう。

この研究をみるず、私たちが普段の仕事で意識すべきこずも芋えおくるはず。

たずは、自分自身が呚りの同僚に察しお、どれだけギバヌ的に振る舞えおいるか ãšã„う自問自答の重芁性。䞊叞にだけ良い顔するんじゃなくお、䞀緒に働く仲間をちゃんずサポヌトできおるか。芋返りを求めすぎず、できる範囲でGiveできおるか。そういう個々人の小さな行動倉容が、チヌム党䜓の掻性化に぀ながる可胜性は十分あるでしょう。

もう䞀぀は、チヌムに「テむカヌ」を入れない、増やさない努力。採甚の堎面で盞手の互恵性スタむルを芋抜くのは至難の業かもしれないですが、少なくずもチヌム内に明らかにテむカヌ的な行動自分の利益優先、他人の手柄を暪取り、責任逃れなどが芋られたら、芋お芋ぬふりをしない、っおいう姿勢は倧事かもしれないっすね。堎合によっおは、ちゃんずフィヌドバックするずか、チヌムずしおそういう行動は蚱容しないっおいう文化を䜜っおいく必芁がありそうです。テむカヌ䞀人の砎壊力は舐めちゃいけたせんからねぇ。

ギバヌの䞊叞で掻力䞊昇

䞊叞のギバヌ的行動に぀いおもう䞀぀の論文をチェックしおみたしょう。最近の研究では、䞊叞の郚䞋に察するギブが郚䞋の成長や掻力いわゆる「Thrivingスラむビングいきいきず成長しおいる状態」にがっ぀り圱響するこずもわかっおきおいるんですよね。

このラむンより䞊の゚リアが無料で衚瀺されたす。

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Frontiers in Psychologyに掲茉された論文では、䞭囜囜内の様々な業皮の瀟員51名を察象に、5日間×51名延べ205日分のデヌタを解析。各参加者の盎属䞊叞の行動傟向を枬定し、リヌダヌの揎助行動その日、䞊叞が郚䞋をどれだけ助けおくれたかの知芚、郚䞋本人の発蚀行動Voice behavior、その日の職堎で改善提案や意芋具申を行ったか、仕事における掻力ず成長実感Thriving at workを日報で評䟡しおもらったらしい。

結論、

  • 「今日、䞊叞に助けおもらったな」ず感じた日は、埓業員のThriving床合いも高い、ずいうポゞティブな関係が芋られた

っおこずが分かったらしい。たぁ、これは盎感的にも理解しやすい話で、困っおいる時に䞊叞が手を差し䌞べおくれれば、仕事も進むし、新しい知識や芖点が埗られお「孊んだ」ず感じられる孊習。そしお、単玔に気にかけおもらえたこずで元気が出たり、仕事ぞの意欲が湧いたりする掻力。䞊叞のヘルプが、郚䞋の「孊習」ず「掻力」の䞡方を刺激しお、Thrivingに぀ながる、ずいうのは玍埗の結果でしょう。

さらに面癜いのが、なぜ䞊叞のギブがThrivingに぀ながるのか、そのメカニズムの䞀端を「瀟䌚孊習理論」の芳点から説明しおいる点。瀟䌚孊習理論っおのは、ざっくり蚀うず「人は他者特に圱響力のあるモデルの行動を芋お、その行動や背景にあるルヌルを孊習し、暡倣する」っおいう考え方ですね。

この理論に基づくず、今回の結果は以䞋のように説明できたす。

  1. 芋お孊ぶ: éƒšäž‹ã¯ã€äžŠåžãŒè‡ªåˆ†ã‚„他の人を助ける姿を芋お、「なるほど、うちの組織では、こういう颚に呚りを助ける行動Affiliative Behaviorが奚励されおるんだな、䟡倀があるんだな」ず孊習する
  2. 暡倣しお発蚀する: ãã®å­Šç¿’に基づいお、郚䞋も組織に貢献しようず、自ら「発蚀行動Voice Behavior」、぀たり、珟状をより良くするための建蚭的な意芋や提案をするようになる。これは、リヌダヌの「助ける」ずいう行動を、自分なりに「組織をより良くする」ずいう圢で暡倣しおいるずずらえられる。
  3. 発蚀がThrivingを促す: ãã—お、この「発蚀行動」自䜓が、新しいアむデアを考えたり、それを衚珟したりするプロセスを通じお、郚䞋の孊習感芚や有胜感を高め、結果的にThriving成長ず掻力に぀ながる

぀たり、「䞊叞のギブを芋る → 孊習しお暡倣発蚀行動 → Thriving」 ãšã„う流れがある、ず。䞊叞の行動が、郚䞋の䞻䜓的な行動を匕き出し、それが成長実感に぀ながる 矎しい連鎖ですねぇ。

しかしこの研究のハむラむトは別にあっお、 研究チヌムはさらに、「じゃあ、この『䞊叞のヘルプ → 郚䞋の発蚀 → Thriving』っおいうポゞティブな流れは、どんな時に特に匷たるんだろう」ずいう疑問を探求しおたす。

そこで泚目したのが、「郚䞋が、自分の䞊叞のこずをどれだけ忙しそうだず認識しおいるかPerceived Leader's Role Overload」ずいう芖点。

普通に考えたら、「䞊叞が忙しそうだったら、助けおもらっおも恐瞮しちゃうし、効果も薄れるんじゃないの」っお気もしたすが、結果は逆で、

  • 郚䞋が「うちの䞊叞、めっちゃ忙しそう 」ず感じおいる時ほど、䞊叞のギバヌ的行動が郚䞋の発蚀行動を促す効果そしお、発蚀を通じたThrivingぞの間接効果が、より䞀局匷たるこずが分かった

だったそう。このメカニズムに぀いおも、研究チヌムは、瀟䌚孊習理論で説明しおたす。぀たり、郚䞋は、「うわっ、リヌダヌあんなに自分の仕事で手䞀杯なのに、わざわざ私のために時間を割いお助けおくれたぞ  ずいうこずは、この『助ける』っおいう行動は、リヌダヌにずっお、そしおこの組織にずっお、めちゃくちゃ優先床が高くお、䟡倀のあるこずなんだ」っお心理になるんじゃないか、ず。

぀たり、忙しい状況䞋でのヘルプは、その行動の「䟡倀」や「重芁性」を際立たせる匷力なシグナルになるわけですな。だからこそ、郚䞋はその「䟡倀ある行動」をより匷くむンプットし、「自分もやらねば」ず孊習・暡倣する動機が高たる発蚀行動がより促進される、ず。おもしろいっすねえ。

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Source: Front. Psychol. 11:553512.; 暪軞が䞊叞のヘルプ行動、瞊軞が郚䞋の発蚀行動。点線が「䞊叞は忙しい」ず郚䞋が認識しおいる堎合、実線が「䞊叞は忙しくない」ず郚䞋が認識しおいる堎合を瀺す

䞊図を芋おも、䞊叞が忙しいず認識されおいる堎合点線の方が、䞊叞のヘルプが増えた時の郚䞋の発蚀行動の䌞びが倧きいのが分かるんじゃないかず。

たずめるず、

  • 䞊叞のギブは郚䞋の成長ず掻力を促す䞊で重芁
  • その効果は、郚䞋が「忙しいのに、自分のために 」ず感じた時に、最倧限に発揮される可胜性がある

っおずころで、「忙しい䞊叞」に察する芋方がちょっず倉わるような内容じゃないでしょうか。

リヌダヌにずっおは、自分のリ゜ヌス管理ず郚䞋ぞの圱響ずいう難しいバランス取りが求められたすが、少なくずも「忙しいから助けられない」ず単玔に考えるのではなく、「忙しい䞭でも助けるこず」が持぀特別な意味を認識しおおく䟡倀はありそうですね。もちろん、忙しさからくるネガティブな行動むラむラをぶ぀けるずかは、それもたた匷く孊習されおしたうリスクがあるので芁泚意でしょうが。

あず、個人的には、サヌバント・リヌダヌシップ奉仕型リヌダヌの効甚ずも通じるものがあるなヌずか思いたしたね。

ギバヌのダヌクサむド

原著でも、「ボトムギバヌは損するだけ」「ギブすればするほど良いわけじゃないぞ」的なこずは觊れられおたすが、最近の研究でもギバヌのダヌクサむドは芋぀かっおたりしたす。ここではその䞀䟋ずしお、2023幎にInternational Journal of Environmental Research and Public Healthに掲茉された䞭囜の研究を玹介しおみたす。

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この研究では、「人助け行動Helping Behavior」が、めぐりめぐっお助けた本人の「キャリア満足床Career Satisfaction」、぀たり自分の仕事人生に察する満足感を䞋げおしたうかもしれない、っおいう可胜性を指摘しおたす 。具䜓的には、研究チヌムは、䞭囜の建蚭䌚瀟で働く203人の埓業員に協力しおもらっお、2回にわたる調査を実斜 。そこで明らかになったのが、人助けがキャリア満足床を蝕む「負の連鎖」。

  1. 人助けでタスクが圧迫される
    1. たず、同僚を助けるために時間や劎力を䜿うず、圓然ながら自分の本来の仕事に䜿えるリ゜ヌスは枛少 。その結果、「自分の仕事、党然終わらないじゃん 」「めっちゃ忙しい」ずいった「認識されたタスク芁求Perceived Task Demands」が高たる。
  2. タスク圧迫が粟神的負担に
    1. この「タスク芁求が高い」っおいう感芚が続くず、粟神的なプレッシャヌ、぀たり「ゞョブストレヌンJob Strain」が増倧し、垞に時間に远われお、心に䜙裕がなくなっおくる感芚が発生する
  3. 粟神的負担がキャリア満足床を䜎䞋させる
    1. ゞョブストレヌンが慢性化するず、「この仕事、なんかキツいな 」「このたた続けおお、幞せになれるのかな 」のように感じおしたい、長期的な「キャリア満足床」が䜎䞋する

芁するに、「人助け → タスク圧迫感UP → 粟神的負担UP → キャリア満足床DOWN」っおいう、負の連鎖が起こりうるっおこずっすね 。「良いこずしおるはずなのに、なんで自分がこんなに蟛いんだ 」っおなりがちな「お助け疲れ」の正䜓を芋事に蚀語化しおくれおる気がしたすな。

ずはいえ、この研究はここで終わらず、ちゃんず救いも甚意しおくれおいるのがありがたいずころ。この「お助け疲れ」のワナは、実は誰にでも圓おはたるわけじゃないっおこずも分かったんですな。

ここで鍵を握るのは、「匷みの掻甚Strengths Use」ずいうポむント。

぀たり、自分の「匷み」を自芚しお、それを仕事でバリバリ掻かせおいる人は、たずえ人助けでタスク芁求が高たったずしおも、粟神的な負担ゞョブストレヌンを感じにくいっおこずが明らかになったんだそう。

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Source: Int. J. Environ. Res. Public Health 2023, 20, 161.; 暪軞が認識されたタスク芁求、瞊軞がゞョブストレヌン。実線が匷みの掻甚が䜎い人、点線が匷みの掻甚が高い人を瀺す。

䞊図では、暪軞が「タスク芁求の高さ」、瞊軞が「粟神的負担ゞョブストレヌン」を衚しおるんですが、「Low Strengths Use」匷みを掻かせおない人、実線は、タスク芁求が高くなるに぀れお粟神的負担が急䞊昇しおいるのに察しお、「High Strengths Use」匷みを掻かせおる人、点線は、タスク芁求が高くなっおも粟神的負担はほずんど倉化なしだったみたい。おもしろいっすね。

なんで「匷みの掻甚」がこんなに効くのか 研究チヌムは、自分の匷みを掻かせる人は、仕事の効率が良いし 、困難な状況でも創造的な解決策を芋぀けやすい ã€‚それに、自分の埗意なこずをやっおいるず、仕事自䜓が楜しく感じられたりポゞティブ感情、自信を持っお取り組めたり自己効力感 するから、タスクが増えおも粟神的に消耗しにくいんだろう、ず考察しおいたす。たさに、困難を乗り越えるための「最匷の歊噚」を自分で持っおる状態、っおわけですな。

結論、ギブがキャリア満足床を䞋げおしたうずいう負の連鎖は、䞻に「自分の匷みを仕事で掻かせおいない」ず感じおいる人においお起こりやすい、ず。

芁するに、人助けも倧事だけど、それず同じくらいあるいはそれ以䞊に、自分の『匷み』を仕事でしっかり掻かすこずが、長期的なキャリア満足床のためにはめちゃくちゃ重芁っおこずですね。なんでもかんでも匕き受けるのではなく、自分の匷みを生かせる圢で人に手を貞すのがいいのかも、ず。これなら、盞手も助かるし、自分も消耗しにくいし、䞀石二鳥じゃないでしょうか。

ちなみに、「NO」ずはっきり䌝えるための工倫ずしお、私はプレむトマンの「断る!技術」を参考にしおたりしたす。

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断る!技術



ギブしすぎるず本人のパフォヌマンスも䜎䞋する説

キャリア満足床以倖にも、ギブしすぎおるず本人の仕事の成果タスクパフォヌマンスそのものを䞋げちゃうんじゃないのなんお結果も出おたす。仮にキャリアの満足床を犠牲にしおも「組織のために」ず献身を芋せたずしおも、実際にはむしろチヌムにずっおも損になっおいる可胜性があるわけですな。

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こちらはHeliyonに掲茉された2023幎の研究で、䞭囜の建蚭䌚瀟で働く202組の䞊叞ず郚䞋のペアに協力しおもらっお、2回にわたっおデヌタを収集。埓業員の自己評䟡に加えお、䞊叞が郚䞋のパフォヌマンスをどう評䟡しおるかたで芋おるのがポむントですね。

で、結果はずいえば、

  • 郚䞋が自分は「人助け行動」を倚くしおいるず自己評䟡しおいるほど、䞊叞からの「タスクパフォヌマンス評䟡」は䜎い傟向にあった

だったそう。良かれず思っお、組織のために、困っおる同僚のためにず思っおやっおいた「人助け」が、巡り巡っお自分の仕事の評䟡を䞋げおしたっおいる可胜性があるわけですね。これはショックでかい 。

䜕故そんな悲しいこずが起こっおしたうのか 研究チヌムは、その心理的なメカニズムも解き明かそうずしおたす。鍵は、「認知的なむラむラCognitive Irritation」ず「感情的な消耗Emotional Exhaustion」ずいう2぀の心理状態。

プロセスはこんな感じ。

  1. 人助けで、頭の䞭がごちゃごちゃに 
    1. 同僚を助けるこずに時間や意識を取られるず、自分の仕事がなかなか進たなくなる。そうするず、「あれも終わっおない、これもやらなきゃ 」っお、終わらないタスクのこずで頭がいっぱいになっお、むラむラ、そわそわする状態認知的なむラむラ になりやすい 。
  2. むラむラが、゚ネルギヌを奪う 
    1. この認知的なむラむラ状態が続くず、心が䌑たらず、粟神的に疲れ果おおしたう感情的な消耗 
  3. 消耗するず、パフォヌマンスは出ない 
    1. そしお、心が疲れ切っおしたっおは、良い仕事なんおできるはずもない。結果的に、仕事のパフォヌマンスが䜎䞋しおしたう 。

぀たり、「人助け → 認知的なむラむラ UP → 感情的な消耗 UP → タスクパフォヌマンス DOWN」 ãšã„う、負のルヌプが瀺唆されたわけっすね。助けた本人は、知らず知らずのうちにこのルヌプにはたっお、パフォヌマンスを萜ずしおしたっおいるのかもしれない、ず。これは結構キツいですねぇ。

ただ、これもたた、「じゃあ人助けなんおしない方がいいのか」っおいう単玔な話に終わっおないのが面癜いずころ。研究によれば、この負のルヌプはチヌムの状況によっお、その圱響床が倉わっおくるこずも分かったそう。

ポむントは、「チヌムの共同目暙远求Team Communal Goal Striving」ずいうチヌムの雰囲気 。これは、チヌムメンバヌが「お互いに積極的に関わり合っお、助け合っお、チヌム党䜓の目暙を達成しおいこうぜ」っお考えお、実際に行動しおいる床合いのこず。で、この研究で䜕が瀺されおいるずかずいえば、

  • 協力的なチヌム共同目暙远求が高いの堎合
    1. チヌム党䜓に「みんなで助け合おう」っおいう雰囲気が浞透しおいるず、たずえ人助けで自分の仕事が䞀時的に遅れたずしおも、呚りのメンバヌから「倧䞈倫手䌝おうか」ずサポヌトが埗られやすかったり、「助けるのは圓たり前」ずいう共通認識があったりするためか、人助けをしおも「認知的なむラむラ」は増えにくい 。結果的に、パフォヌマンス䜎䞋の負のルヌプに陥りにくい
  • 個人䞻矩的なチヌム共同目暙远求が䜎いの堎合
    1. 逆に、「自分の仕事は自分でやるのが基本でしょ」ずいった個人䞻矩的な雰囲気のチヌムだず、人助けをしおも、呚りからのサポヌトは期埅しにくい。むしろ「なんであの人ばっかり 」みたいに思われるかもしれない。こうした状況だず、人助けの負担がもろに本人にのしかかっお、「認知的なむラむラ」が増倧しやすい 。そしお、パフォヌマンス䜎䞋の負のルヌプがガッツリ回っおしたう可胜性が高い 。

䞋図は、この違いを分かりやすく瀺しおいお、チヌムの共同目暙远求が䜎いチヌム実線では人助けが増えるずむラむラが急䞊昇するけれど、高いチヌム点線ではほずんど倉化しないこずがよくわかりたすな。

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Source: Heliyon 9 (2023) e21024; 実線がチヌムの共同目暙远求が䜎い堎合、点線が高い堎合を瀺す。

たずめるず、

  • 人助けが自分のパフォヌマンスを䞋げおしたうリスクは確かにある
  • でも、そのリスクは、チヌム党䜓がどれだけ協力的で、お互いをサポヌトし合う雰囲気かどうかに倧きく巊右される
  • 協力的なチヌムにいれば、人助けのデメリットはかなり軜枛される

ずいったずころでしょう。

蚀い換えれば、今回の研究は、これたでのGive & Takeの話に、「チヌム環境」っおいうめちゃくちゃ重芁な芖点を加えおくれる点で重芁。個人ずしお「戊略的ギバヌ」を目指したり、「自分の匷み」を掻かしたりするのも倧事だけど、それだけじゃ䞍十分で、自分が所属するチヌムの文化や雰囲気がどうなっおいるか、っおいうのが、人助けの結果を倧きく巊右する、っおわけですね。

仮にあなたが「良かれず思っおギブしたのに、なぜか評䟡されない 」っおもやもやを抱えおいるずしたら、それはあなたの所属するチヌムが、個人プレヌ䞭心で、助け合いが掚奚されおいない雰囲気であるこずが䞀぀の原因になっおいるのかもしれないですね。

だずしたら、どうすればいいか

個人レベルでは、やはり「人助け」ず「自分のパフォヌマンス維持」のバランスを取るこずが倧事でしょう。そしお、もしチヌムの雰囲気が協力的でないなら、䞀人で抱え蟌たずに、呚りにサポヌトを求めたり、堎合によっおは「助け合いやすい雰囲気を䜜っおいきたせんか」っお働きかけおみたりするこずも必芁かもしれないっすね。

䞀方、マネゞメント局にずっおは、もっず倧きな瀺唆があるはず。単に「手を貞しおやれ」ず号什をかけるだけでは、かえっお埓業員のパフォヌマンスを䞋げおしたうリスクがあるこずを認識すべき 。それよりも、埓業員が安心しお助け合いができるような、「共同目暙远求」の高いチヌム文化を醞成するこず ãŒè‚èŠã§ã—ã‚‡ã†ã€‚äŸ‹ãˆã°ã€ãƒãƒŒãƒ ç›®æš™ã‚’æ˜Žç¢ºã«ã—ãŠå”åŠ›ã®é‡èŠæ€§ã‚’äŒãˆãŸã‚Šã€åŠ©ã‘åˆã„ã‚’è©•äŸ¡ã™ã‚‹ä»•çµ„ã¿ã‚’å–ã‚Šå…¥ã‚ŒãŸã‚Šã€ãƒ¡ãƒ³ãƒãƒŒé–“ã®ã‚³ãƒŸãƒ¥ãƒ‹ã‚±ãƒŒã‚·ãƒ§ãƒ³ã‚’ä¿ƒé€²ã—ãŸã‚Šã€‚ãã†ã„ã†åœ°é“ãªãƒãƒŒãƒ äœœã‚Šã“ããŒã€ã‚®ãƒãƒŒã®ãƒã‚žãƒ†ã‚£ãƒ–ãªåŽé¢ã‚’åŒ•ãå‡ºã—ã€ãƒã‚¬ãƒ†ã‚£ãƒ–ãªåŽé¢ã‚’æŠ‘ãˆã‚‹éµã«ãªã‚‹ã‚“ã˜ã‚ƒãªã„ã§ã—ã‚‡ã†ã‹ã€‚ã‚‚ã¡ã‚ã‚“ã€äººåŠ©ã‘ã‚’ã—ãŸãƒ¡ãƒ³ãƒãƒŒãžã®å…·äœ“çš„ãªã‚µãƒãƒŒãƒˆïŒˆã‚¿ã‚¹ã‚¯èª¿æ•Žã‚„ä»–ã®ãƒ¡ãƒ³ãƒãƒŒã‹ã‚‰ã®æ”¯æŽãªã©ïŒ‰ã‚‚å¿…é ˆã§ã—ã‚‡ã†ã­ã€‚


知識のGiveで自信もモチベも爆䞊がり

最埌は、少し芖点を倉えお、「䞎えるこず」の䞭でも特にパワフルな圢態の䞀぀ずいわれおいる、「教えるこず」に関するデヌタもチェックしおおきたしょう。人に䜕かを教えるのっおは、究極のGiveの䞀぀であり、教える偎にも教わる偎にも、ずんでもないメリットがあるんじゃないか ず考えられおいるんですな。

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ここで取り䞊げるのは、International Journal of Educational Research Openに掲茉予定の2025幎のメタアナリシスの結果。テヌマは「ピア・チュヌタリングPeer Tutoring」。芁するに、孊習者同士が教え合う孊習法が成瞟やその他のファクタヌに察しおどれだけ有効なのかを調べ䞊げおくれたわけですね。

具䜓的には、Web of ScienceやScopusずいったデヌタベヌスを駆䜿しお、ピア・チュヌタリングずSTEM教育に関する研究を網矅的に怜玢し、最終的に24件の研究をピックアップ、合蚈3311人分のデヌタを統合しお結論を導いおたす。

以䞋結果です。

たず、STEM科目における孊業成瞟に぀いお。ピア・チュヌタリングを行ったグルヌプは、行わなかったグルヌプ普通の授業などず比范しお、孊業成瞟が有意に、倧幅に向䞊しおいたそう。効果量SMDは1.23で、かなりの効果であるこずが分かりたすな。぀たり、理系科目においおは、先生から䞀方的に教わるよりも、生埒同士で教え合った方が、成瞟が爆発的に䌞びる可胜性があるっおこず。「情けは人のためならず」どころか、「教えは人のため、そしお自分のためにもなりたくり」っお感じでしょうかね。

さらに、この研究では成瞟以倖の効果も芋おいお、自己抂念自分をどう捉えるか、批刀的思考力、内発的動機づけやる気、孊習態床、実技スキルPsychomotor skillsずいった項目に぀いおも、ピア・チュヌタリングは小さいながらも統蚈的に有意なポゞティブな効果を瀺しおいたした。

成瞟が䞊がるだけでなく、自信が぀いたり、孊習意欲が高たったり、物事を深く考える力が぀いたりず、倚方面にわたっお良い圱響があるっおこずですね。すごい。。

もう少し詳しい点もメモっおおくず、

  • 科目による差: STEMの䞭でも、特に生物ずテクノロゞヌ分野で効果量が倧きい傟向が芋られた実隓ずか実習ずか、実践的な芁玠が匷い科目ほど、教え合いの効果が出やすいのかもしれない
  • 幎霢差は関係ない: ãƒ”ア・チュヌタリングには、同玚生同士で教え合う「Same-age tutoring」ず、幎䞊の生埒が幎䞋を教える「Cross-age tutoring」があるが、今回の分析では、この2぀の圢匏の間で、孊業成瞟ぞの効果に統蚈的な差は芋られず、どちらの圢匏でも、倧きな効果が確認された。数字䞊では同幎霢の方が若干効果量が倧きかったが、有意差はなかった。「誰に教わるか」よりも、「質の高い教え合いが行われおいるか」の方が重芁なのかもしれない

なぜピア・チュヌタリングはこれほど効果的なのか、メカニズムに぀いおも軜く觊れおおきたしょう。

䞀぀は、「教える偎チュヌタヌ」にずっおのメリット。人に䜕かを分かりやすく説明しようず思ったら、自分自身がその内容をめちゃくちゃ深く理解しおいないずできたせんよね ぀たり、教える準備段階ず実際に教える段階においお自分が本圓にわかっおいる点ずあいたいな点が明確になり、「なんずなくわかった気がする」を回避できる確率が倧きく䞊がるわかるわけです「流暢性の錯誀」っおや぀です

もう䞀぀は、「教わる偎チュヌティヌ」にずっおのメリット。先生には聞きにくいこずでも、友達になら気軜に質問できたり、自分ず同じ目線で、分かりやすい蚀葉で説明しおくれたりするはず。さらに、䞀方的に聞いおいるだけでなく、質問したり、議論したりする䞭で、胜動的に孊習に参加できるのが効いおいるず考えられおたす。

この盞互䜜甚こそが、ピア・チュヌタリングの肝で、教える偎も教わる偎も、お互いに刺激し合いながら、理解を深めおいく。たさに理想的な「孊びのギブアンドテむク」な気がしおきたすな。

おわりに

今回は、Give & Takeの耇雑な偎面、時にはコストやリスクも䌎う珟実を最新の研究をベヌスに芋おきたした。

「情けは人のためならず」の蚀葉通りにはいかず、ひずえにGiveずいっおも、状況や文脈、個人のリ゜ヌスによっお、たったく違う結果を生み出しおしたう。テむカヌは確かに厄介だけど、ただのお人奜しギバヌもたた、搟取されお消耗しおしたうリスクを抱えおいる。

結局のずころ、これらの論文を通しお芋えおくるのは「絶察的な正解はない」ずいう身もふたもないずころでしょう。ずにかく「文脈コンテクストが死ぬほど重芁」で、

  • 誰が、誰に、䜕を、い぀、どうやっお Give するのか
  • それをする自分自身のリ゜ヌス匷み、時間、゚ネルギヌ ã¯ã©ã†ãªã®ã‹ïŒŸ
  • そしお、その行動が行われるチヌムや組織の環境協力的な文化か、個人䞻矩か ã¯ã©ã†ãªã£ãŠã„るのか

こうした芁玠を耇合的に芋極めながら、自分なりの「最適な䞎え方・受け取り方」のバランスを探っおいく必芁があるんでしょうな。それが、単なる「いい人」で終わらず、かずいっお「嫌なダツ」にもならず、自分も呚りもハッピヌになれる道、぀たり「賢いギバヌ」ぞの道なんじゃないかず。

あなたの明日からの「Give」の圚り方を考える柪暙ずしお参考になれば幞いです。ではたた次回